借りてもいい
ゲートも一応見ておこうと思ったのだ。
そのタイミングで、カーラのセクハラを目撃し一応は止めた。
「……だって、ゼネバってキスもさせてくれないんだもん。だからちょっとつまみ食いくらい……」
そんなカーラの言い訳をゼネバは聞いていなかった。
ゲートに関心が向いていた。
ゼネバの持ってるワイヤは何かに反応してるようだが、それはゲートに対してではなかった。無論シームァに対してでもない。
シームァは、カーラの言葉にますます赤くなった。
シムィンはカーラを訝しんていた。
一見、女同士のじゃれ合いに見せかけて、本当はシームァの機械の手に興味があったんじゃないか。
手を握ったあと肩を抱き寄せたのはどの部分まで機械か探ってたのでは? 事実、シームァの右手は肘まで機械だが、左手は腕の付け根まで機械だ。
肩から先も機械かどうか気になったのかもしれない。
見れば、シームァもかなり焦ってるようだ。
* * *
ゲート確認したゼネバは、ワイヤを見た。
ワイヤは何かを警戒してるようだ。
だがゲートに対してではない。ついでにいえばシームァに対してでもない。
「……だからね、浮気しようなんて私は考えてないの」
カーラは先ほどから何やら言い訳をしていたようだ。
ゼネバは全部聞き流していた。
「ワイヤの調子はどうだ?」
と、ゼネバがカーラに聞いた。
唐突に質問され、カーラは、は?え?と奇妙な声が出た。
カーラは腰につけたワイヤを見せる。
「使いこなすにはまだまだ……」
カーラはゼネバの質問の意図がわかっていなかった。
ゼネバはそっとワイヤに手を乗せた。
それがちょうどカーラの腰の位置で、カーラは誤解した。
「こんな人のいる所で……」
カーラは頬に手を乗せ照れてるジェスチャーをした。
少し恥じらいを演出した方が、なんていう彼女なりの計算だった。
ゼネバの手の上にそっと手を乗せ、「いいわよ」なんて囁く。
ゼネバはその言葉を、借りていいものと解釈しカーラのワイヤを手に取る。