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アイムキャット❕❕~猫王様の異世界観光~  作者: ma-no


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12 まだまだ買うにゃ~


「うんだよ。とっても似合ってるんだよ」

「やっぱり~? じゃあ、これとこれにしよっと。ノルンちゃんのも選んであげる!」

「やっただよ~!」


 魔法の服屋にて、べティの夢をイジリずぎたらテンション駄々下がりしていたのでちょっとかわいそうに思い、ノルンを送り込んでみたのは大失敗。

 わしの指示通り褒めてはくれたのだが、フリフリの衣装を着たべティのテンションが上がりすぎて、もう二着、変身アイテムを買うこととなってしまった。


「うっ……妖精用は生地が少ないんにゃから安くなりにゃせん?」

「高いのは生地の多さじゃないんだよ。てか、妖精用のほうが作り手が居ないんだから高いんだぞ。ヒッヒッヒッ」

「その笑い方が胡散(うさん)くさいんにゃ~」


 この服屋の店主、真っピンクの服に全身を包まれたファンキーババアは値切り交渉にまったく応じてくれない。なので「にゃ~にゃ~」愚痴りながら支払いをしようとしたら、手持ちではまったく足りなかった。


「あたすを騙すとは、死にたいようだな……」

「にゃ!? その包丁はしまって冷静に話を聞くにゃ~!!」


 まだ商品を受け取っていないし支払いも終わっていないから売買は成立していないのに、ファンキーババアは鬼ババアに変身して超怖い。

 なので、かくかくしかじかと事情を説明したら「冒険者カードを出せ」と言われたので出したら、乱暴に奪い取られた。


「ふむ……言ってることは間違いではなさそうだね」

「にゃ? その水晶に当てただけでわかるにゃ??」

「このカードには口座のデータも入っているからね。大口の取り引きなんかは、このカードひとつで支払いなんかもできるんだ」

「わしの口座を勝手に見たにゃ!?」

「んなことできるわけないだろ。金額を打ち込んでみただけだ」


 どうやらこのカードには支払い機能が付いてるので、金額を空打ちしただけで口座から支払いの有無が確認ができるとのこと。このあと、本人確認である魔力を流せば、お店の口座にお金が移動するらしい。

 もうそんなに大金が振り込まれているのかと驚いたが、よくよく考えたら昨日は適当な金額を受け取っただけだから、思っていたより少額だったのかもしれない。


「ふ~ん。それにゃらお金を持ち歩く必要ないんにゃ~」

「そうでもない。この振り込み装置は高いから、置いている所が限られるからな。貴族街やうちのような高級店しか置いてないんだ」

「ここって高級店だったにゃ!?」

「いまさら何を言ってるんだい」


 こんなファンキーなババアが作った服屋なんて趣味でやっていると思っていたのだが、そこそこの巨匠だったみたいだ。いまさらだけど紹介を受けてべティを見たら、「てへ」って舌を出していたからべティは知ってたっぽい。


「もうちょっと安い店は無かったにゃ?」

「ここは一番いい物を買うのがいいに決まってるでしょ! それに……」


 わしが文句を言ったら、ベティは急に小さな声に変わった。


「元の世界に帰ったら、製造方法をパクれるかもしれないし……知的財産権に引っ掛からないからガッポリよ」

「にゃるほど……一理あるにゃ……」

「じゃあ、分解用にシラタマ君のも買っておこう!」

「わしのが分解用にゃの~?」


 そんな面白アイテムをせっかく手に入れたなら使い続けたいのだが、散財をしたくないわしは渋々許可するのであった。


 少しでも出費を減らそうと、わしの変身アイテムは自前の物。いちおう着脱できる物ならなんでも加工できるらしいので、もうこの際壊れてもいい物を出してお願いしてみた。

 支払いは、やっぱりお高い。値段が増えていたが、カード払いでなんとかなったので、完成を楽しみに待つわし達であった。


「やっぱり女の子の服は高いにゃ~」

「まだ言ってるし……」


 わしだけ「にゃ~にゃ~」文句を言い続けるのであったとさ。



 次の目的地は、武器屋……と思ったけど、コリスに抱っこされたのでお食事処。これもべティは調べておいてくれたのか、要塞都市で最近人気のあるお店に連れて行ってくれた。


「ここは高いにゃ~??」

「お昼は安く済ませて、夜は高級店に行く予定よ」

「万全のプランだにゃ!?」


 ホント、いつの間にそんなことをしていたのかと褒めたくなるぐらいべティはガイドブックを作っていたので、もう任せる。

 五軒ほど人気店をハシゴしたら、コリスは大満足。人気店は食料をかなり持って行かれたので困ってたけど……


 昼食を終え、お腹を擦りながら次に入った店は、予定通り武器屋。


「杖の店にゃ~? わしたち剣とか使うんにゃけど~??」

「魔法使いのあたしに必要なのよ! かわいい杖はないかな~??」

「せめて性能で選んでにゃ~」

「ノルンちゃんにも買ってだよ~」

「にゃにに使うんにゃ~」


 どうやらべティは、魔法少女コスプレに合った杖が欲しい模様。ノルンには必要ないはずなのに欲しがっているのは、べティに触発されていると思われる。

 ノルンは自立式ゴーレムだからわしを見て育つと聞いていたのに、べティをマネするなんて浮気もいいところだ。


「だってシラタマは寝てるか怒られてるかだけだから、マネるところが少ないんだよ」

「にゃんで心の声がわかるにゃ~」


 心の声が聞こえるなら浮気発言もツッコンで欲しかったが、都合の悪いことは無視。べティの(そば)に飛んで行って「きゃっきゃっ」とやってるよ。


「どうどう? これにさっきの服を着たらかわいくな~い??」

「ノルンちゃんもいいの見付けたんだよ~」

「うんにゃ。かわいいかわいいにゃ。いいにゃいいにゃ~」

「「二回言った~!!」」

「にゃんのこと??」


 どうやらこんな言い方は女性に御法度。面倒くさがっているとバレてしまうようだ。てか、実際面倒だから、わざと言ってるんだけどな!


