1年生編13
俺たちが体験する職業が決まった。
俺は騎士団に体験しに行くようだ。何をするのかは知らない。
アリシアは鍛冶屋に体験しに行く。
リアムは農業を体験するそうだ。
フィミスは宿屋の主人の元で体験するそうだ。
運が良いのか悪いのか俺達4人はバラバラに別れてしまったわけだ。肝心のジェームズは宿屋の主人の元での体験と奇しくもフィミスと一緒。
何かしらの接触はあると見て間違いない。
ちなみに俺と一緒になったメンバーは4人いて1人はジェームズの側近というかジェームズの女というかいつも一緒にいる金髪の子。もう1人は内気な男の子。印象が少ない。そしてあと1人の女子は名前以外知らないしほとんど関わったことがない。もう1人の男の子は体育会系というか熱血系だ。
どうするべきだろうと考えていても時間は過ぎ職業体験は始まる。
「ようこそ生徒諸君。今年はまず君たち5人が職業体験ということだ。」
この騎士団の敷地は見たところ寮と訓練所が敷地の大半を占めていて外と騎士団には塀があり基本外に出るには正門しかない。さっき見たところ塀は5メートル位あり普通じゃ登れないように工夫されている。
俺達4組は職業体験は一番最初らしい。
俺達5人は今、日本でもあったような軍隊の人が話を聞くときの姿勢をさせられている。
「我ら騎士団のやることは平和の維持、民を安心させること、貴族様、王族様の護衛だ。」
ここにも皇子いるんですけどね。まあ日の国の人に言っても仕方ないだろうけど。
「そのため日々の訓練は怠れない。そこ!!姿勢が保てていない!!」
熱血系だー。最悪ー。
そう言われた隣の男の子が
「す、、す、、すみ、、すみません!!」と言う。
「声が小さい!!!もう一回!!」俺は軍隊にでも入れられたのだろうか。憂鬱だ。
「す、すみません!!!!」
「次回からはもっと厳しくいく。それは男女関係なくだ。では1日のルーティーンを言う。まず朝、騎士団員の誰よりも早く起き掃除を行ってもらう。次に訓練だ。素振り、対人練習、様々行う。昼になったら見回りだ。町を見回りする班と街の外に出て民の危険になるような生物を散策、発見し排除までしてもらうこともある。質問は?」
「、、、」
「ないようだな。明日からやってもらう。部屋は2人一組で3部屋確保してある。以上だ。解散。」
軍隊みたいで嫌だ。これを2週間も行うわけだ。地獄だー。
俺達は解散と言われてから無言で俺たちの泊まる部屋を見に来た。
「ねえ、もちろん私は1人部屋よね。」
ジェームズの側近のサラが当然のように言う。
「は?なんであんたが1人部屋なのよ。」
もう一人の女子、ネルが言う。
「公平にいこうぜ!!」
熱血君ザックが言う。
「け、、喧嘩は、、は、、よ、良くないんじゃ、、ないか、なあー。」
そうゼンが言う、が3人には全く届かず最初から雰囲気最悪だ。
「女子1人は必ず男子1人と同じ部屋にならなきゃいけないがみんなはどの部屋がいいんだ?」
少しは聞く姿勢を出してやるか。
「なんであんたが仕切ってんのよ。」
そうネルが言ってくる。
「じゃあ、君が仕切るか?」
そう聞かれて反論できるやつはいない。
「で、みんなはどの部屋がいいんだ?」
「1人部屋。」
「1人部屋。」
女子2人は当然のように1人部屋を選択する。
「俺は俄然、どこでもいい。」
こいつは俄然の意味を知っているのだろうか?
