魔族8
「なぜ剣が当たんないんだーーーーー!!!!」
ヴァインは今までにないスピードで全力で剣を振るう。
アレクに対し何度も何度も剣を振るうがその度にアレクがヴァインの剣の力の向きを変えられアレクにの周りの地面を削っているだけでアレクに当たらない。
さらにルシアを狙っても瞬時にアレクが守りに入るため剣が届かないのだ。
「お前の敗因は2つ、ヴィルクと共闘せず自分が上に立とうとヴィルクを蹴落とそうとしたことと俺がいつまでも弱いままでいると思ったことだ。」
そう言いながらもアレクはヴァインの剣の力を流し剣が自分に当たらないようにする、何度も何度も剣がぶつかるたびに。
だがそれでも徐々に押し込まれている。アレクは本来であればもう立てないくらいの負傷なのだ。
「、、アレクは、私が、、、、守る、、、、」
ルシアの声が聞こえる。
「安心しろ。俺がこれからも守ってやる。」
勇者は最強だ。そんなこと分かってる。でも人々を魔王から守るのが勇者だとしたらその勇者は誰が守ってやるんだ?
俺だ!!!
まだ倒れるわけにはいかない。もうきっと、きっと、オリビアが来てくれるのだから。
「うあああああああああーーーーーーーー!!!!!!!」ヴァインは最後の力を振り絞り今までで最も重い一撃をルシアめがけて出す。
それをアレクは剣の力を流すが
「そう来ると思ったぜ!!!」
ヴァインは剣を手放しそのままタックルしてくる。
この体重でぶつかられたら死ぬ!!!!!
と思ったが
「アレク様、遅れて申し訳ありません!!!」
オリビアはヴァインの死角であった背後から現れスキルを使い愛剣シヴァリオで一閃する。
「虚空一閃」
ヴァインの体は上半身と下半身が分かれるように真っ二つにオリビアに斬られた。
「、、、、オリビア、、遅いよ、、、、、」
やべ、倒れる。そう思ったが俺はオリビアに地面にぶつかる前に抱きかかえられる。
「アレク様頑張ったのですね」
アレクは自分の意識が遠くなっていくのを感じながら気絶した。
目が覚めるとこの世界に来てからは何度も目にした天井が見える。
ああ、生き残ったんだな。
「アレク様、お目覚めになられましたか?」
「うん、おはよう。随分寝ていた気がするんだけど。」
凄まじい体の痛みが意識が覚醒するにつれ強くなってくる。
「そうですね。大体2週間くらいはあの日から経っていますね。」
「もうそんなに経ったのか、ルシアは!!ルシアは大丈夫だよね!!??」
「はい、3日前にはもう意識が戻っております。」
「そっかそりゃよかった。これで1番気になってたことは聞けたよ。で、誰が死んだんだ?」
「はっきりお聞きになるのですね?」
「あのレベルの魔族がどんだけいるんだか知らないけど親と子の勇者を狙ってると言っていたからね。俺でも奇跡としか言えないほどの戦いだったのだから。」
「エヴァさんとルシア様のお父様のルーク様も襲撃され一命をとりとめておりますが光爵家の手練れのエルフと人間が合わせて20人ほど犠牲になってしまいました。」
客観的な俺が言ってくる。これは予測不能の事態なんかじゃない。誰でも思いつく勇者の倒し方だろうと
、、、そうか結局奪われてしまったのか結局。俺が弱いばかりに
「ここまで被害が出てしまったのは僕達王族が予想できていなかったからだね。ごめん。」
「いえ、私は生き残ることが出来ましたし、このことはどれだけ考えても調べても事前に察知は出来ませんでしたよ。」
「それってどうゆうこと?」
「襲撃者の中にいた魔族以外の人間たちの出身国を調べたら魔法国のものが全員でした。」
「ってことは魔法国は魔族と裏で繋がってるってこと?」
「おそらくは。」
また魔法国。魔法国と聞いて思うのはやはりアメリア様だ。今回のことに無関係だとは思いづらい。あのとき魔族は俺たちと反対側から来た。たまたまとは思えない。それにあの日急にルシアがピクニックに行くと言ったのにどうやってそれをあんな早く知った?
疑問は尽きない。でもあのことを思い出した。
「ねえ、オリビア。魔族の遺体って見た?」
「それが、、」
「どうした?」
「私がアレク様とルシア様を担いでこの王宮に戻ってきて念のためにと調査隊を送ってもらったのです。そしたら現場には一つも遺体がなかったと報告されました。」
「1つもだと?」
「はい」
「エヴァの遺体は?」
「エヴァさんのもです。」
「、、どういうことだ?魔族の死体を消す魔族がいるのは分かる。顔を焼かれてたりしてたから顔を見られたくなかったとかなにか不都合なことがあったんだろう。でもなぜエヴァさんの遺体を消す?」
、、、というかなぜあの魔族は顔や体が焼かれていた?
「ねえ、オリビア。オリビアの斬った魔族の死体見た?」
「いえ、少しは見ましたが急いでいたもので」
「肌が焼かれてたとかそんな感じのことなかった?」
「そうですね。焼かれてかもしれません。」
もし意図的に魔族の顔や肌を焼いている魔族がいるのだとしたらそいつはなにか隠したいことがあるんだろう。
でも、分からない、分からない、分からない。
情報が足りない。
、、、、、、、そういえば魔族って何なんだ?
誰にもどう生まれたのかいつ生まれたのか、何で分からない。
「アレク様、アレク様!!アレク様!!!」
「お、おう。どうした?」
「アレク様があまりに真っ青な顔で黙り込んでしまったので心配で」
「ああ、」
この疑問はきっとこの世界の根幹に関わる部分だと客観的な俺が告げている。
魔族との最初の戦いはこれが終わりです。ここからはこの襲撃の後の話となり、あと20話?30話?くらいで学園編へ入りたいなと思っています。




