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【 メリーさん? 】

 メリーさんが来てから数日が経ち、

 二人は、何気ない日常を送っていた。





「それじゃ、行ってきますね」

「一緒に行かなくて大丈夫か?」

「大丈夫ですよ、牛乳を買ってくるだけですから」

「そうか、悪ぃな……」

「いえ、これぐらいはやらせてください」

「そう言って貰えると助かるよ」


「では、行ってきますね」

「おう、気をつけてな」


 メリーさんはそういって、食材を買いに出ていった。

 太狼はいつも通り、最新のゲームサイトを調べていた。


 すると、スマホが着信音を上げた。


( ……ん? 非通知? メリーか? )


 突然の電話に、何の疑いを持つことも無く、

 太狼は通話ボタンを押すと、自分の耳に当てた。


『はい、もしもし……』

『もしもし、あたしメリーさん……』

『おう、どうした?』

『今、ゴミ捨て場にいるの……』

『……は? 今、買い物に行ったんじゃ……』


 すると、通話はブチッと切られてしまった。


( なんだ今の、なんか声が幼かったような )


 何だかいつもと様子の違うメリーさんの声に、

 太狼は不思議に思いつつも、スマホを見つめていた。


 すると、再びスマホの着信音が鳴った。


『はい、もしもし……』

『もしもし、あたしメリーさん……』

『お前、買い物に行ったんじゃないのか?』

『今、タバコ屋さんの角にいるの……』

『ちょっと待て、これは何かの遊びか?』


 太狼の問に答える間も無く、ブチッと通話は切れた。


( メリーがこんなイタズラするか? でもまぁ、そういう霊だしな )


 疑問を抱くも、太狼はスマホの着信音を待った。

 すると、予想通りにスマホの着信音が鳴り響いた。


『はい、もしもし……』

『もしもし、あたしメリーさん……』

『あぁ、知ってるよ……』

『今、あなたの家の前にいるの……』

『そんなの連絡しなくても、入ってくりゃいいだろ』


 その問いに答える間もなく、通話はブチッと切れた。


( 明らかにおかしいな。まさか、別人? ということは…… )


 何者かに襲われる可能性を考慮した太狼は、

 玄関の前で、多少の警戒をしながら待っていた。


 すると、玄関の扉がガチャガチャと音がした後、

 一旦静まり返り、再びスマホの着信音が鳴り響いた。

 

『はい、もしもし……』

『扉があかないよぉ〜、お兄ちゃあぁんっ!!』

『すり抜けらんねぇのかよッ!!!』


 太狼はツッコミを入れながら、玄関を開けると、

 扉の前には、人形を抱えた幼女が一人で立っていた。


「どこのガキだか知らねぇが、このクソ寒いのに何してんだ?」

「あたしね、メリーさんなの……」

「メリーさんって、都市伝説のメリーさんか?」

「……うん」


「都市伝説のメリーさんって、一人じゃねぇのか?」

「寒いよぉ、お兄ちゃん……」

「はぁ、ったく。ほら、こっち来い……」


 太狼は幼女を抱き上げると、急いで風呂場に走っていった。

 そして、泥だらけの体を綺麗に洗うと、リビングのコタツに入れた。


「はぁ、暖かいです……」

「ったく。何してたんだ? あんなところで……」

「あたし、お兄ちゃんの後ろを取らないといけないの……」

「こんなクソ寒い冬に、くだらねぇ事してんじゃねぇよ」

「だって、あたしメリーさんなんだもん」

「メリーさんって、後ろ取らねぇと死ぬのかよ」


 太狼は、ツッコミをズバズバ入れながらも、

 幼女の髪を乾かし、プリンとジュースを出した。


「うわぁっ! お兄ちゃん、これ食べていいの?」

「あぁ、いいよ。ここまで頑張った褒美だ、遠慮すんな」

「やったぁ〜っ! えへへ、いただきまぁすっ!」





 幼女は嬉しそうに、プリンをほうばっていた。



























「はぁ、どうすんだよ。これ……」

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