ピンポイントファン
僕にもファンがいる。こんな僕なんかにもファンが何人かいてくれている。しかも、みんな女性だ。
たまにドラマに出て、たまにテレビに出て、まだまだ有名ではないので、ファンがいるのが不思議なくらいだ。
顔はかっこいい方ではない。心もかっこいい訳ではない。むしろ、カッコ悪さを売りにしてやって来た。
主に俳優をしているが、喋りに興味を持たれているみたいだ。世間からは変わっているという声がほとんどだ。
学生時代から考えると、僕に熱狂的なファンがつくことは奇跡だった。
ラジオ終わりは、いつも出待ちのファンがいてくれる。
その中に、かなりの熱狂的ファンがいた。僕の一部分しか愛せない熱狂的ファンだ。
その一部分というのは、ネガティブだ。僕のネガティブだけを追い続けているらしい。
「ずっと、応援しています」
「こんな僕のためにありがとうございます」
「あの、お聞きしたいんですけど。これから何か、やりたいこととかあるんですか?」
「高いところが好きなので、スカイダイビングとかやってみたいですかね」
『あっ、あー』
『うん、うー』
ポジティブが少しでも出ると、いい顔をしない。
ネガティブ以外は、ホントにどうでもいいらしい。