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クリスマスには花束と(4):メンバー集め

 MCL作戦への参加が決まった翌日の朝。空にはいつも通りの灰の層が広がっていた。だが火山灰の層は薄く、太陽の輪郭がしっかりと確認できたし、空気は澄んでおり遠くの富士山もはっきり見える。かつては均整の取れた美しい稜線を誇っていた日本の象徴は噴火の結果歪な姿を晒していた。その形が何かに似ている気がした。

 何だったかと考えていると慣れ親しんだ少女の声がした。


「妙な事、考えてる?」


 千尋だ。珍しく露出は控えめ。首回りにファーのついた黒いコートと相変わらずの丈の短いスカートだが下にタイツを履いている。


「おはよう、千尋。富士山ってさ、何かに似てないかな」

「何かって……壊れたお椀とか?」

「うーん、もう少し綺麗なもの。ああ、扇だ。根元の壊れたヤツ。扇を開いて逆さまにして上の方をハンマーで叩き壊したらあんな感じにならないかな」

「朝から変なこと考えてるのね。でも安心した。てっきり館山から出て行くとか言い出すんじゃないかって思ってたから」

「……まさか。ここを出てどこに行くのさ」

「さあ? あ、富士山が」


 富士山の凹んだ部分から白い煙が立ち上っていた。白灰色の煙はもくもくと上昇しやがて雲か灰か分からない層の一部になった。風向きが変われば館山にも新しい火山灰が降るかもしれない。

 今日の風は思ったよりも冷たく、望はコートの下にもう一枚着てくるべきだったと後悔し、ぶるっと身体を震わせた。それを見た千尋がショルダーバッグから何かを取り出す。


「カイロあげようか?」

「準備がいいね。助かる。もらってもいいかな」

「いいよ。貼るタイプだからコート脱いで後ろを向いて。背中に貼ったげる」


 望は言われた通りに防寒着を脱ぎ背中を向ける。ビリビリっとビニールが破れる音に続いて肩甲骨の間の辺りに小さな手のひらが触れた。


「この辺?」

「もうちょい下で……うん、そこそこ」


 千尋の手が背中から離れ、薄いシートがシャツに貼られた。直ぐに火照り始め、暖められた血液が身体を巡り手足の寒さも少し軽減された。


「はああー。いいなこれ。千尋はもう貼ってるのか?」

「もちろん。今日は基地中を歩き回る事になりそうだから。もらったリスト、見た?」

「ああ。みんな違う部署だったな。一人ずつ頼みに行くのは大変そうだ」


 望は自分の鞄からバインダーに挟んだ名簿を取り出す。横から千尋が覗いてきた。シャンプーの匂いだろうか。髪から微かに甘いにおいがする。


「これさ、半分以上が無意味なんだよね。十五人いるけど、私と望でマイナス二人。この人達は調達班だから今は木更津の拠点にいてマイナス四人。あとこの三人もトラックの運転で館山にずっといるわけじゃない。そうすると、残りは六人しかいない」

「その中に協力してくれる人がいればいいんだけど」

「どうせならやる気も聞いといてくれればよかったのにね」


 和浦達からもらったリストには名前と所属、音楽経験の有無と簡単なメモしか書かれていなかった。メモも限定的で「元バンドマン」とか「吹奏楽部に所属」、「楽器店勤務」などで、どんな楽器が弾けるのかやバンドに必要なスキルがあるかは分からない。戦闘には滅法強い和浦や真庭も聞き取り調査は苦手らしい。

