第一回イラスト交換企画に参加させて頂きました!
長岡更紗さんが企画・運営する「イラスト交換企画(2019年秋)」に参加させて頂きました!
そのイラスト作成レポート(エッセイ)です。挿絵あり。
テンションが高めです。すみません。
私が書かせて頂くことになったのはマリク。
(主要人物の中から選ばせて頂けたので、小説・漫画を拝見して悩んで悩んで悩んだ結果、マリクに決めました。)
GOサインが出たので、やる気スイッチを入れます。
よし、書くぞー!
マリクが登場するお話はこちら↓
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「そしてふたりでワルツを」(あっきコタロウ様作)
https://ncode.syosetu.com/n9614dm/
古典恋愛風群像劇なのです。
イラストもたっぷりあって一粒で二度美味しい!
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マリクは、目つきが悪くて、三白眼で、八重歯で、髪の毛が逆立ってて、金貸しで、スラムの王様で、二十代。
スラム(=危ない場所?)に生きる人は、強面で他人を威嚇しないと襲われる可能性が高いかも!?
よしグワッとした迫力をもたせよう! ……とか、そういうことを考えながら、ひたすらラクガキです。ルーズリーフにボールペンで書いて書いて、感じを掴みます。
はい、右下の人は、どっからみても悪人ですね!
これは違うなあ、と思いつつ、ある程度納得いくまで何日か掛けて書きます。
左側の絵はコートの衿を確認したものです。ネット画像を参考にしています。
(注:外国人のモデルさんがぽっちゃりさんだっただけで、マリクがどすこい体型になったわけではありません。)
ワルっぽい感じを出すにはポーズもそれらしく…。
ヤンキー座りをしている画像をパソコンで検索して、目でコピーします。(模写)
マリクは177cmで69kgと痩せ型です。(私の基準では。)
私164センチですが、若い頃は72kgまで体を大きくした事がございますんで…。72kgは角界に行けば小兵ですけどね。
今の体重? もちろん測ってませんよ、やだなぁ。もう体重ごとき気にする年齢じゃないですわ。体重増加や運動不足によるヒザ関節痛のほうが心配です。痛○湯とかそういう感じの。
まあそうした訳でして、男性の体はネットで見つけた書き方講座のイラストを見て、こちらも模写してみました。(左の絵)
ナマの人間じゃ、こんなきれいに左右対称に板チョコ(腹筋)割れませんね。利き手ってものがあるから、どうしても筋力差がでますからね。
夜、鏡の前で歯磨きしていて気づく。
「はっ! 八重歯を自然に見せるには、イーッっと笑わせてみればいいのか!?」と思ってイーッと笑わせてみる。(右側の絵)
…………どこの特攻隊長だ。
おかしい、もっとこう、違うんだ…。マリクはワルっぽくても人情家…ともちょっと違うんだけど、いい人なんだ。
連日これに悩みました。彼ならコレや! というポーズが私には思いつかないのです。朝から晩まで…それこそ仕事中も考えているのに。くうっ…こんなに考えてると恋しちゃうぞ!
格好つけそうにないし、オラオラでもないし、インテリぶらないし……しかしワルっぽく見える善人。このギャップは絵にするには難しい!(ちなみに、捨て猫は拾わないらしい。ついてくる猫は構うとのこと。キュンとしますね。)
……そう、マリクはどこか可愛いのです。
「あ、寝ている時なら可愛いく書いても許される…かも!?」と、邪な思念が…ゲフンゲフン。いや天啓ですね。それを得て、寝姿を書けないかと模索し始めます。
ネットで寝ている男性をみつけて、模写しては、あーでもないこーでもないを繰り返す。全然前に進んでませんが大事なことなのです。
なぜ人体には下半身という書きにくい部位があるのだろうか。
「足なんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ。」とぶちぶち言いながら書き書き。上手くかければ楽しいんですけどねー。
足裏を手前に向けたアングルは、素足ならまだ幾らかマシですが…ミリタリーブーツ履かせてきっちり形にできる自信がない。
うーん。バストアップでごまかすか…? いや…全身入れるべく、もがいて苦しんでこそ愛だし!(※あくまで私の個人的な感覚です)
絵描きの情熱とマリクへの熱が相まって、変な方向に漲りはじめました。
なお、苦手なものに対して、頑張れるか頑張れないかで、絵が上達するかどうかが分かれます。自然と書けるようになる、なんてことは普通は無いのです。
つまり、苦手なものにも挑戦するの大事ってことです。若い人はガンバレ!
