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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

メスガキ魔王をわからせたオークもどき、なぜかホレられて魔王の婿になりました。

作者: 小林ミメト

広い草原にひときわ目立つ大きな一軒家、その中にSSSランク冒険者でテイマーの俺は恋人と一緒に住んでいた。


「ブレイブ、別れましょう。」


「なぜだ!不満があるなら行ってくれ。」


彼女の顔は徐々に歪んでいき、まるでゴブリンかオークを見るような表情になっていった。


「なぜですって?!あなたは稼ぎがいいだけの不細工、オークもどきじゃない!」


「うっ・・・。」


確かに俺は何度もオークと間違われることがあるほどの険しい顔に醜い容姿をしていた。


そして、召喚獣はあろうことか魔王軍が率いていそうな異形種ばかりだった。


そのせいでほかの人たちに嫌われ続けてきた。


どれだけ戦果を上げようとも、どれだけ村や町を救ったとしても、人は俺を全力で嫌い、女子供は石つぶてを、男たちは剣や魔法で俺を倒そうとした。


彼女が・・・彼女だけが、それでもみんなのために戦ってくれる俺が大好きと言ってくれた。


「遊んで暮らすために世間の目を気にしながら、我慢して付き合っていた私を褒めなさいよ!」


だが、彼女は金目当てで俺と付き合っていた。


解りきっていたことなのに、彼女に対する強い怒りの感情が湧いてきて、ついに我慢の限界を迎えて両手でテーブルを叩いた。


「そ、そんなに嫌ならここを出ていけ!」


「いや、出ていくのはお前の方だ豚勇者。」


ドスの利いた男の声が玄関の向こうから聞こえてきた。


玄関の方を振り返るといつの間にか、俺よりも人相の悪い禿げ頭の大柄な男性が扉の前に立っていた。


呆気に取られている俺をよそに彼女はその男の下へ走っていった。


そして、男の鍛えられた二の腕に自分の白くて細い腕を絡ませて、今まで見せたことのない満面な笑顔でこちらを向いた。


「私、この男と付き合うことにしたの。あなたより稼ぎがいいし、何よりあなたと違ってイケメンだからね。」


「そう言うことだ。わかったならさっさと出ていけ!この家は今から俺たちの家だ。」


そうして俺は自分の家を追い出された。


怒りに震えて拳を握りしめる俺だったが、すぐにその拳を解いて歩き始めた。


酒場で飲んだくれていると気になるうわさを耳にした。


それは、魔王討伐に赴いた冒険者パーティがある日を境にギルドに帰ってこなくなったことだ。


しかも、SSSランク冒険者が所属するパーティまでもが帰ってこないというのだ。


「まあ、どうせこの世に未練は無いからその魔王を討伐するか・・・。」


成功すれば、さすがに富と名声ぐらいは得られるだろうしな。


俺は実戦経験を積んでいるので道中の敵は難なく倒していった。


「ここが魔王城か・・・。」


俺は丸一週間かけてようやく魔王城にたどり着いた。


「だが、やみくもに突撃しても無駄死にだ。どうすれば・・・。」


ふと、何かの気配を後ろから察知して慌てて茂みに隠れた。


やってきたのはオークの大群だった。


「うーむ、腑に落ちないが俺はニオイ見た目ともにオークに瓜二つなのは事実・・・これを利用しない手はない。」


俺は列の最後尾のオークを後ろから剣で一突きした。


オークは悲鳴を上げる間もなく絶命した。


「悪いな兄弟、俺が生き残るためだ。」


俺は装備を脱いでスキル「アイテム収納」でしまい。オークが着ていた毛皮の皮装備を着た。


色合いや触り心地からしてこれは馬だ。恐らく、行商人を襲ってそこから奪い取ったものだろう。


ちなみにポーションなどの道具も先程のスキルで異空間にしまってある。


・・・・・・


とうとう、オークに気づかれぬまま魔王城のところまでたどり着いた。いや、たどり着いてしまった。


上手くいったけど・・・なんかうれしくねぇ!


