血液型占い
最近、血液型占いが流行っているそうだ。
何でも、累計数百万部売れているらしく、書店に行けば平積みになっていた。
私は自分の血液型を探したが見付からなかった。
売切れかと思い、幾つか書店を巡ったが見付からなかった。
そこで、版元に問い合わせてみた。
「もしもし」
「はい。○○出版です」
「そちらで出版してる血液型占いについてなんですが――」
私は自分の血液型が売っていない旨を伝えたが、電話口の相手は怪訝に言った。「そんなはずないでしょう。あなたがエイリアンってんなら、解りますけどね」
出版社と云えども、客商売ではないか、と思うも、私はクレーマーではないので何も告げずに受話器を置くに留めた。
社員食堂で昼食を摂っていると同僚の一人がやってきて言った。「ねぇ、あの本買った?」
「それが私の血液型なくって、さ」
「本当? 売切れだったの?」
彼女は私の対面に座った。
「最初からないんだってさ」
「うそー! ちゃんと、A、B、AB、Oってあるでしょう?」
「んー。私、Oh型なんだ」
彼女は困惑気味に言った。「それってOでしょ?」
「違う。違う。ボンベイ型って言って、O型とは違うの」
「ふぅん。ボンベイってインド人?」
「いやいやいや」私はぶんぶん首を横に振った。
「ま、しょうがないよね。インド人じゃ」
「だから――違うって」
私は何度も否んだが、彼女はただ目を眇めるだけで得心しなかった。
私は思った。
ああ、狭いなぁ、と。