「ぼ、僕も、、どこ、で、、、もいいで、、す。」
「俺もどこでもいいんだが結局は女子の判断だ。1人部屋をどちらかが使えばもう1人は男と2人になる。無難に女子2人部屋がいいんじゃないか?男と一緒に寝るのは嫌だろう?」
そうすれば俺は1部屋に行けるしな。
「やだ。この女が男と2人っきりだからって別に何も思わないし。」
サラはどうやら本当に自分のこと以外どうでもいいらしい。
「レオンくん、本当は1人部屋になりたいんじゃない?。」
ネルは俺が正論を女子2人に言って1人部屋を貰いたがっているのを気づいているらしい。
「じゃ、もう勝手に決めてくれ。」
俺がそう言うと口論が始まり結局、じゃんけんで決めるようだ。
「ポンッ。」サラはグー。
「ポンッ。」ネルはチョキ。
「よし!!」
「じゃあ、サラは1人部屋だな。」
俺がそう言っている間にもう1人部屋に入っていった。
「でネルは俺達3人の男、誰となら一緒の部屋になれるんだ?」
一応女性ファーストということで選択権をあげよう。
「ザックくんはなんか暑苦しいしゼンくんは、、ねえ、、レオンくんは普通そうだし、、、うーーーーーん、、、レオンくんとで。」
マジか。俺はないと思っていたんだがな。
普通女の子が1人部屋を希望する理由はプライバシーだろう。8歳とはいえ恥ずかしさはある。この騎士団の部屋にカーテンなどの物は無いだろうから問われるのは人間性になる。
そう考えるとゼンくんは言っては悪いがトイレを覗いたりする度胸がないように見える。普通に話をするとかなら断然俺だろうが謎だ。
それにネルという生徒はサラという生徒と言い合うほど我の強い生徒だっただろうか。ジェームズの近くにいるサラはジェームズが我が強いように我が強いと思っていたが、そこまで我が強いなら俺が名前しか記憶にないなんてことはないと思うのだが。
ということで部屋分けは1人部屋サラ、2人部屋俺とネル、2人部屋ザックとゼン。
部屋に入って一瞬で悟る。この世界にプライバシーはないし清潔感もないのだと。
「はあ、、、。」
つい憂鬱になりため息が出てしまう。
「どうだった?私の演技。」
そうネルに言われなるほどなと思う。
「そういうことか。君はもともと1人部屋になりたかったんじゃなく俺と一緒の部屋になりたかったわけか。」
「そう。そのためにわざわざサラちゃんと張り合って女子2人部屋というのを阻止したってわけ。」
「でなぜ俺と同じ部屋になりたかった?」
「そんなの簡単でしょ?ジェームズくんとどっちが上か?どっちにつくべきか決めるため。」
「ジェームズと俺のどっちにつくか?意味がわからないな?」
「とぼけないで。この学校に推薦入学する貴族の多くはいかに頭のキレる君主に仕えるかを探るために来てる。そして座学、戦闘、の成績。周りにいる友達。貴方が貴族でも優秀な部類にいるのは間違いない。」
確かにリアム、アリシア、フィミスの実質的リーダーである俺はどう見ても推薦枠である3人よりも優秀だとうつったわけか。
「そしてジェームズくんもあの絶対的な自信、戦闘の成績。私の勘だけどどこかの国の王族、もしくは貴族でも上の方だと思うの。」
俺もジェームズのことはそう思っている。
「私の勘は結構当たる。迷宮探索が終わってすぐのときも一瞬見つめ合ってた。」
「で俺とジェームズが敵対していると勘が働いたのか。」
「そう。」
うーーん。勘と言ってもどこまで信用できるものか?試してみるか。
「じゃあ質問だ。俺の身分はなんだと思う?もちろん細かい爵位まで当ててみろ。」
これは当てずっぽうでは当てられない。学園で推薦枠のほとんどが貴族。なら適当に言っているなら貴族でも上の方の爵位を言ってくるだろう。
「王族だね。」
俺は肯定も否定もできないが
面白い。勘が異常に鋭いのは才能だ。
「で、俺につくのか?」
「やっぱり私が欲しい?」
「ああ、その勘の良さ、演技、頭の回転。すごくいい。」
ジェームズのところに潜り込ませるにも容姿はいい。肩より少し長い黒髪で顔も平均以上。
「ジェームズくんにも誘われててスパイとしてジェームズくんの方へ行くか、普通にジェームズくんの女になるか。どっちがいい?」
「で俺につくには何を要求する?」
うーーーん。なにか裏切れないようにするなにかないのか?
この職業体験中に弱点を探すか。
「うーーーーん。まずは私の冒険者ランクを上げて。」
「良いだろう。」
そう言った瞬間にネルは部屋から急いで逃げようとする。
勘が働いたな。
今俺とネルの立ち位置はネルがこの部屋のドアのすぐ近くにいて俺は部屋の真ん中。
俺は一気に身体強化をしてネルの腕を引っ張り強引に壁に押し付ける。
「戦闘も出来たんだね、、。私だって弱いわけじゃないのに、、、。」
「裏切ろうとすればどうなるか分かるな。」
ネルから見れば座学の俺と戦闘のジェームズ。得意なことはそう見えていただろうが俺は戦闘も座学もトップクラスだ。
「分かった。」
まだ裏切らない保証はない。なにかないのだろうか?




