1年生編10
想像を絶する戦いだ。
俺が剣を振ればなにかの魔物を斬った感触がし血しぶきが上がり俺と俺の剣に血が降りかかる。休む暇も一切ない。
パーティーなら4人背中合わせで戦えばいいのだろうがこの質量では意味がない。数とは力だ。それはどうやら世界が変わっても同じらしい。
魔物の数はおそらく100匹にいくかいかないかくらいだろう。イノシシの魔物やカンガルーの見た目をしたパンチがめちゃくちゃ速い魔物が大量にいる。
ここは一本道なので囲まれることはないがこのまま後ろに下がれば壁に押しつぶされ圧死だ。
俺はまたどこで間違えた?なぜまた仲間、いや友達を奪われようとしている?どうしてなんだ??どうして俺ばっかりが?
そう考えている間にもカンガルーからのパンチなどで俺の体には傷や打撲が出来る。
一瞬たまたまだがリアムたちが見えた。
どうやらリアムはフィミスと一緒にいるようでフィミスの長剣2本とリアムの刀があれば生き残る可能性があるだろう。
だがアリシアは難しい。アリシアのスキルは完全に長期戦向き、短剣もスピード重視で回避からの一撃必中、迷宮では不向きにもほどがある。
客観的な俺がまた甘えていたんじゃないのかと言ってくる。
学園という一見ある程度平和で皆が協調性を学ぶような場だったらのんびりと成長すればいいと思っていたんじゃないのかと。
この学園はそうじゃない。常に誰かを蹴落とし上に行かなければいけない。それがどんな方法であっても。
奪われてからでは遅い、そんな簡単なことにも気づかなかった。
ルシアのことで変われていなかったんだ俺は。
アレクには才能と呼ぶべきか特徴というべきかある変化があった。
剣は人を表す鏡。
攻撃的な人間の剣は攻撃的に。
内気な人間の剣は内気な守りの剣に。
だからこそ皆自分にあった戦い方を探す。
攻撃的な剣をより攻撃的に。
守備的な剣をより守備的に。
そう極めることが強くなるための近道だった。
だがアレクはそうでなかった。
彼は転生者だという仮面、色々な仮面をかぶることにより本当の凛という男はどこかに消え彼は何者でもなくなった。
何者でもなくまっさらだからこそ誰にでもなれる。
そしてどんな剣でも振るうことができる。
「遅い。」
カンガルーもどきのパンチをギリギリで躱し首を一閃ではねる。
「遅い。」
イノシシもどきの突進をイノシシの四肢を斬ることで出来なくする。
「遅い。遅い。遅い。遅い!遅い!!遅い!!!!!」
レオンの剣は更に磨きをかけていく。
人は窮地に陥ったとき今までに出したことのない力や考えを思いついたことがあるだろう。火事場の馬鹿力と言ったりもする。
それは覚醒だ。
だが覚醒は誰にでも訪れるものでもないし準備が単純に足りていなければ意味はない。
だがアレクは違う。学園に入ってからも基礎だけはしっかり鍛錬し毎日5キロのランニングに筋トレ、覚醒の準備だけは行っていたのだ。
そして覚醒の一部分だけを見て凡人は天才だとその人のことをいう。
才能のある者は自分の成長できる瞬間を逃したりはしない。
こうも肉ばかり斬っているとどう斬れば斬りやすいか分かってくるな。
今もカンガルーもどきの腕の筋肉の繊維の間を綺麗に斬っている。
そうやって40体ほど斬っただろうか全身血まみれの俺は魔物からしても恐怖なようで殺気を向ければどいつもこいつも立ち尽くしている。
「アリシア、、大丈夫か?」
「だい、、じょう、、ぶな、、わけない、、、でしょ。」
少し見た感じでも肩は外れ肋骨なども折れてしまっている。
リアムとフィミスもなんとかここに辿り着けたようで
「レオン、アリシアは大丈夫だよね?」
「アリシア、大丈夫だよね?」
言う言葉なんて決まってる。
今の俺は
「俺にできないことなど存在しない。我は使徒、力をエクストラヒール。」
「エクストラヒール、上級で最も難しいとされてる魔法まで使えるんだね。」
「アリシアーーーーー!!!!!!」フィミスが泣きながらアリシアに抱きつく。当の本人は寝ているようだ。
「さて、次はお前たちゴミの処分だ。今この瞬間から俺から奪おうとする者、奪った者全てがゴミだ。そして俺の敵だ。命を持って償ってくれるよなー?」
リアム視点
レオンのあんなにも怖い目を見たことがなかった。
僕の家は日の国で中の下といった立ち位置だった。僕の家では特段優秀な者が生まれることはなかったがみんなが平均以上にはできた。
日の国は天照1族と武尊1族と大国主1族の3族がトップを取り他の1族は3つのうちどれかの1族の参加に入らなければ出世できなかった。
でも我が家は過去に大きな問題を起こした。3族にはそれぞれ受け継いできた武具があった。そして武尊の武具を我が家の誰かが盗んでしまったのだ。無事武具を返されたが武尊、大国主の2族は納得しなかった。
小さい頃に一度何年前の事件の話をしているんだと思いながらも父に連れられ武尊1族の族長に会ったことがあった。
目が違った。
オーラが違った。
戦わずともわかる強さ。
威圧感。
どれをとっても一流で我が一家では太刀打ちできないと悟った。
だから僕は方針転換した。武尊1族に勝つなんていうものではなく武尊1族より強い人に仕えたいと。
レオンの目は本物だ。
すべてを焼き尽くすような漆黒の目と
すべてを発展させる豊潤な目を持った
全く別の力を持つレオンを。
僕はこの人に仕えると誓った。




