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巨体の査定

 俺達はセレスティアまで戻り、冒険者ギルドに訪れていた。

 いつものように受付嬢のレイミに報告をすることにした。


「討伐終わったから査定お願いしたいんですけど」

「ゼストさんご苦労様ニャ~。Eランクなのに毎日すごい成果なのニャ。これならDランクにランクアップするのもそう遠くないと思うニャ~」

「そうですかね?」

「この調子ならすぐなれると思うニャ。ここまで優秀な冒険者は滅多にいないのニャ!」


 ちなみにラピスもフィーネも既にEランクになっている。毎日のようにホーンラビットを狩っているのが評価されたらしい。


「話がそれてしまったニャ。査定だったニャ。今日もホーンラビットを狩ってきたのですかニャ?」

「あ、いや。今日は森の方面に行ってきたんですよ。そこでヘビーボアとかを討伐してきました」

「なんと! もうヘビーボアを狩っているのニャ!? あそこはレベル10はないと厳しい狩場だと聞いたのニャ!」

「まーそこは3人で協力してがんばりました。なぁラピス?」

「え……あ、うん。そうだったかもね……」


 棒読みで目が泳いでいるが……まぁいいか。


「ではさっそく査定場で確認させてほしいニャ」

「あーそうだ。できれば広い場所に案内してほしいんですけど」

「ニャ? どういうことニャ?」

「ちょっと大物が釣れましてね。たぶんいつもの場所だと入りきらないかもしれないんですよ」

「大物? 森にそこまで大きいモンスターいたかニャ……?」

「見ればわかりますよ。どこかいい場所ないですかね」

「なら案内するニャ。付いてきてくださいニャ」


 俺らはレイミの後を追って広場へとやってきた。

 ここなら大丈夫そうかな。


「じゃあ出しますね」

「お願いしますニャ」


 インベントリに収納したグレートボアを取り出す。


「せーの……っと!!」


 ドスン!!!!


「ギニャアアアアアアアアアア!? こ、この大きい塊は何なのニャアアアアアア!?」

「これはグレートボアといってヘビーボアの変異種ですよ」

「へ、変異種……? そういえば聞いたことがあるのニャ……。モンスターの中には稀にとんでもなく強い個体が生まれるとか……」


 グレートボアの死体は広場を埋め尽くしそうなぐらいの迫力がある。

 これ1匹で焼肉何人前になるんだろうな。


「改めて見てもすごい大きさだわ……よくこんなのと戦おうとしたわね……」

「これをゼストさんが倒したなんて……今でも信じられない……」

「安心して。あたしもよ……」


 後ろでそんな話し声が聞こえてくるが特に気にしない。


「し、しかしこんなに大きいと私1人では――」

「い、今の揺れはなんだ!? 何が起こった!?」


 そう叫びながら現れたのはギルド支部長のおっさんだった。

 勢いよく飛び出して広場にやってきた。


「おい何が起きたのか説明を――ぬおっ!?」


 ようやくグレートボアの存在に気づいたらしい。


「な、な、な、なんだこのモンスターは!?」

「グレートボアですよ。いつもの査定場だと狭い気がしてこっちまで来たんですけど、正解でした」

「!? ま、また君か……」


 呆れるような驚くような、そんな複雑な表情で俺を見つめてきた。


「ほ、本当に君が倒したのかね? こいつはBランクでも苦戦するやつだぞ? まだEランクである君が倒せるわけが……」

「いやいやとんでもない。3人で協力したんですよ。いやー強敵だったなー。俺達も必死になって戦ってようやく倒せたんだ。そうだよな?」


 ラピス達に振り向くが、2人は何故か黙ったまま目をそらしてしまった。


「? 何も言ってこないみたいだが……」

「だいぶ疲れているみたいで喋る元気が無いんですよ。まぁまぁそんな細かいことはいいじゃないですか」

「し、しかしだな……」

「それとも何か? また拾ったとかでも言うつもりでも?」

「……ッ!」


 おっさんはしばらく俺を眺めていた。

 特に何か聞いてくるわけでもなく、疑いの目で見るわけでもなく、ただひたすら俺を眺めていた。

 まるで俺の実力を推し量ろうとしてるかのように見えた。


「…………そ、そんなことを言うつもりは無い」

「なら何の用で?」

「いきなり建物が揺れたからビックリしただけだ。こんな大物を持ってくるならせめて一言伝えてくれ」

「じゃあ次からそうしますね」


 ふむ。これで疑いは晴れたかな。


「おいレイミ! 人を集めろ! こんなにデカいと1人では処理しきれんだろうからな!」

「わ、分かりましたニャー!」


 レイミは慌ただしく去っていった。


「査定には時間が掛かるだろう。終わったら呼ぶから待機しててくれ」

「了解」


 というわけで、査定が終わるまで待機所で待つことにした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「それとも何か? また拾ったとかでも言うつもりでも?」「……ッ!」 ランクがだいぶ上がってから、「ここのギルド長には昔狩ってきた魔物を拾って来たんだろと断定されて、どうしようかと思ったよ」…
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