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始まりの王へと至る道  作者: 社不帝
魔族襲撃編
31/83

魔族9

アレクの父アイザック視点スタート

帝国王宮、王であるアイザック執務室で。


「まさか、魔族に人間も多くいる魔法国が手を貸すとわな。」

「逆ですよ。オリビアくんの話じゃ襲ってきた魔族に手を貸してたのは人間とのことですよ。人間は私も含め短命です。ですからいかに魔王が強いかというのを忘れやすいのです。」

この帝国の宰相であるライムは言う。宰相は人間であり代々この国の王に仕える一族である。


「なぜ魔族に手を貸すんだろうか?この大陸には魔族が悪だということが強く残っていると思っていたんだけどね。私は、」

ルシアの父ルークは言う。


「諜報員によるとエルフが国の中枢を担い、人間たちがあまり出世できていない現状に満足いかず、だからといって反乱しても勝てないってことが分かっているからこそ自国に内緒で魔族に手を貸していたってことでしょう。」


「勇者なくして次の魔王相手に勝てると思っているのか?」

「そうだね、私はもう今回の戦いで更に命を削ってしまったから次の魔王復活まで生きられそうにないから、ルシアにやってもらうしかないだろうね。


、、、娘にこんな責任を押し付けたくなかったんだけどね。」

と残念そうな顔で言う。


少し湿っぽい雰囲気になってしまったところで雰囲気を変えようと宰相が喋る。


「勇者は今まで勝ってきたのは偶然か必然か分かりませんし相対してみないとわからないものですよ。ルシアくんにとってもいい経験になったんじゃないですか?」

「実践に勝る経験は無いというけど流石に危なかったよ今回は」

「ですね。対応策は考えますが魔法国相手にも考えないといけませんし」

「我が国を攻めに来るつもりか。そっちが殺る気ならやってもいいんだけどな」

「王よ。いま我が国が戦えば確実に負けますよ。」

「勇者である私が出なければね。」

アイザックは苦い顔をする。


こうして3人の話題は尽きることなく夜中までかかることとなる。













3人が話している頃、魔法国で

「計画は失敗に終わったそうだよ。」

「ふん、あんな計画なんてなくても俺様が真正面から潰してやるよ。勇者ごとき。」

魔族の中でも凄まじい巨漢の男が言う。

「そう言うけどさー、正直勇者って強すぎると思うんだよねー。なんとかする方法ないんかねー?」

生き物とは思えないほど白い肌の魔族が言う。

「今のところはないけどね、いつかはなんとかするつもりだよ。」

眼鏡をかけた知的な魔族が言う。

「まだまだ俺様の出番はなしか。つまらん。」

「今回は仕方ないよー、襲撃させた魔族だって大したことないやつで様子見したんだしー。それよりちゃ~んと後始末はしたよね?」


「もちろん。襲った魔族の死体も死んでた人間とエルフの死体も回収しておいたさ。それより、この私達が表に出る頃には舞台は整えとかないといけないしね」

「ち、勇者を殺れるというから話に乗ってやったのに」


「えーーー勇者を殺れるって言われて入ったのー?キャハハハハ、ウケるーーあんなバケモン相手にー?」

「ふ、この私と組めば勇者も魔王様すらも超えて世界の覇者になれるのだからな。」

「まあいいぜお前の舞台が整うってのを待っててやるよ。」

「僕も僕もー」

「ああ、感謝するよ。そして我ら暗黒三天が世界を支配する舞台準備まで待っててくれると嬉しいよ。」


この3人が今回の勇者暗殺未遂の首謀者であり魔族のなかでも生粋の頭脳と戦闘力と発明家であるのだ。


この3人がこれからの時代の動きを大きく変えるかもしれない。






アレク視点


俺は今ルシアの私室の前で座り込んでいる。

「アレク様、入りますよ。」

「待ってくれ、心の準備が」

「もうそう言って2時間ですよ」

「そう言うけど、、」

どんな顔して会えばいいのだルシアに。

俺は前世を含めたらオリビアより長く生きている。だが日本では命を奪われるなんてことは殆どない。友達が通り魔に刺されたなんて話を聞かないように。


だからなんて声をかければいい?慰めか、謝罪か、哀れみか?

何をすれば少しでも救われる?

「アレク様」

「なに?」

「今回、1つのことがわかりました。私もアレク様もルシア様も弱い。」

「たしかにそうだ。俺たちは弱い。」


この世界に来てから俺は魔法やら剣やらを使って勝手に強くなったと思っていた。だがそれは傲慢だった。俺より強い人間なんてこの世に無数に存在している。


「そしてそれはルシア様も分かっているはずです。私やアレク様以上に。ならかける言葉など決まっています。ルシア様はアレク様が思っているほど弱い人ではありません。」

「よし、行こう。」

アレクは立ち上がりルシアの私室へと入っていく。


「、、アレク、、」

久々に見たルシアの顔は涙でぐちゃぐちゃだった。何日も寝ていないのかまたまた泣きすぎなのか目の下には大きな久萬と涙の跡がくっきりと残っている。

「ルシア、、今の君に言うのは酷かもしれない。でも言う、慰めでは強くなれないから。、、俺たちは弱い。どうしようもないほど弱い。守りたいものを守れる力がない。だから強くなるしかない。

俺は始めて人の死ってものを感じてこのまま奪われてばかりじゃやだと思った。」

「それは私も。」

「だったら奪われないために強くなるしかない!!今のルシアは立たなきゃならない。もう何も奪われないために」


「強くなりたい!!強くなりたい!!!強くなりたい!!!!!!!!」

「なら立ってまだ奪われてないものを守ろう。一緒に強くなろう。」

「うん!!」

「私もアレク様のために強くなってみせます。」


ルシアはそう言って俺に抱きつき少しドキッとしたが俺の服に鼻水と涙を盛大につけ立ち上がった。


そして跪き、


「どうしたの?」

「私達、勇者は常に人間やエルフの守護者。基本は中立。だけど私はアレク。あなた個人に忠誠を誓います。アレクの剣となり盾となり一生アレクのために尽くします。」


そう急に言って手にキスをされた。

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