 そこでふと望はある事を思い出した。


「ところで水島さんは?」


 作戦の主役であるミウは未だに姿を見せる気配がない。


「ミウは和浦さん達と打ち合わせだって先に出てったよ。仲間集めは私達に任せるってさ」

「メンバー集めにメインメンバーがいないのか。それでいいのかな」

「いいんじゃない。いても話が長くなるかややこしくなるだけだから。想像できるでしょ? 突然歌い始めて勧誘を始めるミウ」

「私の歌を聞けば一緒に音楽をしたくなるはずーとか言いそうだな」

「うんって言うまでひたすら歌ってそう」


 その光景が容易に思い浮かび望と千尋は声を上げて笑った。


「水島さんには事後報告だけでいいか。じゃあそろそろ行こう。まずは……」


 望は胸ポケットに入れていたボールペンを指でくるくる回し、勢いよくリストの一番上に突き立てた。


「この人。警備隊の沓澤くつざわさん」

「元バンドマンの人でしょ。私もその人が第一候補だと思う。楽器は何であれ経験豊富な人が居てくれればそれだけで演奏が安定するから。問題は音楽性かな」

「音楽性?」

「ほら、よくあるじゃん。俺はロックしかやらねえ。お前達のお遊びみたいな音楽に付き合えるかって。特にこういうおじさんは拘りが強いから」

「確かに。水島さんのはザ・アイドルって感じだもんな。好き嫌いがありそう」

「アイドル好きの人ならいいんだけどね」


 二人は沓澤を勧誘するため警備隊の詰め所がある館山基地の正門に向かった。

 館山キャンプの正門は、かつての海上自衛隊館山基地の正門を利用しているが、外側に二重、内側に一重のバリケードが増設され要塞のようになっていた。基地の塀も対ゾンビ用に三メートル近い壁が追加され、三階建ての高さがある見張り台が数カ所にあった。正門横にあった平屋の詰め所も三階建てに拡張され、屋上には機関銃や狙撃銃、船舶用の大型双眼鏡があり、隣接する空き地には偵察用ドローンの発着場が設けられている。

 正門の守備についているのが警備隊で、隊員は数名の自衛官を除き調達班への参加が難しい年配の男性や未成年者が多かった。戦力的には不安が残るが、いざとなれば基地内の自衛官が駆けつける手はずになっている。そもそも館山基地周辺のゾンビはほとんど駆逐されているため、調達隊に比べて戦闘の機会は少なく安全な職場だった。

 物々しい外見とは裏腹に、警備隊が守る基地の出入り口はどこかのんびりした空気が流れていた。近くの見張り台では初老の男性が双眼鏡を覗き込みながら、中学生くらいの少年とお喋りをしていたし、すれ違った巡回の女性隊員も笑顔で手を上げて挨拶してきた。

 詰め所に近づくと警備隊の一人、青いベストを身につけた男性がこちらを認めた。見知った顔に千尋の歩く速度が少しだけ遅くなる。


「うわ、順番を間違えたかも。今は粕谷さんがいるシフトだったか」

「最近話してないのか?」

「調達任務で外に行ってばかりだったし。ここ数日はキャンプから出てないから正門も通らないし。知ってるでしょ。私、あの人苦手なの」

「いい人だよ、粕谷さんは」


 粕谷は元警官で銃器の扱い経験やゾンビとの戦闘経験もあったが、脚に怪我があり長時間走ることが難しいため、施設の警備や治安の維持が主目的の警備隊の隊長をしていた。館山に来る前は千尋が所属していたグループのリーダーであり、望も千明の日記で彼の事は知っていた。

 詰め所に到着すると隊長である粕谷が直々に出迎えてくれた。


「お疲れ様。千尋ちゃんに冠木君。何か用かな」


 にこやかな顔とはっきりとした発音だったがどこか空虚な声で粕谷が言った。未だに警官の格好をしており、青い制服に「警視庁」と白く書かれたベストを身につけている。数十人を引き連れて館山に避難してきた野瀬隊とは異なり、粕谷隊の生存者はわずか数人。市民を守れなかった警官としての自責からか、いつもどこかに影があった。千尋が話しにくそうにしているので望が頭を下げて会話を始める。


「お疲れ様です。粕谷さん。今日はMCL作戦の件でお願いに来ました」

「ああ、例の作戦か。和浦さん達から話は聞いているよ。沓沢さんを誘いにきたんだね。ここに呼ぼう」


 既に話は通っていたらしい。粕谷が建物に向かって「誰か」と声をかけると一人の警備隊員が出てきた。こちらも見知った顔で、高校生組の一人、石坂鷹斗だった。


「石坂君。沓沢さんを呼んできてくれないかな。今は四番見張り台に上がっているはずだ」


 石坂は望と千尋をチラリと見た後「わかりました」と勢いのある声で返事をし、駆け足しで正門から少し離れた位置にある見張り台に向かった。

 待っている間、粕谷が千尋に最近の生活の事などを尋ね、千尋は端切れ悪く返答していた。だが会話が途切れてしまい、何となく気まずいので望の方から世間話を振る。


「そういえば昨日来たグループはどうなりました?」

「岸波さん達かい? 彼らは今、海側の仮設住宅で隔離期間中だ」

「小針さんの体調に変化とかありましたか」

「あの負傷していた女性なら問題ない。朝食の時は元気そうだったし、今も特に報告は来ていないから大丈夫だと思う」


 ほっとする望の横で千尋が子供らしく頬を膨らませる。


「それって昨日望が服を脱がしてボディチェックした人?」

「人を呼んだり、少し手伝っただけだって。指一本触れて無い」

「ふーん。怪しい。本当ですか粕谷さん?」

「私は現場にはいなかったからわからない。ただ、小針さんは冠木君に色々良くしてもらったから感謝したいと言っていたぞ」

「へえ?」


 千尋に言い訳しようとしていると石坂が一人の男性と一緒に戻って来た。沓沢らしい人物は頭頂部の薄くなった五十代半ばの男性で、疲れたジャケットのポケットに手を突っ込み首からは警報用のホイッスルを下げている。少し出た腹と伸び放題の顎髭で胡散臭い漢方医のような印象があった。千尋が思わず「うわあ」と口を開けていたので、望は彼女の顔を半分隠すように立ち位置を変える。頼み事をする前にネガティブな印象は持たれたくない。