そして(構図的に)絵に入れられるならば、入れたいなと思う『指輪』のデザインをチェックします。
ミュシャみたいに円でかこってデザイン的に背景を誤魔化す…もとい仕上げる形が好きなので、これを背景に使えたら…などと考えたりもします。(今回は残念ながらマリクの胸元に収まるにとどまりましたっ…)
そろそろ下絵を完成させたいので、赤ペン(サインペン)でペン入れします。
この絵。これが私の素のレベルです。
鉛筆やボールペンのラフだと上手く見える場合もありますが、何も参考にせず、線一本で勝負するとこんな感じです。
通常ならこの状態をスキャンして、これを下絵に、パソコン上でもう一度ペン入れします。
線が一本できちっと書けた場合は、スキャン → 線の色変更 → 着色に入ります。
彼はスラムで金貸しをしてますから、寝ているときはブーツは脱がないでしょう。(素足だと、襲撃された場合に対処が遅れるから)
しかしマリクはきれい好き…。まちがってもソファに土足はのっけない筈。
「うおお…寝づらくない!? You靴ぬいじゃいなよ!」とか突っ込みつつポーズに苦しみます。
二次元の絵の奥行き…所謂パースにも苦しみます。パースなんて絶滅すればいいのに。
あ、やる気のある若い人は、さぼらずパースと戦ってください。私はさぼります。
もう一回、ちょっと変えて書いてみました。これも赤ペンでペン入れするつもりなので鉛筆画。
ふー、形にはなったな。しかし誰なんだろうね、これは。
八重歯が見えない → 寝てるから
目つきの悪さ・三白眼がわからない → 寝てるから
髪の毛もあまり逆立たないだろう → 寝てるから
もともとの作者である(絵も書いてらっしゃる)、あっきコタロウ様が書けばマリクになるのですが…。
しかし私が書くと「若い男性が寝てるねえ」という絵で終わってしまいます。人物の特徴が出てないからです。
……ダメだ、これじゃマリクらしさが足りない!
そうした理由でソファに寝かせるのを諦めました。
……で、
やはりネット画像をもとに模写して書いた鉛筆画。(左側)
寝起き…寝ぼけ? 悪くない感じになった! しかし元画像がベッドから起きた写真だったので、下半身どうしようか問題が発生!
よし、下半身はコラってしまえ。(キリッ)
右側に下半身のみを書きます。
ここでいうコラ(コラージュ)は、漫画書きでいうところの、失敗した部分の裏に紙を当て、重ねて切り抜き、失敗部分は捨てて、新しく入った紙にあらためてそこの部分を書き直すっていうアレです。若い人はやらないんだろうな…今はデジタルの時代だから…。
まあ、私もデジタルでコラっちゃう訳です。
スキャナーを立ち上げてスキャン。
300dpiのA4サイズぐらいで取り込みました。
がったい☆ よし、靴は後で書き直すとして、悪くない、悪くないぞ…!
胴が若干長い気がするので、これはのちほど短くしました。
キリのいいところでボディを上下に切って詰めただけです。
絵の作業環境はXPでフォトショップCS2です。
グレースケールをダブルトーンに変換して線に色をつけます。
黒やグレーより作業しやすくなるからです。
普通ならここで、取り込んだ画像の上にレイヤーを張ってペン入れをする……んでしょうが私の絵道具はマウスです。ペンタブ…ないです。二十年ぐらい前は使ってましたが。(最近は画面に直接ペンで書けるらしいですね。あれは欲しい)
マウスで手書き線を引くのは相当習熟していないと無理です。
昔のグラフィッカーはキーボードで絵を書いてたって話ですから、もしかしたら私も…なんて思った時もありました。でもね、ゲームひとつやるのに鍋敷きみたいなフロッピーがAからFまであって、毎回ガゴガゴ言ってローディングしてた時代とは違うんですわ。お絵かきソフトも複雑になりましたからね。
そんな訳で、ひたすら無駄な線を消す方向で、りんかく線を出します。
消しゴムツールで四角を選択して、Shift+左クリック。これで『線形で消せる』のです。
直線だって短く継ぎ合わせれば円が書ける! の原理でこつこつと、拡大したり縮小したりして、ひたすらクリックします。
何本か線があってどれを残すか迷ったときは、外側の線を生かしておくと、間違っていても修正しやすくなります。
うっかり線を消した場合は、1ピクセルではなく、3~5ピクセルの太さで線を書き足して、それを消しゴムツールで削って整えます。
このやり方は、根気さえあれば、Gペンで書いたような強弱のあるりんかく線を出せるのですが、大きな欠点があります。
良い作品ができたとしても、絵の技術が全く上がらないのです。EXPの無駄遣いみたいなもの?
