小さな牧場での出来事(2)
千尋が拳銃を構えると真庭達の小銃の狙いは北田から千尋に移った。当然、指は引き金に掛かっている。望は慌てて千尋の前に立ち塞がり両手を広げた。
「待ってください。味方同士ですよ!?」
真庭は表情を変えず、部下二人も戸惑ってはいたが銃を降ろす気配はない。後ろにいる千尋の気配も戦闘態勢のままだ。前後から銃を向けられた望は冷や汗をかきながら何とかこの場を収めようとする。
「真庭さん、お願いです。銃を下ろしてください」
しかし望の前に立っている大人達は射撃姿勢を変えず「武器を捨てなさい」と有無を言わせない。望が首だけ動かして後ろを振り向くと千尋が望の背中越しに真庭を睨んでいる。まるで子犬を守る母犬のような目つきで本当に引き金を引きそうだった。
「千尋、頼むから銃を下ろして」
「お姉ちゃんは北田さんを守った。だから私もこの人を守る」
「それはわかってる。俺も協力するから。でもまずは真庭さん達に事情を聞こう。理由もなく人を追いかけるはずない」
「……事情?」
「そう。北田さんが逃げていた事情。西山なら、君のお姉さんならまず話し合う」
「……」
「俺は真庭さんのことを信用している。千尋だってそうだろ?」
「そうかもしれないけど……」
千尋の顔には迷いが現れていた。おそらく、いつものように頭に血が上り考えるよりも早く体が動いただけだ。真庭達と撃ち合うような選択はしないだろう。これなら大丈夫、望はゆっくりと顔を正面に戻す。
「真庭さん、この人を追いかけていた事情を説明してもらえませんか」
「西山さんに銃を捨てさせろ。話はそれからだ」
真庭は妥協する気はなさそうだ。望はもう一度後ろを向き千尋に「頼む」と訴えた。後ろの二人を庇うため変な格好で立っているし、真庭達には銃を向けられているし、首もかなり後ろまで回さなければ千尋の顔を見ることができない。いい加減、望もこの状況に疲れてきた。千尋が「わかった」と言って銃を下ろしながら望の背中から出る。
「拳銃を地面に置け」
千尋は真庭の指示に従い、銃を火山灰の積もる道路に置いた。自衛隊員の一人が警戒しながら近づいてきて、拳銃を拾いあげる。その隊員は拳銃をポケットに押し込んだ後、少し困り顔で次の指示を仰いだ。
「隊長、拘束しますか?」
「その必要はない。西山さんも弁えていると信じている。ただ次に馬鹿なことをしたら容赦はしない。武器を向けた時点で撃ち殺されても文句は言えない。そこは理解しなさい」
「……私は戦うつもりでした」
「千尋!」
望が再び慌てる。だが千尋は憮然としたままそれから頭を下げた。
「すみません。真庭さん、頭に血が上ってしまいました」
「それならいい。馬鹿な事はするなよ」
真庭は千尋の足首に一瞬視線を向けてからそう釘をさした。千尋の足首には予備の武器であるナイフが隠されている。
「しませんよ。銃を向けた事、本当にごめんなさい」
どうやら千尋は考えなしに行動した自分自身に苛立っているようだった。彼女はそれから、自分の背中に隠れている男に向き直る。
「北田さん、何をしたのか事情を話してく、あっ!?」
北田が急に千尋を拳銃を拾った自衛隊員に向かって突き飛ばした。彼はうまく千尋を受け止めたが、その間に北田が逃げ出した。
「おい逃すな!」
「だめです射線に冠木が」
