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【完結】猫魔法が世界に革命を起こすそうですよ? ~劣等種なんて言われるのならケモノ魔法でリベンジします!~ 書籍化・コミカライズ  作者: 海野アロイ
第1章 賢者様、まさかの解雇宣告を受けるも、妙な弟子が転がり込んできてわちゃわちゃになる
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7.賢者様、魔力紋偽装の禁忌魔法【猫の液体仮説】をついに発動させますよっ! えっ、違法じゃないかって? ……罰する法律がないから大丈夫!

「よぉし、それじゃ、お待ちかねの禁忌魔法を発動させるよ。危ないから下がってて」


 私は魔法陣を出現させると、禁忌の猫魔法を発動させる。


 魔法の名は【猫の液体仮説(ビヨンドザルール)】。


 猫は普通にしていると固体ということになっている。

 だけど、ときおり液体のようにぐにゃぐにゃになる。

 箱にすぽっと収まったり、階段をにゅるにゅる落ちてきたり変幻自在。


 いわば、猫とはこの世界のルールから解き放たれている存在なのだ。


 この魔法は猫のそんな特性をヒントに開発された魔法なのである。


 これを使えば、私の魔力紋を書きかえることができるはずなのだ。

 まぁ、あくまでも偽装するだけで、本質的な能力は変わらないんだけどね。


 さぁ、やるぞっ!


「世界のことわりから逸脱した、あまたの猫たちよ……」


 ごごごごごごごごご………


 魔法の詠唱を開始すると、膨大な魔力が私の体から放出される。

 地響きのような音がして、部屋の壁がぴしぴしときしみ始める。

 

 今回の魔法陣は一般的なものとは異なり、大分、禍々しいものだった。

 私自身でさえ、緊張のあまりごくりと喉を鳴らす。


「かっこいいですねぇ! 新しいお師匠様が生まれるなんてわくわくします!」


 そんな魔法陣を見ても、ライカの声のトーンは明るいままだ。

 獣人の中には魔法自体を怖がる人もいる。

 その意味では、彼女には才能があるのかもしれない。

 頭が単純すぎて恐ろしさが理解できていない可能性も大いにあるけど。


「さぁ、私の魔力紋を書き換え、新しい存在へと生まれ変わらせておくれっ!」


 私がありったけの魔力を込めると、魔法陣から液体と固体の2匹の猫が登場。

 液体の猫はでれでれと進み、個体の猫はさっそうと歩く。


 液体の猫はにょろにょろと蛇のように変化し、固体の猫は山のように不動になる。


 液体の猫はあるときはバケツにはまり、あるときは容器にはまる。


 固体の猫はびしっと二つの足で立ったり、マッチョになったりする。


 固体と液体の終わりなきパレード。

 それが猫の本質なのである。


 しかし、それらはぐるぐると回り始め、まじりあう。

 やがて私の周りで光の帯を作り始める。


「うわわわわわ! す、すごいですよっ! 猫ちゃんの帯が光ってます!」


 ライカが興奮して声をあげる。

 確かに我ながらすごい魔法である。


 ばしゅううううんんん………


 凄まじい光が足元から沸き起こり、私の目の前はホワイトアウト。




 ―――気がついた時には、私は床に突っ伏していた。


「ひぇええ、服が吹っ飛んじゃいましたよぉおお!?」


 ライカの驚く声が部屋に響く。

 記念すべき禁忌魔法の発動だったのに第一声がそれか。


「は? 服が吹っ飛んだ?」


 あ、いっけない、魔力紋書き換えのショックで服が弾けることを忘れてた。

 私は下着姿になっているのだった。


「あたたた……」


 魔法の後遺症なのかちょっと頭がくらくらする。

 立ち上がろうとすると、ライカが手を貸してくれた。

 この子、性格はなかなかに優しい。


 しかし、「見たか、これぞ禁忌魔法だよっ!」ってやろうと思っていたのだが、下着姿じゃかっこがつかない。

 とりあえずローブを体に巻き付けることにした。


「す、凄いです! お師匠様! なんだかちょっと別人ですよっ!」


 ライカはそういうと私の目の前に姿見を持ってくる。


「こ、これが、私……」


 そこには髪が深緑になった猫人が立っていた。

 顔は私にそっくりだけど、全く同じとは言えない感じだ。

 自分によく似た別人になるのって、なんだか変な気分である。


 私はほっぺたを触ったり、ジャンプしたりして体の感覚を確かめる。

 うん問題ない。

 いい感じだよ。

 魔力だって、そのままみたいだし魔法も使えるはず。


 魔力紋はすぐには分からないけど、たぶん、大丈夫だろう。



「うふふ! 相変わらず、かわいいですよっ! イメチェン成功ですねっ!」


 ライカはきゃああなどと言いながら飛び跳ねる。

 あんた、あたしゃ師匠だよ。

 かわいいとか言うもんじゃないよ。


 第一、これはイメチェンなんて甘いもんじゃないんだけどなぁ。


 だけど、素直に嬉しい。


 新しい私もいい感じかもしれない。

 なんていうか、何もかもがしっくりくるのだ。

 まるで昔から、この体を知っていたような感覚というか。


 

「それにしても、体型とかは変わらないんですねぇ」


 ライカはそういうと、うふふと笑う。

 

 ……よく考えたら、その通りだ。


 どうして、この姿で落ち着くのかって考えたら、ほとんど体型が変わってないからだ。

 身長とか一切変わってないぞ、こりゃ。


 しかも、あれだ。


「……まさか」


 私は自分の胸元やお尻に手を当てて感触を確認。

 それから、しばし絶句する。

 


「だぁあああ! しまったぁあああ、ナイスバディのぷりんぷりんにするの忘れてたぁあああ!」


 頭を抱えて後悔する私である。

 別人になるにあたって、いっちばん大切なことを忘れてしまっていた。

 

 今までのちんちくりんを卒業するいい機会だったのに!

 もっとこう何ていうか、高身長でぱっつぱつになる予定だったのに!


 あぁあ、やっちゃったよ。

 どおりで下着が吹っ飛ばないはずである。


「大丈夫ですよ。私はこのサイズのお師匠様が大好きです!」


 私より頭一つ背の高いライカはそういって私を抱きしめてくれる。

 相変わらず馴れ馴れしいやつだが、問題はそこじゃない。


 彼女の抱擁によって、ふんにゅ~と暴力的に柔らかなもので顔が包まれる。


「ふぐはっ!?」


 こ、この子、でかいっ!?

 魔法使いのローブを着ているから今の今まで気づかなかったけど。


「ええい、君は自重ってものを知りなさい!」


 ちくしょう。

 持っているものは、いつだって、持たざる者を不用意に傷つけるのだ!!!



 後日談。

 ちなみに、後でこっそり二度ほど禁忌魔法を繰り返してみたものの、やっぱり体型は変わらなかった。ちっきしょう。覚えてろ。



【賢者様の使った猫魔法】

猫の液体仮説(ビヨンドザルール):猫は固体か、液体なのか? 古今東西の様々な賢人が議論するほど重要かつ哲学的な話題である。世界のルールに対してさえも曖昧な猫の態度をヒントに生み出された魔法。冒険者ギルドの水晶玉の鑑定魔法を突破することができると目論んでいる。あくまでも魔力紋を変更することに重点が置かれているため、能力は変わらない。悪用厳禁。

「面白かったにゃ」


「続きが気になるにゃ!」


「そうか、変わらないのか……」


と思ったら、


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[一言] ちんちくりん卒業ならず.... 何度でも言おう強く生きろ....
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