 ここでの支払いもカード払い。妖精用の杖のほうがちっさいくせに倍は高いのは納得いかないけど……

 あ、このサイズにイロイロ魔法を付与するのは字が小さくなるから大変なんですか。妖精は基本戦闘に参加しないから誰も買い手がいなかったのですか。そうですか……ちょっとはマケてくんない?


 作業が細かいわりには需要がない物を作ったのは、技術力を知らせる為だとはわからんでもないが、十本も作るお前達が悪い。

 わしに押し付けるならせめて安くしろよ! だから売れないんじゃ!!


 高い素材盛り盛りで作っていたらしく、結局は値引きはしてもらえなかったので、支払いが済んだら逃げるように次へ。ようやく鉄製品が並ぶ武器屋へと足を踏み入れた。



「「「「ドワーフにゃ~」」」」


 そこの店主は背の低い立派なおヒゲのおっちゃん。


「そうだが……何が問題なんだ??」


 数年前、東の国の武器屋でドワーフっぽい人をからかったことがあるので同じようにからかってみたが、本物では伝わらない。


「てか、べティもあのドワーフ知ってたんにゃ」

「そりゃ、王都ではドワーフで有名だったもん」

「だからお前達はなんの話してるんだ!!」


 ドワーフが話に入れずに怒っているので、適当に相手してあげる。


「こっちの話にゃ。それより、この店でいっちゃんいい剣見せてにゃ~」

「客かよ。だが、んなもん見せられっか。俺は気に入った奴にしか売らない(たち)なんだ」

「おお~。ドワーフの鑑にゃ~」

「「「パチパチパチパチ~」」」

「なに拍手してんだ!!」


 わしが肉球をぶにょんぶにょんと鳴らしたら皆が続いてくれたのだが、ドワーフには不快だったようだ。


「冷やかしならけーれけーれ」

「売らないとか言ってるのそっちにゃろ~。いっちゃんいい剣、見せてにゃ~」

「俺はお前達のことが気に食わないから、嫌だ!」

「お酒あげるから機嫌直してにゃ~」

「わかった!」

「早いにゃ!?」


 ドワーフなら酒精が強い物がいいかと思い、猫の国産バーボンを飲ませてみたら……


「気に入った! 好きなだけ見ていけ!!」

「こりゃまた早いにゃ!?」


 機嫌が直ったどころか、一番いい武器も売ってくれるとのこと。どうやら手間賃代わりのお酒を持って来れば、けっこう融通が利くらしい。


「んで、この剣のどこがいっちゃんいい剣にゃの?」

「オリハルコン製の剣に、切れ味アップ、速度アップ、自動修復小が付いているからだ。こんな品質を作れるのは俺しかいないぞ。がっはっはっ」


 ドワーフはバーボンをグビグビ飲んで上機嫌なので、いろいろ質問してみる。


「自動修復ってことは、刃毀(はこぼ)れしても直るのかにゃ?」

「ああ。小さければすぐ直るぞ。大きいと時間が掛かるし長さが短くなったりするから、専用の鞘が必要になるがな」

「にゃるほど……質量はどうしようもないんにゃ。てことは、セットで買わないといけないんだにゃ」

「おっ! よくわかってるじゃないか。若い奴は高いからいらないとか言って、そのくせ剣が短くなったとか返品しに来る奴が居るんだ」

「大事に使えば長く使える物にゃのに……そんにゃ奴にはおっちゃんの剣はもったいないにゃ~」

「だろ? 飲め飲め!」


 ドワーフは同志を見付けたかのようにわしにも酒を勧めて来たので、自分用に出した物を飲む。だって、おっさんと間接キスしたくないんじゃもん。

 それからも武器を見つつ鍛冶談義をしていたら、べティがつついて来た。女性では男のロンマがわからないみたいだ。


「そろそろ行かない?」

「にゃ? べティは欲しいのないにゃ??」

「だって、魔法少女は剣なんて持たないも~ん」

「そうにゃっけ? にゃんか剣で戦う魔法少女が居た気がするんにゃけど……」

「それって……リボ〇の騎士??」

「どこまで(さかのぼ)るにゃ~」


 情報が古すぎるべティには、わしが知る限りの魔法少女の知識を入れてみたが、孫の相手した時に嫌々見ていたから記憶にあまりないので、ぜんぜん信用してくれないのであった。



 武器屋では、面白そうな機能の付いた剣を三本、ナイフを二本、盾を二個購入。さすがに口座の金は尽きたかと思ったが、支払いには足りていたので一安心。暇ができたらまた顔を出すと言ってドワーフと別れた。

 べティにこれからの予定を聞いたところ、次はスウィーツ巡りとのこと。鼻息荒いコリスについて歩き、わしはお財布係となる。


 ここであまり食べすぎると晩ごはんが入らなくなるので、ほどほどでストップ。


「まだまだはいるよ~?」

「だから頬袋は反則にゃ~」

「えへへ~」


 わしが言っていた収納場所は、お腹。ズルするコリスは頭を撫でてあげて、なんとか違う場所に移動させるわしであったとさ。


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