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 シムゥンの名前を聞いて、ゼネバはカイとの話を思い出していた。

 魔力が強くして生まれたシミュレーションロイドの男の子が魔法使い同盟に養子に引き取られた。その子がシムゥンだ。


「ウドにたらの芽もあるから」

 と、シムゥンがすすめて来た。



「うん」

 ゼネバは申し訳ない気持ちになった。


――もしや、さっきの口から言った出まかせを真に受けている?

 テーブルの上は山菜尽くしの料理がところ狭しと並んでいた。



「二人でこれだけの料理を作ったの?」

 と、ゼネバは尋ねる。


「そうだよ」

 と、シムゥンがさも当然のように言う。

「遭難してたんだから、栄養とってもらわないと」



「他に家族は?」

「僕たち、二人家族だよ」

「そう?」


 ゼネバはジーラの方に目を向ける。

 ゼネバの様子をうかがってたようだが、その目線はさっとそらされた。

 なんだか腫れ物にでも触るような扱いだ。


 隠し事をしてるようでもないし、ゼネバはそれ以上詮索しなかった。



 誰か女性の同居人がいるかとも思ったのだが、そうではないようだ。



 夕食の後、帰ろうとしたゼネバだが、泊まるようにと引き止められた。


 ゼネバは有難くその申し出を受けた。




     * * *


 カーラは今夜も一人で眠ることになった。


 クスナの水を操る魔法に、シーナがかわいかったとか、そんなことを思い出すも、やはりゼネバがいないのが寂しかった。

 この埋め合わせに、明日には二人の初夜を迎えようなんて文章にはできないことを考えていた。




     * * *


 同じころ、ゼネバもベッドに入っていた。


 さっき、自分が寝ていたのと同じ部屋だ。

 自分の荷物を点検してみたものの、別に何か盗られたりしてはいなかった。


 どうやら、あのジーラという人物は本当に親切心から邪眼をかけ眠らせたようだ。

 腕からワイヤを外されたのは寝やすいようにだろう。


 ワイヤを触れてみたが、怪しい気配はない。


 もしかしたら、先ほどの女がやってくるかと思ったが、誰も来なかった。



 本当にこの家にはジーラとシムゥン以外住んでないようだ。


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