鉄出来た頑丈そうな扉の両端には、斧を持った番兵が2体いてそれぞれ左がケンタウロスで右がミノタウロスだ。


血まみれの大きな袋を担いだ先頭の一回り大きなオークが番兵に向かって大声で叫んだ。


「魔王軍第810師団団長ロコドタ!ただいま部下とともに戻りました!」


それを聞いた番兵2体は扉の前まで行くと閂を外して両手で扉を内側に押した。


「「通ってよし!」」


完全に扉が開ききると、番兵2体は道を開けた。


そして、ほかの魔物にも気づかれることなく魔王のいる部屋までたどり着くことができた。


部屋には、幹部と思わしき魔物たちがいて、それらが一斉にこちらをにらんだ。


ロコドタは、そのオーラに気圧されされそうになりながらも一歩一歩前に進んだ。


「確かにこれじゃあ、SSSランクの冒険者が束になってもかなわないな。」


そう思わせるほどの空気がこの部屋一帯に充満していた。


だが、肝心の玉座に座っている魔王の姿は、完全に角の生えた幼女だった。


彼女は、布面積が少ないビキニアーマーを着ていて、これでもかというほど色つやがある褐色肌をしている。


吸い込まれそうな赤い瞳はロコドタをじっと見つめていた。


ロコドタは、冷や汗をかきながら担いできた袋を手前に置いた。


「ロコドタよ。贄は持ってきたか?」


贄ってことはあの中に人の死体が入っているのか?


「ハイ!こちらに・・・。」


ロコドタが袋の口を開けて袋から取り出したのは大人の小太り男性の死体だった。


途端に魔王の表情が険しくなった。


「わらわは、奴隷商人の商品を持って来いと言ったはずじゃが!?」


「お、お許しを!まだあどけない人間の少女たちを殺すなど私にはとてもできません!せめて、せめて奴隷商人の死体だけでもと思いまして!」


それを聞いた魔王の幹部たちはざわつき始めた。


「ふざけるな!」


「我々が欲しているのは新鮮な子供の死体だ!」


「そうだ!それさえあれば死体一つで強力で従順なフレッシュゴーレムが何十体と作れるのだぞ!」


聞いたことがある、フレッシュゴーレムは石や岩と生物の肉体を混ぜ合わせてそれを黒魔術師が錬成することでできるモンスターだ。


幹部たちのざわめきを魔王は右手を挙げて制止した。


「はぁ~、お前さんは魔王軍団長にしてはお人よし過ぎる。そんな弱っちいから、妻はお前の下から離れたのじゃぞ。」


「・・・。」


幹部やメイドたちはケラケラと笑い始めた。


ロコドタは黙ったまま震えていた。


「ざぁ~こ!ざぁ~こ!妻に逃げられた仕事もろくにできない雑魚オークが!異臭をまき散らすだけの雄豚を今すぐ役に立つようにしてあげようかの。」


魔王が赤い瞳を光らせる寸前に、俺はロコドタの前に立ちふさがった。


魔王の顔と別れた彼女の顔が重なって、どうしてもわからせたいという気持ちが湧いてきたからだ。


「なんじゃお主は、魔王にたてつくとはいい度胸d・・・。」


魔王は言葉を詰まらせた。


俺はその一瞬のスキをついて魔王の下へスキル『縮地』を使って接近した。


「ま、魔王様をお守りしろ!」


俺はお得意の召喚魔法で玉虫色に光る体に赤黒い目玉が無数にある粘液状の召喚獣を出現させて魔王の手下たちを足止めした。


「こ、こいつはまさか!?古代スライム?」


「聞いたことがあるぞ、古代スライム通称『ショゴス』は普通のスライムと違って森羅万象あらゆるものを溶かし、その性格は気難しくどんな闇魔導士も使役ができないと言われているが・・・。」


