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始まりの王へと至る道  作者: 社不帝
魔族襲撃編
26/83

魔族4

「そろそろスキルを使うかねえ!!!スキル筋肉増強!!」


「まずい!!」

全身に寒気を感じこのままでは危険だと判断し距離を取る。


「何だその体は??」

さっきよりもヴィルクの体は1まわり小さくなっている。だが違うのは筋肉の色だ。明らかに黒に近い色になっている。


「この筋肉はなあ、普通の筋肉じゃあねえ。どんどん増えていく、今の段階でもさっきの2倍の筋肉だよ。見た目じゃあ筋肉が増えたかなんて分かんねえだろうが分かるか?スピードも力も2倍なわけよ。剣なんて使わずとも一瞬でお前を吹っ飛ばせるってことだよ」


と言った瞬間に剣をこちらに投げてくる。速い。そう思っている間にもヴィルクは走り出しさっき投げた剣の少し後ろを走っている。このままだとほぼ同タイミングで剣とヴィルクの攻撃を相手にしなければならない。


咄嗟に飛んできた剣を俺の剣で真上に弾き、それをそのままキャッチしてヴィルクに投げる。剣はヴィルクに刺さりもせず弾かれる。


俺はヴィルクの攻撃を受け止めるのではなく流すことに決めオリビアと一緒に練習した力を流す技を身体強化をフルに使って流そうとする。


だが、増強した筋肉によって攻撃力の上がったヴィルクの力を流せない。

「く、、、身体強化を最大限に使っても流せないのか!!!」

「今の俺の力を流せるわけ無いだろ!!」


ヴィルクに押し負けてドオーンと言う音を出しながら後方の森へと飛ばされる。

「イタタタた。どんないかれたパワーしてんだよ。」

おそらく今ので肋骨の骨が2本ほどヒビが入ったかもしれない。

「どうだ我が筋肉は。この体なら剣も通らない。鋼の体と言ってもいい!!。」


こいつを倒す方法は1つ。俺の力を流す技であいつの全力の攻撃をこの体に乗せて斬るしかない。


「まだまだ行くぞ!!」


ドアン、ドアン、ドアン、と俺の剣と拳が当たる音がする。


攻撃を剣で受けるが衝撃波のようなものからか体の骨に明らかにダメージを負ってしまっている。


「骨が多少折れてきてんじゃないのか、そろそろ限界か???!!」

「まだ一本も折れてねえんだからいいんだよ!!」


なんとか攻撃を流そうとしているがやはり流しきれない。だがそろそろこいつも決めに来るはずだ。

最高の攻撃が最高の弱点だ!!そこしかない。


「じゃあそろそろ、決めに行ってやろう」

今日始めて見せた拳の構えは前世で見た正拳突きのような技だった。


俺は返しの構えをし攻撃に備える。

「来い!!!!!!!」


「インパクト!!!!!」


ヴィルクの攻撃の力を返そうとするが踏ん張りが効かず、体を吹っ飛ばされる。

それと同時にまるで攻撃が貫通するように俺の体を通り抜け、骨を3本ほどおられた。


「ぐうううーーー!!!」

「凄まじい痛みだろ、楽にしてやる。」

もう1度ヴィルクが拳を構え正拳突きの構えをする。


まずい、もう一度受けたらもう立てない。今でもギリギリなのにもう1度は無理だ。1度受けたんだ、経験したんだ、俺なら返せるはず。

俺はもう1度返しの構えをする。これが最後のチャンスだ。


一瞬周りの音が消えてなくなる。今までに経験したことがない痛みだからこそ、集中を上げていく。

アレクは確信した。この技が今までで一番いい技だと。

来る!!!!


ヴィルクが正拳突きをしてくる。さっきまでよりも少し速い。返すんだ。俺ならできる。


このときまるで世界が止まっているような感覚になるほどアレクにとって長い時間だった。


ヴィルクの拳の威力を流しそして一回転し流した力を自分の剣に込めヴィルクを斬る。

「うあああああああああーーーーーーーー!!!!!!!」

凄まじい雄たけびを上げながら俺はヴィルクの体に深く剣を突き刺していく。

「どこにそんな力があったのだ!!!く、、、くそがーーー」


アレクの剣はヴィルクの体を真っ二つに斬る。


「勝った!!!」


そう思うのもつかの間。目の端に見えるのはルシアが追い込まれている姿と力を使いすぎて倒れてしまうアレクであった。

「体が動かない!!!」





・・・感触がする。


今、俺は人をいや人ではない魔族だ。


いやそれもいいわけか。殺したのだ。


感触が残っているのだ。肉を骨を自分の手で斬る感覚が。


生き物の命を奪う感触が。


ルシアの命を狙っている魔族を殺した。


仕方なかった、勝てたのは奇跡だしでももっと方法があったんじゃないかと思う。


客観的な俺がそんなこと無理だと。奪おうとしてくるものに慈悲は必要ないと。


でも殺さずに無力化出来るほど力があれば、・・・いやこれは所詮タラレバだ。意味はない。


だが1つ分かることがある。俺は弱い、どうしようもないほどに。


王を目指していても自分が生き物一つ人間、魔族の命1つでこんなにも動揺してしまっている。


きっと憧れた王ならこんなにも動揺したりしないはずなのに。


まだ感触が残っている。でも戦いは終わっていない。


立たなければルシアを守れない。


この感触をなんとか抑え込み思考を切り替える。



それでもヴィルクを見る。さっきまでフードで見えなかった顔があらわになる。


俺は恐怖を覚えた。


なぜならヴィルクの顔は火傷によって元々がどんな顔だったかどんな肌をしていたのかさえわからない。だが確実にわかることが一つ。何者かに全身を焼かれているということが。

スキルは言う必要はありません。ヴィルクが好んでやっているだけです。

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