真庭の命令にもう一人の部下が叫ぶ。北田は望と重なるように走っており発砲すれば当たってしまう可能性があった。北田の先には望達が乗ってきた車がある。エンジンはかけっぱなしで運転席の扉も開いたまま。北田は車に飛び乗り、勢いよくアクセルを踏み必死にハンドルを回す。急発進した車は望達に向けて突っ込んできて、千尋と自衛隊員を轢きそうになりながら百八十度転回する。千尋は車を避けようと尻餅をついた。それを見た望の中で火がついた。望は膝立ちの姿勢になると遠ざかる車の運転席に銃を向け、ヘッドレストで目標が隠れていたため狙いをタイヤに下げて引き金を引いた。タイヤが炸裂し、滑りやすい火山灰で舗装された道路でコントロールを失った車は崖側のガードレールに突っ込んだ。不快な轟音が響き、車はガードレールにめり込んで停車し運転席のエアバックが膨らんだ。北田は痛みに唸り声を上げながら、膨らんだエアバックを押しのけ車外に這い出て来た。そこを駆けつけた真庭達三人の自衛隊が包囲し、銃を向ける。先ほど轢かれそうになったからか、さすがの千尋も今度は庇おうとはしなかった。
「よ、よせ。待ってくれ、撃たないでくれ」
倒れたまま命乞いをする北田を真庭が強引に立たせ、隊員の一人がその背中に銃を突きつける。
「隊長どうしますか?」
「……牧場へ連れて行く」
部下に聞かれた真庭は千尋の方をちらりと見た後にそう答えた。
「あの、真庭さん。これはどうゆう状況なんですか」
「事情が知りたければ君たちも付いてきなさい。実際に見ればわかる」
「隊長、それは止めた方が」
隊員の一人がこちらもまた千尋の方を伺いながら真庭に言った。
「彼らとの遺恨を残したくない。事実ははっきりさせたほうがいいし、このまま帰れと言っても納得しないだろう。そうだろ西山さん?」
千尋は頷いて火山灰を叩き落としながら立ち上がった。
「事情、聞かせてください」
「念の為言っておく。この先にあるのは不愉快な事実だ。できれば子供には教えたくない。それでも知りたいと思うかな」
「想像はつきます。でも知りたいんです。姉が命をかけた結果を見届けたい」
「ならこの先だ。ついてきなさい」
真庭達が歩き出し、望と千尋もその後ろからついていく。千尋は銃を突きつけられた北田の背中を冷ややかな目で見て、それから真庭に声をかけた。
「私の武器、返してくれませんか?」
「先ほど我々に銃を向けた相手に渡すとでも」
「丸腰でいる方が危険です。敵やゾンビがまだいるかもしれないんですよね」
「可能性はあるな。いいだろう」
真庭は北田に銃を突きつけていた隊員を止め、彼から千尋の拳銃を受け取った。北田がそれをちらりと見ていたが、すぐに隊員に小銃で小突かれて歩き始めた。銃を受け取った真庭は弾倉と内部の薬室に装填済だった弾丸を取り出し、すぐに使えない状態で千尋に渡す。
「万が一までこのまま持っていなさい」
千尋は何も言い返さず、拳銃をホルスターに、弾倉と弾丸はポケットに入れた。
それから望と千尋は北田を連行する真庭達に付いて道の先に進んだ。
五分ほどで森が開け小さな牧場が見えてきた。鉄パイプを組み合わせて作られた柵があり、その内側に木製の柵で囲まれた牧草地だったらしい空間がある。近くには厩舎や事務所などの建物もあり、数台の車が停まっていた。そのうちの二台は見慣れた自衛隊の車両、他の車は見覚えがなかったが最近使われたようでフロントガラスに灰は積もっていなかった。真庭達は牧場の敷地に入り、事務所らしい建物の前に移動する。そこには目を疑う光景があった。
見慣れない男が十人ほど、両手を後ろで縛られ事務所の壁に向かって跪かされていた。見知った五人ほどの自衛隊員が彼らに銃を向けていた。望が跪かされている男達を見てみると中には負傷している者もいた。手当はされず、足から流れた血が地面に血溜まりを作っている男すらいる。
「真庭さん。これはどういうことですか」
望の問いに真庭は直接答えを言わなかった。