「まじかよ、だとしたらあのオーク・・・何者なんだ?」


俺はそんな言葉をよそに魔王のすぐそばまで行って跳躍し、魔王の肩を角を両手でがっちりとつかんだ。


「ひゃうっ!」


魔王は情けない声を発した。


俺はニヤニヤしながら右手で魔王の角をいじり始めた。


「や、やめるのじゃ!角は勘弁してほしいのじゃ~!」


先程の威厳はどこへやら、俺の目の前にいるそれはもはや魔王ではなく、獣欲まみれの男性におびえる女の子だった。


「な~るほど、やはり角のある魔物は角が弱点というわけか・・・。」


俺はいつも自室にこもってやっていることを魔王の角で実践した。


「にゃああああああ!」


その時、俺の右手に激痛が走った。


驚いて右手を確認すると、右手の甲に赤紫色の紋様が浮かび上がっていた。


なんだろ・・・ま、いっか。


改めて魔王の右の角をいじると、先程よりももっと色っぽく喘ぎだした。


「ふゃああっ!なんじゃこりは?つ、角から何かが入ってくるのじゃあああん!」


俺はショゴスにも手伝ってもらうことにした。


「ショゴス、コイツの着ている物や体液はさぞかし美味いと思うぞ?」


「テケリ・リ」


ショゴスは十数個の目だけをこちらに向けた。


「ぴいっ!」


魔王は完全におびえ切っていて今にも泣きそうだった。


ショゴスは触手を伸ばしておびえる魔王の体に絡みつけた。


「いや、いやっ!やめるのじゃあああ!!!」


魔王の抵抗もむなしく、ショゴスの触手はどんどん魔王の体を覆いつくしていった。


ジュウジュウという音ともに彼女の装備が溶ける音がした。


「肉体までは溶かすなよ。あくまでこいつにわからせるのが目的だからな。」


「テケリ・リ」


やがて、触手が届いたのか魔王の体が脈打ち始めた。


「はにゃあ!に、にゃにこれ?!奥で何かがうごめいて・・・も、もう限界なのじゃあああ!!!」


上と下から攻められた魔王は色っぽい声を上げながら果てた。


「堪能させてもらったぜ。お前ら、邪魔したな。」


俺はショゴスを元の世界へ帰すと謁見の間を後にしようとした。


「おいまて・・・ただでは返さんぞ・・・。」


その言葉で振り返ると、ボンと言う音とともに煙が舞って装備がはがれた魔王が視界から消えた。


「何!?」


そして、俺の目の前に現れた。


死を覚悟して目をつぶったが意識が飛ぶことはなく、代わりに柔らかくて温かいものが俺の唇に触れた。


恐る恐る目を開けると視界を覆うように魔王の可愛らしい赤面顔がそこにあった。


戸惑う俺をよそに魔王の舌は俺の口の中に入っていった。


「おお!魔王様の必殺技、死神の口づけ。これをされた者はすべてを吸われて苦しみで顔をひきつらせたまま死ぬ!これであのオークもおしまいだな。」


まさか、オークもどきと言われて迫害されてきた俺がこんな可愛い幼女の口づけで死ぬとは・・・神様も粋なことをしてくれるぜ。


いや、この感覚は吸われるというよりむしろ魔王から何かをあたえられている気がする。


体の中を駆け巡っていくどす黒くも心地いい魔力が俺を支配していく。


魔王は口づけを辞めると自分の唇をペロっとなめた。


「ふふふ。」


「な、なにを・・・うっ!!」


全員が困惑する中、俺の体は徐々に熱くなっていき、次第に意識がもうろうとし始めた。


「があっ!か、体が熱い・・・何をした・・・。」


魔王はただニヤニヤするだけで答えない。


しばらくすると、焼けただれるような暑さの中で走馬灯が現れた。


『ああ、思い起こせばろくでもない人生だった。父親似の不細工に生まれてしまったせいで、人間たちから迫害されて、仕舞いには唯一付き合ってくれた彼女にも裏切られて・・・。』