 沓沢は若い二人の訪問者を訝しみながら粕谷に呼ばれた理由を尋ねた。


「隊長さん、俺に何の用ですか」

「彼らが今度の作戦に沓沢さんの力を借りたいそうなんだ。話を聞いてもらえないかな」

「構いませんが、俺が? こんな年寄りに何をさせようっていうんですか?」


 沓沢が首を傾げる。望は一歩前に出て頭を下げた。


「初めまして。俺は冠木望といいます。こっちは西山千尋」

「知ってる。有名人だからな。で、何の用だ」

「実は、ちょっとお願いしたいことがあります。沓沢さん、昔バンドで音楽をしていたとか」


 望は木更津駐屯地からゾンビを一掃するためのMCL作戦の概要を説明した。事前に知っていた粕谷から特に反応はなかったが、沓沢と横にいた石坂は目を丸くしていた。ミウが歌い続けるモチベーションを維持するためバックバンドが必要な事、そしてメンバーとして加わってもらいたいと話し終えると沓沢はひげを大きくゆらしながら豪快に笑った。それは良く通る声で音楽経験者である事を窺わせた。


「音楽でゾンビを? そいつはいいな。ずいぶんとロックでロマンチックな作戦だ」

「一応、科学的な根拠はあります。頼めば和浦さんがデータを見せてくれると思います。あと、俺も実際に音でゾンビを誘導した事がありますからちゃんとした作戦です。沓沢さん、ミウさんのバンドのメンバーになってもらえないでしょうか」

「確かに俺はバンドをやっていた。高校を出てから五十手前まで、ずっと音楽で生きてきた。東京ドームで演奏したことだってある」


 沓沢が遠い目で北西の方、東京の方の空を見上げた。


「すごいですね。なんてバンドだったんですか?」

「バンドもやってたが、そっちはさっぱり売れなかった。仕事はバックバンドがメインだ。サポートで色んなミュージシャンと一緒に演奏したんだ。稲富淳二、富山真春、小島幸美、スパニッシュ・キッスとかな。知ってるか?」


 望の記憶が正しければ九十年代から〇〇年代にかけて活躍したアーティストやバンドだ。テレビで代表曲を聞いた事があるし、カラオケで誰かが歌っていた気もする。予想以上の本格派に期待が高まった。それは軽音楽部だった千尋も同じらしく望の背中を押しのけて話に食いつく。


「私、富山真春は大好きでした。去年の文化祭で「紅葉坂」やりました」


 確かイケメンの男性シンガーだ。テレビではいつもソロで出ているので特定のバンドメンバーはいなかったと思う。


「へえ、お嬢ちゃんの楽器は?」

「ギターです」

「俺と同じだな。九十八年版のアルバムは聞いたことあるか? あれのギターは俺だよ」

「アルバムは持ってないですけどサブスクで聞きました。あの演奏をお手本に練習したんです!」


 千尋はプロとの出会いに興奮していた。珍しく尊敬の目すら向けている。望を押し退けるようにさらに前に出た。


「沓沢さん。お願いです。私達とミウのバンドメンバーになってください」

「このご時世にギターを弾けってか?」

「確かに突然でおかしな話です。でも、考えたのは自衛隊の人で、この館山キャンプのためのちゃんとした作戦です」

「……仕事か。それなら喜んで引き受けたいが、残念だが力にはなれない」

「どうしてですか!?」

「こんな指だからな」


 沓沢は左手をポケットから出した。小刻みに震えており、グーパーする動作がぎこちない。


「数年前に事故をやっちまってな。筋肉と骨がぐちゃぐちゃになって、ワイヤーやらボルトで直してもらったんだ。見た目以上に中はボロボロさ。日常生活はできるがもう現役の時みたいにギターは弾けねえよ」

「……そうですか」


 千尋は沓沢の震える手をじっと見て申し訳なさそうに頭を下げた。


「手が動くなら手伝ってやったんだけどな。悪いな」


 そう言うと沓沢は震える手をポケットに隠す。それから粕谷に断って仕事に戻っていった。粕谷が少し気まずそうにする。


「千尋ちゃんすまない。沓沢さんの手のことまで把握していなかった」

「怪我じゃしかたないです。残念ですけど」


 千尋は心底残念そうだった。

 望は念のため、他に警備隊に楽器経験者がいないか粕谷に確認してみた。館山では自衛隊がキャンプ運営を仕切っている事を快く思っていない人も多い。そのため、よほどの緊急事態以外では「命令」はされず、仕事への参加などは全て自主的な志願のみで決められていた。MCL作戦への協力もキャンプの存続に関わる緊急事態とは言えないので自己申告に頼るしかない。粕谷が詰め所にいた隊員に心当たりがないか確認してくれたが有益な情報はなかった。


