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アイムキャット❕❕~猫王様の異世界観光~  作者: ma-no


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23 迷宮に挑戦にゃ~


 紅蓮竜討伐の報告を終えたその日の夜、今日は買い食いでお腹を満たそうと露店の集まる広場に向かったら、勝手について来ているサトミがブーブーうるさい。


「今日は作らないのですね……ドラゴンステーキ食べたかったのに……」


 勇者パーティもドラゴン肉を保管しているらしく、べティとわしに作らせたかった模様。サトミの好物ということもあり、ずっとわしを抱いて離してくれない。逃げないのに……


「明日でいいにゃろ~。べティもいま、メニューの考え中にゃ。待ったほうが美味しいドラゴン料理になるはずにゃ~」

「たしかに……期待していますわね!」

「え? なに?? キモッ!? いまのどうやったの!?」


 サトミはわしをポイッと投げ捨てて、べティの体にヘビのようにまとわりついたと思ったら、次の瞬間には後ろから抱いていた。

 こんな気持ち悪いことをやっているのに、やっぱり教えてくれないサトミ。べティに頬擦りして、どんな料理を作ってくれるのかと尋ね続けるのであったとさ。


 露店でしこたま食ったら、腹を押さえる勇者パーティの手を引いたり担いだりして宿屋に戻る。勇者パーティはスウィートルームに放り込み、わし達は部屋に戻って夜食。コリスとの約束、巨大オムレツを作らないといけないからだ。

 ドデカイフライパンを用意して、ベティに振らしてみたけどけっこうキツイみたい。なので渋々わしがフライパンを振ってなんとか巨大オムレツは完成したけど、ベティに「火を入れすぎ」とダメ出しを喰らった。

 なので「にゃ~にゃ~」喧嘩していたら、巨大オムレツは消えていた。コリスの頬袋に収まったっぽい。

 そんなことをしていたらわしもお腹が減ったので、ベティに超おいしいオムレツを作ってもらい、「怒ってごめんね」と謝罪してから眠りに就くのであった。



 翌日はグースカ寝ていたら、朝早くからノックの音が響いたが、わしはまったく気付かず。べティは気付いたらしいけど、無視を決め込んだそうだ。


「にゃに!? いにゃ~~~ん!! ゴロゴロゴロゴロ~」


 しかし、別室で寝ていたアオイが扉を開けてサトミを招き入れ、二人にモフられてわしは目覚めた。


「ゴロゴロ~。起こすにゃら、もうちょっと優しく起こしてくれにゃ~。ゴロゴロ~」

「やりましたけどまったく起きる気配がなかったので、べティ様がこうやれと……」

「ゴロゴロ~。本当にゃ? その手はいつ止まるにゃ?? ゴロゴロ~」

「ハッ!?」

「ゴロゴロ~。気付いたにゃら撫でるにゃよ~」


 サトミの頭の上に電球が浮かんだところを見ると、本当に無意識でわしを撫でていたみたいだが、その手は止まらないから疑わしい。

 とりあえずこれで完全に目が覚めてしまったので、サトミの魔の手から抜け出して用件を聞いてみた。


「一緒にレベル上げに行こうと思いまして」

「レベル上げにゃ~? う~ん……パスにゃ~」

「パスじゃなくて、ついて来てください。これは、アリバイ作りでもあるんですからね」


 なんのアリバイかと思ったら、紅蓮竜とのこと。長期間の拘束はわし達に悪いと思ってか、せめて二日間は要塞都市から姿を消して、紅蓮竜を倒したことにする作戦らしい。


「それにゃら昨日言ってにゃ~」

「言いましたよ? 発表は三日後で今日と明日は身を隠すと……あっ! あの時ゴロゴロ何か鳴ってましたけど、ひょっとして居眠りしてました??」

「にゃっ! 寝起きで頭が回ってなかったですにゃ~。そうそう、そうだったですにゃ~。すぐに準備しますにゃ~」

「完全に寝てましたね……」


 サトミの言う通り、寝てた。椅子に座って腕を組み、考えているように見せて完全に眠る技を使っていたのだが、喉が鳴っていたとは気付かなかった。

 なのでわしはバツが悪いので、サトミの言葉に反論せずに、皆にも準備をするように指示を出すのであった。



 お腹いっぱい食べたら、さっそくチェックアウト。二日後に泊まりに来るからと予約を取ってから宿を立つ。

 サトミはバスを出せと言うので皆を乗せて冒険者ギルドに横付け。ここで勇者パーティは中に入り、しばらくしたら戻って来たので出発。西門から出たら、いまさらサトミに行き先を尋ねる。