気が付くと、俺は魔王の謁見の間でうつぶせで倒れていた。


「お!気が付いたかの?」


俺はゆっくりと起き上がった。そこで妙な違和感を覚えた。


「体が、軽い?」


「今、お主の姿を見せてやる。誰か、鏡を持ってまいれ!」


しばらくすると、銀髪ボインのダークエルフのメイドが台車付きの大きな姿見を持ってきた。


「これが今のお前の姿じゃ。」


俺は驚愕した。そこに居たのは醜いオークもどきではなく、赤い瞳のインキュバスだった。


「これが・・・俺?」


魔王は頷いた。


「そうじゃ、確信が持てたのは角をいじられた時じゃ。オークであるならばあそこまでわらわを気持ちよくすることはできん。」


「なるほど。」


「あと・・・古代スライムをも使役するお主の力を見込んで頼みがあるんじゃが・・・。」


「なんだ?」


魔王は耳を真っ赤にしながらうつむき加減で言った。


「わらわの婿に・・・なってはくれまいか?」


当然手下たちはざわついた。


俺は考えた。このまま断っても、むごたらしく死ぬのは目に見えている。もし、帰れたとしても人間に迫害されるだけだ。ならば・・・。


「わかった。こんな俺でよければもらってくれ。」


魔王にあんなことをして今後、この魔王城での生活がうまくいくのかと思った。だが・・・。


「オー!こんな強い魔物が味方になってくれるのであれば大歓迎だ!!」


「おめでとうございます!魔王様!!」


どうやらその心配はなさそうだ。


魔王がそのままでは目のやり場に困るので着るものを用意してもらった。


「わらわの国は、よくも悪くも実力至上主義でな。かつての敵でもこちら側につきたいとあらば喜んで迎え入れるのがこの国の国是じゃ。」


「変わっているな。」


魔王はメイドが持ってきたネグリジェを着ながらケラケラと笑った。


「古代スライムを召喚したやつが言うことか!?」


「ははは・・・。」


「あのー・・・。」


「おお、そうじゃった。貴様の処遇を考えないとな。」


俺は一つ確かめたいことがあったので魔王に質問した。


「そう言えば、淫魔って変身はできるのか?」


「できるぞ、特にハーフであるならば覚醒前の姿に戻ることなど造作もないわ。」


俺はいいことを聞いたと思い口角を上げた。


「い、いったい何をするのですか?」


「ロコドタ、もう一度お前が奴隷商人を襲った現場に行って奴隷少女たちをここに連れてきてほしい。」


「なっ!」


「勿論ただとは言わん。お前と部下の身の安全は保障しよう。それでいいかな魔王様。」


魔王は少し考えると了承した。


「よかろう。ではロコドタよ直ちに商品を持ってまいれ!もし、逆らったら・・・わかっておるな?」


「は、ハイ!!!」


魔王の気迫に押されたロコドタは、部下を引き連れて魔王城を後にした。


「そう言えばお互いの名を聞いてなかったな。名は何と申すのじゃ?」


「俺はブレイブだ。」


「わらわは、淫魔王ギガメスじゃ!よろしくな。」


俺たちが握手をした瞬間に再び歓声が沸き起こった。


「「ギガメス様万歳!ブレイブ殿下万歳!!」」


「さて・・・まだ時間はあると思うが、一応勇者だった頃の姿になっておくか。」


そう言って俺は覚醒前のオークもどきに変身した。


「なんと、お主勇者だったのか?」


「やっぱ見えないか?」


「ああ、まあな。」


ちょっとショック・・・。


俺はギガメスに魔王城までの道の途中まで一緒に来るように命じた。


そして、魔王の部下たちはここで待機するように命じた。


「すまないが、君たちはここで待っていてほしい。」


「作戦があるのですな。かしこまりました。」


ギガメスも淫魔と言うことなので適当に女ヒーラーに変身させておいてロコドタを迎えに行った。


門番に事情を説明して道を進んでいくと、前方からたくさんの女の子を連れたオークの集団がやってきた。


ロコドタの軍だ。


そして、やはり女の子たちには見知った顔がたくさんいた。


こいつらは、この間魔王軍から助けた村に住んでいた村娘だ。


この村娘たちもほかの人間たち同様に俺を蔑み石を投げ、挙句の果てには体を要求するために助けたなどとほかの村に吹聴した連中だ。


「わからせなければ。」


憔悴しきっていた村娘の表情が俺の顔を見るなり険しくなった。


「あなた・・・。もしかしてブレイブね。」


「ん?ああ、そうだが?」


「勇者だったら助けなさいよ!」


思わず俺はずっこけそうになった。あさましすぎるにもほどがあるだろ?