「申し訳ない。役に立てなくて。また何かあれば遠慮なく声をかけてほしい。それと千尋ちゃん」


 粕谷が遠慮がちに千尋に声をかける。


「千尋ちゃん。調達隊を辞めて警備隊に移る気はないか」

「ありません。その話は以前断ったと思います」

「そうだけど、最近は基地にいる事も多いじゃないか。警備隊だって君みたいに実戦経験のある子がいてくれれば助かる」

「MCL作戦が終わったら私はまた外で働きます。ごめんなさい。警備隊には入れません」

「そうか……」


 粕谷は残念そうに肩を落とすと望の方にその疲れた顔を向けた。


「冠木君、千尋ちゃんの事、くれぐれも頼むよ」


 望が強く頷いて返すと隣で千尋が「もう守られるばっかりじゃない」と少し不満そうにした。粕谷は「頼むよ」ともう一度繰り返し、詰め所の中に戻って行った。


 望達は詰め所の側で次の候補者を選ぼうとしていると、まだ残っていた石坂がじりじりと近寄ってきた。


「石坂? 何か用が?」

「あ、そのだな。冠木!」


 妙に熱っぽく顔も少し赤い。


「熱でもあるのか?」

「違う! 俺でよければいつでも声をかけてくれ。俺も、水島さんの力になりたいんだ」

「もしかして音楽の経験が?」

「ない。でも雑用とか荷物運びとか、この前のライブみたいに前説でもいい。何でもする。後悔はさせないぜ!」

「そ、そうか。何かあったら頼むよ」


 とりあえずの社交辞令を返すと石坂は「おうっ」と嬉しそうに仕事に戻っていった。完全に詰め所の扉が閉じたところで千尋がうなる。


「うーん、申し出はありがたいけど、未経験者じゃね。本番まで時間がないし」

「まあ、演奏以外でも何か手伝ってもらえるかもしれない。それに俺もほとんど初心者みたいなもんだよ。ピアノなんて小学校以来触ってないし」

「そうなの? 足引っ張らないでね。外では望の方が強いかもだけど、音楽は別だから」


 沓沢に会って音楽の火が付いたのか千尋は妙にシビアだった。


「が、がんばるよ。じゃあ、経験者集めを再開しよう。次はこの伴藤夏美さんかな。音楽大学の学生で今の職場は水資源班」

「女子大生か。それも悩ましい」


 千尋は少し浮かない。


「心配事?」

「……もし美人だったらミウのキャラを食っちゃうかも」

「そんな心配はしなくていいんじゃない? 聞かせるのはゾンビだし、あいつらは人間の外見なんて気にしないと思う」

「でもミウのモチベーションが下がるかもしれない」

「音大生ならプロみたいなもんだろ。きっと演奏で盛り上げてくれるさ。まあ、引き受けてもらえることが前提だけど」


 伴藤がいるのは館山基地の横を流れる川に面した仮設の浄水場で、彼女は水を汲み上げるポンプの管理を手伝っているはずだった。

 ポンプがある小屋は基地の中心から離れた所にあり、ヘリコプターの格納庫や発着場、何もない荒野を進んで行くと徐々にポンプの大きな作動音が聞こえてきた。あれで河川の水を汲み上げて生活用水にしている。キャンプでは他にも雨水を溜めたり、海水を真水にろ過することで水源としている。

 小屋の周りには作業服の老人が数人いた。働ける若者が調達隊や警備隊、あるいは護衛艦「いずも」のクルーに優先的に採用されていたため、基地内のインフラに携わる人員はどうしても老人が中心になってしまう。とはいえ、雰囲気は悪くなく、休憩中なのかたき火で芋を焼いていたり、たばこを吸っていたりと基地中心から離れている利点を最大限に生かしているようだった。