「ここなんですけど……わかります?」

「その地図通り行けばいいんにゃろ?」

「はい。あ、それと、最初だけでいいんで、ブッ飛ばしてください!」

「いいにゃ? それじゃあみんにゃ、後方に移動してくれにゃ~」


 こんな畳敷きでは一気にスピードを上げたら危険なので、一番後ろの壁にコリスがくっついたらもういいや。


「レッツゴーにゃ~!」

「「「「「きゃああぁぁ~~~!!」」」」」


 こうしてわしの魔力でベタ踏みされたバスは物凄い加速で動き出し、中央辺りに居た者は後方に吹き飛ばされ、コリスに優しく受け止められて、バスは走り続けるのであった。



「速い! 速すぎます~!!」

「し、死ぬ……」

「くうぅぅん……」

「もっとブッ飛ばせ~~~!!」

「きゃはははは」

「スースー」


 以上、高速バスに初めて乗った、サトミ、ハルト、何故か犬っぽいアオイ、何故か気性の荒くなった女騎士リン、喜んでる妖精モカ、寝ているフェンリルのレオの感想でした。

 ぶっちゃけ高速と言っても、こんな道の整備をしていない所で出す速度なんて高が知れている。最高時速でもいいところ100キロ出てるかどうか。

 要塞都市からある程度離れたら、速度を落として安全運転に切り替えているのだから文句を言われる筋合いはないのだ。


「ブッ飛ばせって言ったのはそっちにゃ~」

「こんなに速いなんて思わないじゃないですか!」

「てか、速く移動できると印象付けたかったんにゃろ? 成功したにゃ~」

「そうですけど~~~」


 サトミの文句をわしが正論で叩き潰し、諦めて世間話に変わり、後部座席の者も安心したのかわいわい喋って一時間ほどで、目的の場所に着いたと思われる。


「アレにゃろ?」

「もう着いたのですか!?」


 目の前には、高さが50メートルはありそうな球体の建物。地図にも絵が乗っているので間違えるわけがない。


「速度もそうですけど、一切道に迷わないのも凄いですね~」

「一本道だったにゃ~」


 どこに迷う要素があるのかわからないが、こんなことを言うのだからサトミは迷ったことがあるのだろう。いちおうそのことを聞きながら、バスは走り続けるのであった。



 球体の建物の前に門らしき物があったので、バスはそこで停止。皆を降ろしたら次元倉庫にしまって、球体を見上げてそこに書かれている文字を読んでいるべティにわしは話し掛ける。


「これで誰の世界か決定的だにゃ」

「ええ。太陽の雫に太陽の迷宮って……隠す気ないみたいね」

「「にゃ??」」


 わしとべティが神様について喋っていると、「ギクッ!?」って聞こえたような気がしたので空を見上げた。


「気のせいかしら?」

「アマテラスは抜けてるところがあるからにゃ~。気のせいじゃないと思うにゃ」

「シラタマ君のことも一年放置してたらしいしね~……ん?」


 太陽に冠する物がふたつもあるのだから、この世界を管理しているのはほぼアマテラスで確定。そう思ってわし達が喋っていたら、不思議なことが起こった。


「太陽の迷宮が月の迷宮に変わってるんだけど……」

「そんにゃことするからバレるんにゃ~」

「あ、戻った」


 そりゃ、慌てて証拠を隠蔽(いんぺい)するから悪い。太陽の迷宮の文字だけ月の迷宮に変えても遅すぎる。せめてわし達の目に付く前にやらないとな。


「怒らにゃいから、謝礼の品は用意しとけよにゃ~?」

「あたしにも~!!」


 わしのお願いにべティが被せ気味にお願いしたら、空から「は~い」と聞こえた気がするけど、べティもなんか貰えるのかな?