「そうよ!そうよ!早くしなさいよこのノロマ!化け物、オークもどき!デブ!悪臭製造魔法拾得者!」


「いやいや、お前ら・・・人に助けてもらう態度じゃねえだろ?」


俺に罵声を浴びせる少女たちにオークたちの表情はみるみる暗くなっていった。


多分彼らも似たようなことを道中言われ続けたのだろう。


「聞いたかロコドタ、これがお前が一度助けようとした娘たちの本性だ。不細工な化け物である俺たちがいくら愛そうとしても無駄なんだ。」


思い当たる節があるのかロコドタはうつむいて黙ったままだ。


そして何かを決心した表情でつぶやいた。


「お、俺が間違っていた。俺はこの娘たちが可愛そうだからって逃がそうとした。だが、この娘たちは襲われるだの臭いだの気持ち悪いだの言って差し伸べた手を何度もどかそうとした。」


「・・・・。」


「俺は、いや俺たちは・・・。」


オークたちの顔が徐々に獣欲にまみれた表情になっていく。


「そんな、恩知らずなメス豚どもを今ここでわからせたい!彼女たちのあどけなさが残る体と俺たちのガチムチな肉体でわからせたい!」


俺はパンと手を叩いて満面の笑顔で了承した。


「了解した。魔王様もそれでいいですか?」


途端に村娘たちはこの世の終わりを見るかのような顔で青ざめた。


「うむ。もとよりそいつらにはいろいろ利用させてもらうつもりじゃ、多少汚れても文句は言われんじゃろ。」


「ってわけで・・・『束縛』。」


俺が束縛魔法を唱えると一斉に娘たちが騒ぎ出した。


「な、何?体の自由が利かない!?」


「助けてお母ちゃーん!」


「ロコドタ、もう鍵を開けても縄を解いてもそいつらは逃げれないぜ。」


「感謝します。」


ロコドタは俺に一礼すると奴隷商から盗んだ鍵を取り出して鍵を開けた。


ロコドタが檻を開けて中に入ると娘たちが鳴きながら俺に助けを乞いた。


「お、お願いします聡明で勇敢な勇者様!どうか、どうか私たちにお慈悲を~!」


「やだね。だって俺、もう勇者じゃないもん。」


ロコドタが開けた檻に続々とオークたちが入っていった。


しばらく、オークと少女の行為を見届けた後、俺は満足げな顔でギガメスと一緒に魔王城へと戻っていった。


うしろからは、しばらく娘たちの叫び声が道中に響き渡った。


ギガメスだけ変身を解いてもらって魔王城で待っていると、肌つやが良くなったオークたちが先程よりも憔悴した娘たちを連れて戻ってきた。


すでに束縛の効果は切れていると思うが、体力は存分に削られているので多分逃げられないだろう。


「どうじゃった。ロコドタよ?」


「ああ、素晴らしい!しばらくご無沙汰でしたので大満足の一言しか浮かびません!!」


表情もさきほどより明るくなっていた。


「そりゃあ、よかったの。」


「御命令通り、このメス豚どもは魔王様に差し上げます。何なりとお使いください!」


「うむ!大儀であったぞ、ロコドタ。」


「感謝の極み。」


「そして、ブレイブ。ロコドタを説得してくれたこと、感謝するぞ!お主には褒美の一つでもやらんとな。」


「では、一つ提案があるのだが。」


「なんじゃ?」


ギガメスは多少困惑したが俺の頼みなのでしぶしぶ了承した。


まず、彼女たちのロープを解いて村娘の一人に剣を手渡した。


ちなみにその娘は、依頼主の村長の孫娘だ。


俺はわざと入口を開けさせてそこには立たずギガメスの前に立った。


「さあ、俺と魔王様を殺してみろ!そしたら全員解放してやる!俺を刺すだけでもいい、さあ!お前の純潔を汚した黒幕はここにいる!」


彼女は剣を構えて苦虫を嚙み潰したような表情をした。


「わあああああ!!」


彼女は叫びながら走り出した。入口の方へ・・・。


俺は苦悶の表情を浮かべた。


「あーあ、残念。全員俺の仲間として開放するつもりだったのにな・・・。」


「ちょっ!どこいくのよドールちゃん!あの豚を刺して私たちを助けなさい!!」


「もう遅い。」


俺は縮地でドールの目の前に立ちはだかった。


そして、束縛魔法で体の自由を奪った。