 望と千尋はたき火に近づき取りあえず老人達に会釈する。すると老人の一人が木の棒に挟んだアルミホイルの塊を差し出してきた。


「お嬢ちゃん、焼き芋はどうかな」

「お芋ですか?」

「そう。そこの畑で作ったんだ。太陽が足りなくてこんなヒョロイモになったけどねえ」


 老人の言うとおり差し出されたアルミホイルは少し太い木の枝を包んでいるような感じだった。千尋は丁寧に頭を下げる。


「ありがとうございます。でも朝ご飯を食べたばっかりですので遠慮します」

「そうかい? 女の子はみんな芋が好きなはずなんだがなあ」


 焼き芋を勧めてきた老人が残念そうにし、木の棒を地面に刺すと今度は懐から小さな箱を取り出した。


「坊主、たばこはどうだ? たき火で点ける一段と美味いぞ」

「ええと、俺も遠慮しておきます。まだ未成年なので」

「ふむ、近頃の若者は欲がないの」

江副えぞえさん、六号の様子がおかしいんですけど」


 そこに二十代くらいの女性が小屋の中から出てきた。短髪で化粧っ気が無く、肩幅が広くがっしりとしている。上下作業服姿が様になっているので噴火前からこういう仕事をしていたのかもしれない。


「また六号かい」


 江副と呼ばれた老人がやれやれとたき火から腰を上げる。


「やっぱり一度止めてバラした方がいいんじゃないですか」

「しゃあない。休みも明けたしいっちょやってやるか。みんな行くぞ。伴藤も手伝え」

「えっ、あなたが伴藤さんですか!?」


 望は思わず驚いて声を上げてしまった。


「そうだけど、あなたは?」

「冠木望といいます。あの、伴藤夏美さんですか」

「だからそうだって」


 目の前にいる女性はソフトボールの選手のようで、室内で楽器をしているタイプには見えなかった。音大生と聞いていたので何となく音葉の成長した姿を想像していた望はなかなか状況が飲み込めず次の言葉に迷ってしまった。代わって千尋が前に出て会話を始める。


「おはようございます。伴藤夏美さん。自衛隊の和浦さんの指示で来ました。少しお時間いいですか」


 女性はハキハキと挨拶する千尋の声に少し戸惑いながら江副に指示を仰ぐ。どうやら江副がここのリーダーらしく、MCL作戦の事も知っていたのか少しだけ気まずそうにしてから「まあ話だけでもきいてやれ」と言い、自分は他の老人と小屋の中に入って行った。状況のわからない伴藤は「まあいいけど」と頷いた。

 千尋はMCL作戦について説明をした。音楽でゾンビを集めるという話をしても伴藤はほとんど興味を見せず、ちらちらと小屋の方を気にしいていた。だが「バンドを組んで」の当たりであからさまに顔を顰め、「メンバーを探しています」と聞くと露骨に首を横に振ってきた。説明が終わる頃には千尋の声から張りがなくなり、望もダメかなと感じていた。


「そういう訳なんです。協力してもらえませんか?」

「無理」


 伴藤はあっさりと言い切った。


「歌でゾンビをおびき寄せるって作戦が馬鹿げているからですか?」

「そこは疑ってない。私は広島組だから。あの『いずも』でミウちゃんや和浦さんと一緒に館山まで逃げてきた。だからあの子の歌がゾンビを惹きつけたのは自分の目で見てる」


 ポンプ小屋からは館山基地の沖合に停泊する護衛艦「いずも」を臨むことができた。甲板上で小さな黒い影が何かの作業をしている。伴藤はそれを見ながら言葉を続けた。


「私は逃げるときに、恋人を亡くしたの。同じ大学の人で、私よりもずっと才能のある人だった。ゾンビに襲われて、指をね、楽器を弾く手を守ろうとして食い殺された。そんな事考えなければ逃げられたかもしれないのに。あの人は音楽に呪われて死んだ。私はもう、関わりたくない」


 伴藤の理由に千尋は一度口を噤んだ。とはいえ、珍しくない話だ。このキャンプにいる生存者で家族や友人を失っていない者は一人もいないだろう。千尋だって母親と姉を亡くしている。


「……ゾンビに対する復讐だと思ってやってもらえませんか。私達、音楽経験者の協力が必要なんです。キャンプ全体のために」

「彼を殺したゾンビは自衛隊が殺した。他のゾンビに八つ当たりするつもりはないわ。正直言って、自分が生きてる理由だってよくわからなくなるの。今は江副さん達を手伝って仕事に没頭したい。音楽とか余計な事は考えたくないの。ごめんなさい」

「そうですか……」


 自衛隊が主導する作戦とはいえ参加は命令ではなく依頼でしかない。断られたら、それ以上は何も頼むことができなかった。千尋は早々に諦め望に「帰ろうか」とアイコンタクトを送ってきた。望は「もう少し」と目で返し、何かヒントがもらえないかと会話を引き延ばしてみる。