「君たちはどうしてここに来た?」
「道に迷ったんです。標識に従って進んだら山道に入って、気がついたらこの近くに来ていました」
「それは彼らの仕業だ」
そう言って、真庭は跪いた男達に視線を向けた。
「彼らは偽の標識を設置して都心から避難してきた人達をこの牧場に誘導した。そして騙し打ちをして物資を奪った。犠牲者は二十人以上いたようだ」
「二十人もですか。その人達はどこに?」
「ほとんどは彼らに殺された。遺体は山の中に埋められている」
「ほとんど?」
「そうだ」
真庭が部下の一人に短い指示をだした。それを聞いた若い隊員は、一度千尋の方を見て「しかし」と抵抗を示したが、二度目の命令を受け渋々と事務所の中に入っていった。やがて、その隊員は三人の女性を連れて外に出てきた。いずれも服は身につけておらず、毛布のような物を体に巻き付けて、その上から男物の上着を羽織っているだけだった。望は漸くここで起こったことを理解した。かつて音葉も無法者達に誘拐された。あの時は望が間に合ったが、目の前にいる女性達にとって真庭達の救援は遅過たようだ。千尋の方を見ると彼女は無表情で未だに銃を突きつけられ立ったままの北田を見ていた。
「説明するまでもないだろうが、話しておく。この男達は迷い込んできた避難者の男性と子供は殺し、女性は監禁して暴行を加えていた。あの三人はその生き残りだ」
三人の女性の中には望と変わらない年頃の少女もいた。顔の殴られた跡や乱れたままの髪、毛布から伸びる何も身につけていない脚が痛々しかった。
「……どうしてここがわかったんですか」
「彼らに襲われて生き延びた男性がいた。その人は重症を負いながらも山を降りて我々に助けを求めた。それで知ることができた」
「その男性は今館山に?」
「既に亡くなっている。我々が発見した時には手遅れだった」
「そんな」
望が絶句する横で、千尋が動き出した。彼女は北田の前に移動し、正面からその目を見つめた。
「北田さん、あなたもあの女性達に乱暴したんですか」
「ち、違う。俺はしてない。俺もあいつらに脅されてたんだ」
「嘘だ!」
被害者の女性の一人、望と同じ年頃の少女が叫んだ。
「そいつは私のお父さんを殺した! 目の前で、動かなくなるまで鉄パイプで殴って。そして私を、私をっ!!」
少女は絶叫し、そして泣き崩れた。おどおどする隊員の横で、別の被害者の女性が少女を抱きしめると。少女はその胸の中で声を殺して泣いた。千尋は表情を変えないまま、北田に一歩近づく。
「お姉ちゃんに救ってもらった命をこんな事に使うなんて。あの時見捨てるべきだった」
千尋はさらに一歩、北田に詰め寄る。真庭が「それ以上近づくな」と制止するが間に合わず、振り上げた拳で北田を思いっきり張り倒した。この数ヶ月、前線で戦ってきた千尋の腕には相応の筋肉がついていたし、先ほどの事故のダメージもあった。北田は堪えきれず呻きながら片膝をつく。だがそれで背中に突きつけられていた銃の狙いが外れてしまった。北田はチャンスを逃さず頭の後ろで組んだ両手を解き、千尋に覆い被さるように組みついた。二人が密着してしまったため、銃を持った隊員は撃てない。北田は千尋の腰から拳銃を抜く。
「全員動くな。動けばこいつの頭をぶち抜くぞ」
北田は拳銃を千尋の頭に突きつけた。
「へへっ、形成逆転だ。西山の妹、お前ら姉妹は揃っていいやつだな。二度も俺の命を救ってくれるなんて感謝しかねえぜ」
「……」
千尋は何も言わず、ただ失望していた。
「よし、こいつの命が惜しければ今すぐ武器を捨てろ」
