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ナンパ


 名乗ってから、少年――シーザーは恥ずかしくなった。

 意図せずミドルネームを名乗っていたのだ。


 シーザーのフルネームはシーザー・レイ・ラング。

 スティナのフルネームがスティナ・レイ・アルフ。

 同じレイという名前でスティナと同一でいられるような……そんな錯覚に浸っていたのかもしれない。



「あ、いや、シーザー・レイ・ラングっていうんだ。シーザーって呼んで」


 シーザーの返事を聞いて、カーラはどこかほっとしたような残念なようなため息をもらした。




     * * *


「なんか、いい女がいる」

 と言いながら三人の男が、カーラとシーザーのそばに近づいてきた。



「ねえねえ、きれいなお姉さん、何してるの?」

 男の一人がそうカーラに話しかけた。


「イルカ、見てたの」

 生来の社交的な性格なのか、カーラは愛想笑いを浮かべていた。



「……イルカじゃなくて、クジラでしょ」

 シーザーはまた噴き出しそうになる。


「子どもは向こうに行ってな」

 男は、シーザーに対して手でしっしと追い払うジェスチャーをした。

「ねえ、お姉さん、子どものお守りはやめて、俺らと遊ぼうよ」


「……ないわ」

 カーラの笑顔が引きつった。

 これでそこそこのルックスの男なら誘いに乗らなくもないのだが。



 カーラのつぶやきが聞こえたシーザーはなんとかカーラをつれてこの場を離れようと思った。

「僕、お腹空いたー」

 わざと、棒読みで声を張り上げ、カーラの手を引っ張る。


「そうね。ランチでも……」

 と言うカーラだが、さっき船の中で食べたばかりだ。

 とりあえず、シーザーと手を繋いでそのままここから離れようと思った。



 すると、三人の男がシーザーを押しやり、カーラを囲むようにして立った。

「子どもはどっか行ってな。こっちの美人なお姉さんに用があるんだから」


 ぎょっとしたシーザーだが、カーラは冷静だった。


 カーラは、これ幸いとまだ慣れてないワイヤの練習でもしてみようなんて考えていた。

 そのためには、シーザーを巻き込むわけにはいかない。そっと離れるように促そうとすると……


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