「伴藤さんは、音楽大学でどんな楽器をやっていたんですか?」

「それ答える必要あるの?」

「情報として知りたいんです」

「……ピアノ科だったわ」

「ピアノですか!」


 音葉と同じ楽器ということで少しだけ伴藤に親近感を覚えた。そして自分自身のために彼女をメンバーに引き込みたいと思う。


「俺、ミウのバンドでキーボードをやるつもりなんです。もし良かったら色々と教えてもらえませんか。鍵盤に触れるのは小学生以来なんです。演奏は無理でもピアノの先生をしてくれませんか。お願いします」

「冠木君だっけ? 楽しそうね」

「はあ……」


 伴藤の言葉に望は戸惑った。伴藤は望と千尋を見て悲しそうにした。


「広島で一緒に避難していた人達の中に小さな子が何人かいた。避難所の学校で退屈だったから、私や彼がこっそりピアノを教えたのは。新しい事への挑戦にわくわくして、目を輝かせた。でもね、みんな死んでしまったの」

「……それは、残念です」

「知ってる? 音楽って無力なの。怪我も治せないし、おなかも膨らませられない。それどころか外で音を出せばゾンビが寄ってくるだけ。私はもう関わりたくないの。ごめんなさいね。仕事に戻らせてもらうわ」


 そう言うと伴藤はポンプ小屋の中に戻ってしまった。

 誰も居なくなった焚き火に向かって望はため息をつく。


「またダメだったな」

「本人にやる気がないんじゃ仕方ない。でもこれで三分の一がアウト。残りの四人に一人でも協力してくれる人がいるといいんだけど」

「次は……吹奏楽経験者の人のところに行ってみようか。整備部の塗装班」

「三度目の正直になって欲しいね」


 望と千尋は外に出てきた水資源班の一人に江副や伴藤へのお礼と焚き火の見張りをお願いし、その場から立ち去った。


 リストにあった即戦力になりそうな二人に断られた望と千尋は少し重たい気分で川沿いのポンプ室を離れ、館山基地で建物が密集しているエリアに移動した。体育館の近くを通った時、ちょうど木更津から戻った調達隊のトラックが荷下ろししていた。仕分けをする人の中に高校生組の姿があり、植木が段ボールの納入先について大人と何かを話し、石清水は体育館に荷物を運びながら時々足を止めてデジタルカメラで作業風景を撮影していた。

 それをぼんやりと眺めていると千尋に肘で小突かれた。


「気になるなら声かけてくれば。友達なんだし」

「いやちょっと見てただけで別に用事はないよ。それに友達ってほどでもない。知り合いかな」

「どっちでもいいじゃん。お互いに顔も名前も知ってるんだから。望はもう少しみんなと仲良くした方がいいんじゃない? 私達、これからずっとここで暮らすんだから」

「……そうだな」


 微妙な間を開けた望を千尋がじっと見つめた。


「やっぱり」

「何が?」

「あなた、そのうち館山を出ていくつもりでしょ」

「そ、そんなことないよ。どうしてそんな急に?」

「顔にかいてある」

「うっ」


 図星だったので思わず言葉に詰まってしまう。


「お父さんの事? それとも奥山さんって人? お姉ちゃんじゃなさそうなのがなんか腹立つけど教えてよ」

「いや、出ていくつもりはないって」

「望はさ、キャンプのために働いているけど、野瀬さんみたいに少しでもみんなの生活を良くしようって感じじゃない。心はどこか別のところにあるみたい」

「……千尋の考えすぎじゃないか……」


 とはいえ真実だった。望はどうしても館山キャンプからは一歩身を引いてしまっている。父親を見つけいつか音葉のいる成田シェルターへ帰る。それが今の目標だ。千尋を含めた館山の人々にはできる限りの事はしたいと思っている。命懸けで調達隊に参加しているし、MCL作戦だって頼まれた以上はやるつもりでいる。だがどうしても「次」を考えてしまう。それがずっと一緒にいる千尋に隠しきれていない。


「考えすぎじゃない。私は望のこと、ずっと見てきた。今までも、これからも」


 千尋にじっと見つめられ、望は思わず目をそらしてしまった。その反応に千尋は欲しかった答えを得たと思ったらしい。寂しげだがすっきりとした顔で言葉を続けた。


「言いたくないなら今はいいけどさ。タイミングが来たら、出て行きたいならちゃんと言ってほしい」

「そんな事ないってば」

「なら忘れて。でも私は望の味方だから。何があってもあなたを助けるし、仲間がいるなら一緒に行く」

「気持ちは嬉しいけど……いや、だから思い違いだよ」


 結局望はほとんど肯定してしまった形で会話を曖昧に打ち切った。千尋はそれ以上は追求してこなかった。


 それから、リストにあった音楽経験者を回った。三人目は整備部の女性で「トロンボーンじゃバンドには入れない」と断られた。四人目は調理班の女性で「音楽をする気分じゃ無い」と言われ、五人目は本部で事務をしている男性だが「ゾンビに子供を殺されたトラウマがあるのに囮になんてなれるわけないだろ」と怒鳴られた。リストに残っている候補者は後一人。だが一番望み薄な人物だった。