しかし真庭はすぐに武器を構えた。周りの隊員もそれに続く。望は少し迷ってからすぐに千尋を助けられるよう両手を空けておく事にした。人質を取られているのに冷静な真庭や望に北田の方が動揺していた。
「おい、どうした! こいつの命が惜しくないのか。俺は本気だぞ」
「やめろ!」
望は大声で叫んだ。それを聞いて北田が安心したように笑う。
「そうだ。西山妹の命が大事だろ。そこのガキ、自衛隊の連中に武器を捨てさせろ」
「やめるんだ。落ち着いて」
望はもう一度声を張り上げた。その対象は北田ではない。千尋だ。
先ほど千尋が真庭に銃を渡した時、弾倉と銃の中に残っていた弾丸は抜かれている。引き金を引いたところで何も起こらない。むしろ危険が迫っているのは北田の方だった。千尋は北田に拘束されながら足首に隠していたナイフに手を伸ばそうとしていた。望は千尋を止めようとしたが、真庭はむしろ千尋の攻撃を待っているようだった。望は千尋に手を汚させたくなくて、また声をかけようとした。だがそれより早く千尋が動いた。尻餅をつくように北田の腕から抜け、足首のナイフを順手で抜き、そのまま背中側に振り上げた。
「ぐえあっ」
ナイフは北田の腹に突き刺さり、激痛に襲われた彼は銃を落としその場に倒れた。
「痛てえ、痛え、くそっ、くそおっ!」
千尋はナイフを持ったまま立ち上がり、地面で腹を抑えている北田を見下ろす。
「もっと早くこうするべきだった」
そしてナイフを振り上げた。だが振り下ろされる前に駆けつけた望が千尋の細い腕を掴んでいた。
「千尋、もう十分だ」
「……十分? 何が。望にあの人達の気持ちがわかるの」
「違うだろ? 千尋、君が怒っているのはこいつが西山の死に関係しているからだ。でも仇じゃない。怒りをぶつける相手はゾンビだ。この人じゃない」
「こいつが車を持ち逃げしなければお姉ちゃんは囮にならずに済んだ。一緒に館山まで辿り着けたはずだった」
「でも、この人が西山を殺したわけじゃない。千尋がやろうとしている事はただの八つ当たりだ」
千尋は手が真っ白になるほど力を込めてナイフを握っていた。望はそこに自分の手を重ねる。
「落ち着いて」
「……わかってる。でもこいつは生かしておくべきじゃない」
「それを判断するのは大人だ。俺達にはまだ早いよ。今は武器を納めて」
千尋はしばらく悩んだ後、小さく首を縦に振った。それからゆっくりと腕の力を抜きはじめ、望が腕を解放すると、北田から数歩下がって距離を取り、ナイフをポケットから取り出したキッチンペーパーで拭ってから足首に戻した。そして地面に落ちた銃を拾い、じっと見つめた。
「千尋、だめだよ」
「わかってる。こんな奴に無駄弾は使わない」
千尋は弾倉を装着しないまま、銃の汚れを落としホルスターにしまう。望は千尋が人殺しにならずに済んだ事にほっとした。地面に倒れていた北田は自衛隊員によって結束バンドで両手を後ろ手に縛られた。隊員は「痛てえ」と喚く北田を引きずり他の仲間達と同じように建物の壁に向かって跪かせた。
状況が落ち着くとその場にはなんとも言えない緊張感のある空気が流れた。安全になったのにどうも落ち着かない。真庭が部下と何かを話し合い、それから望と千尋の方にやってきた。
「冠木君、一つ頼まれて欲しい。あの女性達を館山まで連れて行ってもらえないか」
できるだけ早くここから立ち去りたかった望は構いませんと即答する。
「助かる。幹部会では救助できた女性がいた場合、詳しい事情は伏せて普通の避難民として扱うと決めてある。君たちもそのつもりで。詳しくは中里さんに任せてある」
中里は館山キャンプ唯一の医者で幹部の一人でもある女性だ。真庭は話を続ける。
