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【 演出 】

 太狼は、メリーさんと名乗る幼女の面倒を見ながら、

 買い物に行っているメリーさんが帰ってくるのを待っていた。





 すると、鍵の開く音と共に、太狼の家の玄関の扉が開いた。


「ただいま戻りましたぁ……」

「メリーっ! 待ってたぞ、よく帰ってきたなっ!」

「……えっ!? ちょ、どうしたんですか? 太狼さん……」


 突然、出迎えてきた太狼に、メリー(少女)は困惑していた。


「なぁ、都市伝説のメリーさんっていっぱいいるのか?」

「……へ?」

「なんか、新しいメリーさんが来たんだが……」

「ちょ、何言ってるんですか?」

「口で言ってもダメだ、ちょっと来てくれっ!」

「……え? ちょちょちょ……」


 太狼はメリーさん(少女)の手を引いて、

 リビングで寝ているメリーさん(幼女)を見せた。


「太狼さん、これはさすがに犯罪ですよ?」

「ちっげぇよ、連れ込んだんじゃなくて来たんだよっ!」

「本当に? この子もメリーさんなんですか?」

「俺には人間にしか見えないが、そうなんじゃねぇのか?」


「でも確かに、僅かですけど霊力は感じますね」

「あっ、あるのね。そういうの……」

「まぁ一応、幽霊ですからね」


 太狼は目を細くしながら、少女と幼女を見比べていた。


「あのさ、一つ聞いていいか?」

「……なんですか?」

「お前ら、どうやって俺に電話かけてきてるんだ?」

「それはもちろん、テレパシーですけど……」


「……携帯じゃねぇのかよ」

「まぁ、年齢によっては携帯なんて買えませんからね」

「そこにリアルの制限を持ってくんなよ」

「しょうがないじゃないですか、あれは実機なんですから」


 メリーさん(少女)に、太狼が呆れて言葉を無くしていると、

 寝ていた方のメリーさん(幼女)が、ゆっくりと目を覚ました。


「……あっ、起きましたね」

「……よぅ、目が覚めたか?」

「……誰?」

「初めまして、あたしメリーさん。あなたは?」

「あたしね、メリーさんって言うの。よろしくね」


「…………」

「…………」


「……な? 言ったろ?」

「……は、はい。見たいですね」


「これ、俺はどうしたらいいんだ?」

「どうするもこうするも、ここは太狼さんのお家ですよ」


 幼女はダボダボの服を紐で結んで、

 来やすいサイズに調整された服を着ていた。


「あの、この服なんですか?」

「お前と同じで、ボロボロの服を着てたんだよ」

「まさか、洗って着替えさせたんですか?」

「仕方ねぇだろ、お前と同じで泥だらけだったんだよ」


「まぁ、私たちはゴミ捨て場から来てますからね」

「お前ら、一人を襲ったらゴミ捨て場に戻るのか?」

「そうですね。スタート地点は決まってるので……」


「律儀だなぁ、んなもんどこでも同じだろ」

「それじゃあ、急な通り魔と同じじゃないですかっ!」

「人を刺しに来てる時点で同じだろッ!!!」


「徐々に迫ってくるところに、意味があるんですっ!」

「なら、せめて汚れ拭いてから来いよ。部屋が汚れんだろ」

「汚れてた方が、驚かす時は迫力があるんですよ」

「はぁ……。ったく、要らねぇ演出加えやがって……」


 面倒くさそうな顔をしながら、太狼は言葉を返していく。


「とりあえず、あたしは晩御飯を作りますね」

「あぁ、分かった。俺はこいつの面倒を見てる」





 メリーさん(少女)はエプロンを付けると、料理を作り始めた。

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