「これで全滅。結局私達三人でやるしかないのかあ。明日から猛特訓だ」

「ちょっと待って。一応、もう一人残っているけど」

「無理でしょ。最後の一人は笹尾さんだよ。漁師のチーム、今は水産調達隊だっけ?そこの隊長じゃん。毎日海に魚を獲りに行ってる人に三週間も練習に付き合ってもらえない」

「聞くだけ聞いてみよう。リストに無い人を知っているかもしれないし、アドバイスをもらえるかもしれない」

「まあ、どのみち和浦さんに報告するんだからダメだった確認は必要か」


 水産調達隊は館山基地の横にある館山港を拠点に漁船で漁をしているチームだ。キャンプにとっては重要なタンパク源の調達手段であり、現在は陸の調達班と並んで生存に不可欠な役割を担っている。笹尾はキャンプ唯一のプロの漁師で、水産調達隊のリーダーを務めている女性だった。

 館山港へは、館山基地のバリケードが拡張されているため、歩いて安全に移動することができる。望達が訪れると既に本日の漁は終わっており、大半の隊員は陸上で漁具の整備や掃除をしていた。すぐ近くで五人くらいのゴム製の前掛けをつけた女性が魚を選別する作業台を水で洗い、漁師風の男性が軽トラックから空の発泡スチロールケースを積み下ろしていた。鼻につく潮の匂いと生臭さが漂っていたが、ゾンビのソレとは違い生命を感じさせ妙な安心感があった。

 目当ての笹尾は直ぐに見つかった。桟橋から大声で漁船に向かって指示を出している。千尋と望が近づくと一瞬おやっという顔をし、それから目的を察したのか近くにいた男性に後を任せて二人の方へ近づいてきた。撥水性と防寒性が高そうな上下の作業着に、ベースボールキャップを被っている。キャップからこぼれる髪は明るい茶色に染められており、なぜか千尋が羨ましそうにしながら頭を下げる。


「お仕事中すみません。笹尾さんに相談があってきました」

「ミウちゃんのライブの件だろ。私のところに来るようじゃ苦戦しているんだろうね。何人集まったの?」

「その……ゼロ人です」

「全員に断られたのか」

「私と望がいるので最低二人は」

「まあ、ライブで木更津のゾンビを一網打尽なんて作戦、半信半疑よね。真面目な真庭が反対しないから本気なんだろうけどさ」


 そう言って笹尾は豪快に笑った。その声に掃除をしていた女性の一人が何事かとこちらを見た。こちらの女性も髪を緑に染めている。そういえば船の横にいる男性も金髪だし水産調達隊には髪を染めるルールがあるのかもしれない。

 千尋が遠慮がちに笹尾に尋ねた。


「無理だとは思うんですけど、笹尾さんにバンドを手伝っていただけないかと思ったんですけど」

「手をかしてやりたいけど、ちょっと無理だね。私はこいつらの面倒を見なけりゃいけないから。悪いね」


 予想通り、笹尾にも断られてしまう。


「それにミウちゃんの歌ってゴリゴリのアイドルソングでしょ。私の趣味とはちょっと違うんだよ」

「少しわかります。そういえば笹尾さんはどんな音楽経験があるんですか? 楽器はなにを?」

「私? 漁師仲間のバンドでドラムをしていたよ。おっさん連中と一緒にやってたから七十年代や八十年代の曲ばかりだったけど、楽しかったな」


 笹尾が懐かしそうに海を漁港の防波堤の先に目を向けた。


「私達ちょうどドラムの人を探していたんです。今リズム楽器経験者が一人もいなくて」

「そうなのかい。なおさら申し訳ないね。手伝えなくて」


 いくら経験があっても隊長クラスを引き抜くわけにはいかなかった。ミウのモチベーション維持よりもキャンプのタンパク質供給の方が重要だ。

 これで完全に希望は絶たれた。そう思っているとホースの水で床を掃除をしていいた女性の一人、先程こちらを見ていた緑髪の人が手を止めてこちらにやってきた。


「あのリーダー、ちょっといいですか?」

「なんだい?」


 笹尾に声をかけたのは二十代前半くらいの女性で、そばかすの残る顔に色褪せた金と緑の混ざった髪を後ろで引っ詰めていた。笹尾ほどではないが鍛えているかんじで、顔も日に焼けている。見覚えがあるので昔からここで生活している人なのだろうが話したことはなかった。