「それと、ここであったことは他言しないでほしい。君たちは木更津からの帰り道、山道で彼女達三人を救助した。いいね」
「わかりました。車はどうすれば? 俺たちのはさっき壊してしまいました」
「そこのバンが使える。これが鍵だ」
真庭がバンの鍵を望に手渡した。
「君らが彼女達を送っていく事は館山に無線で伝えておく」
望は頷き、細かな事をいくつか真庭と打ち合わせた。最後にもう一つ聞こうとして、その前に千尋に頼み事をする。
「千尋、あの人達を車まで案内してもらえるかな。俺はもう少し真庭さんと話があるから」
千尋は頷くと、被害者の女性達の方に向かった。望は少し声のボリュームを下げる。
「真庭さん、どうしてすぐに助けなかったんですか」
「あの女性達のことか? 可能な限り最速でここに来たつもりだが」
「千尋の事です。あの拳銃に弾丸が入っていない事はわかっていましたよね。ならすぐに制圧できたはずです」
「下手にこちらが動くより彼女に主導権を握らせた方が安全だと判断しただけだ」
「千尋はまだ中学生ですよ。中学生の女の子に人殺し寸前までやらせるなんて」
「彼女はゾンビとの戦いで大人以上の働きをしている。あの程度なら難なく対処できると判断した。実際、その通りだった。冠木君」
真庭は望の名前を呼び、そこで一度言葉を切った。
「我々は君達に期待している。君にも、西山さんにも。万が一我々が全滅した時でも、君たちなら残った人々を守っていける。君達がここに来たのは想定外だったが、ある意味幸運だった」
「何がですか」
「いつか伝えるつもりだった事を伝えられる」
そう言って、真庭は跪いている男達を一瞥する。真庭の言わんとすることを察した望は露骨に顔を歪めた。
「そんな経験、千尋にはさせたくないです」
「時代と状況がそれを許さない。今は、人は強くなければならない。仲間を守るためには辛い決断を強いられることもある。残念だがね」
「俺は嫌いです。こんな世界」
「私もだ。できればここでないどこかに安全な場所があればと思っているよ」
その言葉に望の心臓の鼓動が一瞬跳ね上がったが何とか顔には出さずに済んだ。
「そろそろ行きなさい。それとも最後までここにいるか?」
「いえ。行かせてもらいます」
望は真庭達に一礼し、車の方に向かった。
それから望は千尋と被害者の女性をバンに乗せ牧場を後にした。途中、千尋の提案で安全が確認されている小さな衣料品店に入り女性達の服を調達する。女性達も千尋も館山への移動中はほとんど話さなかった。
館山に到着すると、ゲートには警備担当のリーダーである元警官の粕谷や自衛隊員がおり、民間人の姿はなかった。粕谷は後部座席の女性三人をちらりと見ると、「本部棟で中里さんが待っている」と告げ、ゲートを開けた。望は車で本部棟まで移動し、入り口で待機していた医師の中里や助手の小笠原らに女性達を引き渡す。それからいつも通り、武器係の所に行き銃を預けた。
「食事、何時に行く?」
道中ほとんど喋らなかった千尋が別れ際に聞いてきた。正直あまり食欲はなかったが明日に備えて食べる必要がある。望はあまり人と会わずに済む遅い時間に食堂で待ち合わせることにし、部屋に戻ろうとした。男子寮の近くを通った時、真庭達を乗せた車両が目の前で止まった。高機動車の助手席から真庭が顔を出す。
「ご苦労だったな」
「いえ……真庭さん達も」
真庭以外の自衛隊員の表情はあまり優れていなかった。それを見た望の気分がさらに落ち込む。
「冠木君、明日から木更津で別の作戦を始める。君と西山君にも参加してもらうからそのつもりで」
「わかりました」
望はそれ以上、何も言わなかったし、何も聞きたくなかった。




