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【 迷子 】

 太狼は、メリーさん(迷子)がいるコンビニを知ると、

 急いで立ち上がり、靴を履いて、ドアを蹴り開けた。





「太狼さん、まさかメリーさんを探しに行くんですかっ!?」

「ガキが泣いて助け求めてんだぞ、行かねぇバカがいるかッ!」

「わ、分かりましたから、通話切ってください、通話っ!」

「なんでだよっ! 居場所が分からなくなっちまうだろっ!」

「霊力が減っちゃうんですっ! その子の霊力がっ!」

『……あぁ、クッソ……必ず迎えに行くから、そこで待ってろッ!』


 スマホに大声で叫ぶと、太狼は目にも止まらぬ速度で走った。



























 太狼は街中を駆け回り、全てのファミリィマァトを探した。



























 すると、とあるファミリィマァトの中で、

 人形をもって泣いている、一人の幼女を発見した。


「おいっ! お前、メリーかっ!?」

「……にぃい、助けて……」

「はぁ、よかった。見つけた……」


「お客さん、この子はお宅のお子さんですか?」

「……え? いや、子供っつぅか……その、えっと……」


 困った様子の店員が、不機嫌そうに太狼に語り掛ける。

 その店員のネームカードには、《 店長 》と書かれていた。


 そして、うるうるした瞳で見つめる幼女の目を見て、

 太狼は深呼吸をすると、息と頭の中を整理して、一言告げた。



























 はい、うちの子です。



























 すると、泣いていた幼女の瞳が、大きく見開いた。


「この子、スイーツ勝手に食べちゃったんですけど……」

「すいません。俺が金を払いますんで、ここはどうかっ!」

「そう言われましても、こういうのは……」

「お願いしますっ! なんなら、ここのスイーツ全部買ってくんでっ!」

「…………」

「どうか、お願いしますっ!!!」


 太狼が店長に頭を下げて、深々と謝罪する。

 すると、それを見た幼女も、一緒に頭を下げた。


「ごめん、なさい……」

「…………」


「すいませんでしたッ!!」

「……はぁ。分かりました、今回だけですよ?」


「ありがとうございますッ!」

「あり、がとう……」


 何度もお礼を言いながら、太狼は店長に深々と頭を下げ、

 最後には店長の遠慮を押し切って、全てのスイーツを買って帰った。



























 二人は帰り道、肩車をしながらスイーツを食べていた。


「……美味いか?」

「……うんっ!」

「そうか、そりゃよかった……」

「にぃに、きてくれた……」

「ったく、肝が冷えたぞ……」

「えへへっ。にぃに、大好きっ!」


「お前、なんで勝手に食ったんだ?」

「メリーね、お腹すいたの」

「いや、それだけで食っちゃダメだろ」

「いっぱいお電話したらね、お腹すいたの」

「待て、霊力って空腹のこと言ってんのか?」

「……?」


 キョトンと顔を見下げるメリーを見て、太狼はため息をついた。



























 ……はぁ、やっぱ通信制限は痛てぇなぁ。

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