ナイフは地面に落ちてカラーンと音を立てた。


そして、前のめりに倒れそうになったドールの顔を俺は鷲掴みにした。


「あっぐ。」


「無様な姿だな。孫娘さんよ~。」


「・・・・。」


「さてそろそろ、自分とサヨナラの時間だぜ。」


俺は変身を解いた。


指の隙間から彼女の驚きと絶望の表情が読み取れた。


「い、インキュバス!?」


「俺自身も正直驚きを隠せないぜ。まさか、この俺が淫魔の血を引いていたなんてよ。」


何をされるのか察した彼女は、暴れようとしたが束縛魔法のせいで動けないようだ。


「んじゃ、バイバイ。」


「嫌アアアアア!!」


俺が力を込めると、右手の淫紋がピンク色に光り出した。


そして、俺の手のひらからピンクの靄があふれ出してきた。


「ほほう、凄まじい量の気じゃな。」


そして、その靄はギャーギャーわめいている娘たちを覆った。


途端に娘たちはおとなしくなり、瞳の色が皆ピンクに変わっていった。


俺は、頃合いを見て束縛魔法を解除してドールから手を離した。


「さあ、君たちの新しいリーダーであるギガメス様にご挨拶しなさい。」


娘たちはドールを含めて一斉にギガメスの方を振り返ってお辞儀をした。


「「よろしくお願いします!ギガメス様!」」


「よろしく、・・・ハッ、オホン!ようこそ娘たちよ、お前たちはこれから魔王軍の一戦力としてこの魔王ギガメスに忠誠を尽くさせてもらうぞ!」


「「ハイ!」」


なんか一瞬、ギガメスの瞳がピンク色になった気がしたが気のせいだろう。



「では、早速お前たちの仕事の時間だ。残念だが、これがお前たちの最初で最後の仕事となるだろう。仕事場へはメイド長のエロフが案内する、皆今後はエロフの言うことをよく聞くように!」


すると、先程姿見を持ってきた銀髪ボインのダークエルフがお辞儀をした。


「「ハイ!よろしくお願いします!エロフメイド長!」」


「では、こちらへ・・・。」


娘たちが去ったのを見届けた後、ギガメスはため息をついた。


「どうした?奴らに情でも湧いたか?」


「いや、そうじゃない。呆れておるのじゃよ。」


「やっぱり凄いと言っても、あの程度のオーラじゃ淫魔王様としてはまだまだですものね。」


「そうじゃない!お前さんのオーラが強すぎると言っておるんじゃ!危うくわらわまで従うところじゃったんじゃぞ!」


「まじで?」


「まあ、これで仕事が一つ片付いた。皆もご苦労じゃった。各自の持ち場に戻るように。」


「「ハイ!魔王様!」」


皆がぞろぞろと出ていくのを二人で見届けた後、ギガメスが玉座から離れてこちらにやってきた


「本当にお主には感謝してもしきれんわブレイブよ。」


「俺にはもったいない言葉だぜ。」


「褒美は一つとは言ったが今は気分がすこぶるよい!何か・・・何かわらわにしてほしいことはあるかの?」


ギガメスはもじもじしながら顔を赤くした。


この手の妄想をしている俺はすぐにギガメスが何をしてほしいかを察した。


「それじゃあ・・・。」


こうしてオークもどきと迫害されてきた俺は、魔王ギガメスという可愛い幼な(?)妻とともに快適な魔王城ライフを送ることになるのだった。


一方、元彼女は魔王軍の密偵から得た情報によると、どうやら新しい男に薬漬けにされてただの性のはけ口として使われているらしい。


そして、新しい男の方も彼女と同じような境遇に陥れた女の中に上級貴族の娘がいたらしく。


その貴族の怒りを買って半年後に処刑されたという。


俺は胸がすっとするような気持だったが、まだこの世界には俺を迫害した人間どもがたくさんいる。


そいつらをわからせてやるまで俺は今日も魔王と魔王軍のために戦う。


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[一言] 穢れた大人の自分してはノクターンでリメイクを書いて欲しい作品ですね
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