「その話興味あります。木更津のゾンビをやっつけるって」

「聞いてたのか?」

「聞こえたんです。そこで掃除してたんで。それで、オレ、ちょっとやってみたいなって」

「帯川は音楽の経験があったのか? この前聞いた時は何も言ってなかったよな」


 帯川と呼ばれた女性は「いやあ」と言って左の耳を掻いた。


「全く無いです。でも木更津のゾンビを倒せるなら手伝いたいって思うんっすよ」

「変わった子ね。作戦について知ってる? ゾンビのど真ん中で演奏するんだ。木更津には二万体のゾンビがいて」


 そこで笹尾は何かを思い出し、「ああ」と納得した。


「そうか、そういえばそうだったね。やる気があるなら別に止めないよ。西山、期間はいつまでだったっけ?」

「十二月二十四日が本番です」

「大体三週間か。まあ一人分の仕事の穴ならなんとかなるか。よし行ってきていいぞ」

「ありがとうございます! それじゃあ早速行ってきます」


 帯川という女性はゴムの前かけをさっさと脱ぐ。ようやく一人確保できたのだが素直に喜べない。千尋がニコニコしている年上の女性に遠慮がちに尋ねた。


「あの……帯川さん? はドラムとか叩けますか?」

「大丈夫。友達の家でやったことはある。丸いゴム板見たいのを木の棒で叩くやつだろ? あとゲーセンでもな!」

「ゲームセンター、ですか」

「大丈夫。二週間もあればマスターしてみせるから。こう見えてオレ、記憶力はいいんだ。魚の捌き方だって三日でプロ並みになってんだぜ」


 フランクにそう言うと、帯川は作業着をめくって力こぶを作ってみせた。千尋よりも二回りは太い。笹尾が「それは本当よ」とフォローを入れる。手先が器用なのは確からしい。


「私も少しサポートしてやるよ。夜に教えるくらいならできるはずだ」

「本当ですか? 流石リーダー!」


 断るタイミングを見失ったのと、笹尾が助けてくれるということだったので取り敢えず帯川をメンバーに加えるということで話がまとまった。


「では帯川さん、よろしくお願いします」

「オレのことはテイって呼んでくれ」


 差し出された千尋の手を帯川が妙に強い力で握る。千尋は少しだけ不思議に思ったが、元々腕力のある人なんだろうと納得する。それから明日の予定を帯川と打ち合わせ、笹尾にお礼を言った後、お土産にスルメを一袋もらって館山港を後にした。

 頭の上を和浦か、あるいは別の訓練中の誰かが操縦するヘリコプターが通過していった。それを見上げて、ヘリなら成田までひとっ飛びだなと考えていると千尋に脇腹を軽く突つかれた。


「ちょっと聞いてた?」

「ごめん。何だっけ?」

「この際なら石坂さんも誘ったらって言ったの。帯川さんが未経験者ならもう一人いても同じじゃんって」

「いいけど、何をやってもらうんだ?」

「ベースがいないからベースを。望がキーボードの代わりにやってもいいんだけど」


 少し考えてみる。全く触ったことのないベースと少しは経験のあるピアノ、どちらが負担が少ないかと言えば間違いなく後者だろう。


「俺はキーボードをやるよ。石坂、やる気はありそうだけど音楽できるかな」

「ギターより弦の数は少ない。ギターは六本、ベースは四本しかないから」

「そういう問題? ヴァイオリンだって弦は四本だけど簡単じゃないぞ」

「愛の力でなんとかしてくれるでしょ」


 石坂がミウに片想いをしているのは誰の目にも明らかだった。だがミウの方から矢印が出ているようには見えない。


「色恋が拗れて厄介事が増えるような気もするけど」

「メンバーが集まらないよりはマシでしょ。三週間の練習と本番がなんとかなればいいんだから」

「まあ、そうかもだけど……」


 どちらかというと問題が起きるリスクを増やすだけのような気もしたが、やる気を出している千尋に水を差すこともないと考えそのまま賛成する。

 取りあえずメンバーは揃った。これを和浦とミウに報告し、明日からは練習漬けの毎日になる。


「じゃあ、千尋がギター、石坂がベース、帯川さんがドラムで俺がキーボード、そして水島さんがボーカルってことでいいのかな」

「いいんじゃない。ミウはボーカルというよりはアイドルで私達がバックバンドだけど。うん、ちょっと楽しみになってきた」

 

 千尋は本気で楽しみにしているようだ。冗談みたいな作戦だが銃やナイフを振り回して不死の怪物と戦うよりよっぽど健全だ。真庭達の護衛もあるし普通に調達隊で働くより安全だろう。ただ、これは成田にどう報告すればいいのか。そのまま伝えて信じてもらえるかどうか、そんな事を考えながら望は千尋と並んで館山基地に戻った。

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