 気になることはあるが、サトミ達に何をしているのかと急かされたので、わし達は小走りで皆に追い付くのであった。



 太陽の迷宮の入口から中に入ったらわしは、この建物の構造を確認する。


「ここから上に行くにゃ? それとも下に行くのかにゃ?」

「上ですね。全部で八階層あります」

「ふ~ん。ダンジョンってヤツにゃ~。にゃにかお宝が手に入るのかにゃ~??」


 ダンジョンならば楽しそうなので、わしはウキウキしながら通路を進み、サトミに質問したら首を横に振る。


「ここは別名、経験値だけのダンジョンと呼ばれていて、宝物は何も無いのですよ」

「にゃ? いい物出ないにゃ??」

「はい。日銭を稼ぐ冒険者には不人気となっておりますので、身を隠すにはもってこいなんです」

「え~! それにゃら宿屋でよかったにゃ~」


 わしが「にゃ~にゃ~」愚痴っていたら、少し広めの部屋に出た。灯りも無いのにうっすらと明るいのでそのシステムを聞きながら歩いていたら、べティが飛び跳ねる。


「ぎゃああぁぁ~! ゴキブリ~~~!!」

「ゴキブリ居るにゃ!? いにゃ~~~ん!!」

「モフモフ~~~!!」


 わしとべティとコリス、大パニック。なのに、勇者パーティは冷静なもの。


「そっち行きました!」

「レオさん! 壁に追い込んで!!」


 女騎士リンが報告するとハルトが指揮を取り、足元を素早く動き回る生き物を倒そうと追い回している。


「あっ!」

「ああ~。残念……」

「もうちょっとで倒せたのに~」


 しかし、動き回る生き物は素早いのか、倒し切る前に逃走。勇者パーティは肩で息をしながら残念がるのであった。



 わしとべティとコリスが抱き合ってプルプル震えていたら、サトミからさっきのはゴキブリじゃないと聞かされたので、何度も「本当? 本当に??」と確認してから離れる。


「んで……さっきのはにゃんだったにゃ?」

「シルバースライムです。大量の経験値を持っているのですが、素早いから倒すのが難しいってのも、ここが冒険者から敬遠される理由のひとつですね」

「にゃんだ~。スライムだったんにゃ~。驚かすにゃよ~」

「だって~。足元でカサカサ~ってするんだも~ん。ゴキブリだと思うじゃな~い」


 わしとコリスが驚いたのは、べティのせい。べティがあんな驚き方さえしなければ、ゴキブリの一匹や二匹、怖いわけがない。


「あっ! ゴキブリ!!」

「いにゃ~~~ん!!」

「ほら? やっぱ怖いんじゃん」


 ゴキブリの一匹や二匹、超怖い。だから嘘つかないで~。


 べティに嵌められてわしがやり返して失敗して進んでいたら、またゴキ……シルバースライムの登場。今度は二匹いるらしいので、勇者パーティが追いかけていないほうをわし達が相手取る。


「ほいっとにゃ。ちっさいスライムだにゃ~」

「みんな苦労してるんだから、ちょっとはてこずってあげなさいよ」


 わしに掛かれば、素早いシルバースライムだって止まっているような物。素早く回り込んで鷲掴みにして持ち上げたら、べティに冷たい目で見られてしまった。


「向こうは気付いてないんにゃから、別にいいにゃろ~。それより、べティの攻撃が効くか試してにゃ~」

「わかったわ! マジカルチェ……」

「そこは飛ばせにゃ!!」


 いまは変身はいらないので、まずはナイフで……


「喰らえ! エクスプロー……」

「わしを巻き込もうとするにゃ~!!」


 わしには効かない自信はあるが、そんな大掛かりな魔法はマジでやめて欲しい。絶対に着流しが破けてポロリするんじゃもん。


 べティにやらせるのは怖いので、アオイから試すわしであったとさ。


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