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始まりの王へと至る道  作者: 社不帝
魔法国の陰謀編
36/83

魔法国の盗賊4

私、エリナ・ミラーの告白。


私はこの世界に全く興味がなかった。退屈していた、飽きていた、と言い換えてもいい。


私の家はミラー伯爵家。爵位の高さで言えば


王族

光爵{帝国だけ}

公爵{同率で辺境伯}

侯爵

伯爵

子爵

男爵


下から3番目と決して低いわけではない、欲しいものも手に入れようとすればほとんどが手に入るし、じゃあなんで退屈か。


それは多才だからと言える。多才、普通に聞けば何でも幅広く出来ていろんなことを平均以上に天才や奇才にかなわないとしても出来るという素晴らしいものだ。


だが同時にわかってしまう。自分はいかに何かを極めようとしても絶対に1番になれないと。きっと何でもすぐにほとんどの人より出来るようになれる。しかし一流になれても超一流、トップには絶対になれないと悟ってしまう。


何か出来なかったことがないから努力の仕方がわからない、しようとしないこれが私の今までだ。


退屈と言っても最近までは多少楽しかった。私と似たような存在の母が居たからだ。私の母はミラー伯爵家出身で父を婿に迎えて結婚した。母は私と同じで人生に退屈していたんだと思う、父を愛していなかったわけじゃない。もちろん母は父を好きになり私という子供を産んだ。それに間違いはない、でも多分、母はずっと何かで1番になった人に憧れていてそしてそういう人に好意や興味、関心があったのだと思う。


小さい頃に読んだ初代勇者の冒険という本を初めて読んだときはすごく驚き、何度も何度も読み返した。そのうちに憧れへと変わった。でもやはり悟ってしまう。私は勇者のように世界で1番強い人になれないと。きっとそれは母も一緒だったのだろう。今でも私が初代勇者の冒険を目を輝かせてみていたのを母がどこか遠い日の昔の自分を重ねてみているようだ。


母と父の関係が上手く行っていた時期は短かったように思う。320歳というエルフでは高齢の方でいつまでも1番に憧れていた母と240歳というエルフでも中年齢と言うべき年齢で、いつまでも母が自分のことを見てくれていないと嫉妬していた父、関係が壊れたのは母の死がきっかけだ。


私は双子の姉で妹は天才と呼ぶべき子だ。だから父は私と妹を比べ魔法の天才である妹を溺愛した。きっと私と死んだ母を重ねていたのだと思う。


家での居場所はどんどんなくなった。うちの伯爵家は伯爵家の中でもお金が財力が特になかった。魔法の先生も優秀な人をつけるにはお金がかかる。





だから私は売られた。




生物開発研究所に。


ここは非人道実験ばかりやっているところで合成獣の開発から人造人間の製造までやっている。もちろん国公式の機関ではないが国との結びつきは明白にある。国外にはただの実験場としか言ってない。


だからこの研究所に助けはない。


この研究所の私が居たところは8歳未満スキル覚醒部門という所で名前の通り8歳未満というスキルを持たない年齢でスキルを手に入れるというのが目的だ。


研究者たちはまずスキルとは体のどこを使って発動しているのかを考えた。候補に上がったのは3つ。頭と体と魂というものに分けて考えたようだ。魂は研究の仕方がわからないので頭と体に絞った。


まず体から開始した。やった実験としては主に8歳未満の子供の手や足を大人と入れ替える{他人の体を移植したからか失敗、スキルも出なかったし移植した部分も腐った}とか体を8歳児並に大きくしたらスキルを得られるんじゃないかと体だけを大きくさせた子供が出来たり意味はまったくない。{やってることが頭悪いと思うがこの実験はこの世界で色んな場所で研究しつくされていてそれでも出来なかった}


次は頭。頭と言ってもこの世界にはヒールしかないのでやれることといったらほとんどなく直ぐに実験は中止された。


研究者たちは焦った。このままでは自分たちの居場所がなくなってしまうと、




だから魔族に頼った。


魔族は見た目はエルフや人間とあまり変わらないが中身は全くの別物。魔族の中にユニス族という種族がある。この種族の特徴は他種族に寄生というか合体というかすることが出来る。


大人のエルフの体半分や頭半分をその種族のものが乗っ取っても人格が2つになってしまっておかしくなってしまう。だったら人格のまだ弱い子供のエルフや人間ならどうか。


成功してしまった。


子供の頭半分をユニス族のものにすると10日ほどで普通のこどもの頭の大きさに戻り、しかしその移植したユニス族の魔族のスキルを得ることが出来た。{魔族には損しかないのでこの前の襲撃のように人間が魔族に手を貸した}


だが子供とユニス族で作った子達は皆、頭と精神年齢があがり人格は子供。気持ちや感情は子供なのに知識や経験は豊富という歪な形で成功した。


私も例外ではなく外見は全く前と変わらない。でも頭半分は自分のものでないと思うと心がおかしくなりそう。


研究は大成功で終わった。


そしていまここにいる子供たちは一期生として研究結果を取りに来ている。



こうして私の人生は終わると覚悟した。


運良く国境警備隊の隊長以上の人に会うなんて99%無理だ。


だが心のどこかで1%ほど勇者のような人が助けてくれるとどこかロマンチックな出会いを望むのだ。

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