ですので、若い人にはおすすめできません。
さてさてさて。
りんかく線が大体出たので、どんどんパーツごとにレイヤーをつくって色をつけていきます。一番楽しい時間です。
左側に御本尊を置いて色を採取します。
靴をリアルにしすぎたので、ズボンやタンクトップの色に深みを出すために、各パーツのレイヤーを複製、上側のレイヤーを乗算にしてみるとガクンと色が濃くなります。
濃くなりすぎたら不透明度を微調整します。これで元の色よりちょっと深みと厚みがでるはず。今どきのやり方は知らないので、こんな古い手法です。
この靴……実は、反対向きの靴をモデルにして書いたので、ちょっと…いや、ちゃんと見れば分かるぐらいには変です。(親指が外側を向いているようなもの)
ちょうどいい角度&デザインの靴が、反対向いてたんだもの…。
そうして書いた靴の線を反転+ゆがみをかけて反対側の足にも使ったため、靴紐が右足と左足で掛け方がちがう(大汗)
いやー、やっちまいました。
完成画像は小さくしよう。そうすれば分からない…ハズだっ。そう心に誓ってひたすら色をぬります。
髪の毛はどうにも上手く線がひけなくて、手書きにしました。
ソファ画像はネットからひっぱったものです。これを元にトレースします。
フォトショならこうした写真を絵っぽく加工もできるのですが、何かあったら問題になるし、このぐらい単純な線なら、SHIFT+左クリックでちまちまとやれば案外あっさりイケます。左右対称だもの。
そうして完成したのがこちら。
(150dpiに落として長辺を10cmになるようリサイズしてます。それをさらにWEBに最適な保存 → JPEG選択で画素数を落とす。)
窓枠もソファと同じように画像をとってきてトレースしたものです。
最後に一番上にレイヤーをつくって乗算化。ピンク~透明でグラデーション塗りして、光の当たる場所を消しゴムツールでこちょこちょします。
その後、色をムラサキ系統に色調整すると、影ができて肌の質感が少し出る。リアルっぽくなるのです。
あれ、寝起き……? 違くない?
スラムの風景って植物あるのかな…とか、床はどこいったとか、左腕の付け根に光を当てすぎて出っ張って見えるとか、色々ありますが。気力と目玉の限界…。
「目がー! 目がぁぁぁ!」です。痛いんですよね、モニターを集中して見るので。これが理由でオンラインゲームもやめたようなもの。
もうゴールしていいかな! いいよね! と自分にいいきかせて完成しました。
ちなみに影をつけてないと、こんな具合です。
ペラッとしてます。影の偉大さがわかりますね!
膝上にブランケットが置いてある理由がわかったら、あなたはマリク信者でしょう。
そうです。太もものシーズナイフが無いのです。反対の足もベルトがついてない……。書き忘れというケアレスミスです。
あるある、よくある。
手は足の上に乗せるべきだったなーとか、色々反省点もありますが、今回はこれで完成…完成なのです…っ。
必要以上にテンションの高いエッセイ? を、ここまで読んで下さりありがとうございました。
そして今回の企画をしてくださった長岡更紗様に感謝を。
マリクの親方であるあっきコタロウ様にも感謝です。
ありがとうございますm(_ _)m
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追記で。
レイヤ―構成です。
何も書いていないものは通常レイヤーです。
こんなにレイヤーを分けたままにするのは珍しいです。
大抵「上のレイヤーと合わせる」等で纏めてしまいます。
最後の影です。(画素数落としたら上部の色が飛んだとです)
りんかく線からハミ出まくってます…。
わざとではなく、私が雑な性格だからです…。
(体やソファがぼんやり光っているように見えるのは、このハミ出ている部分のせいです。)
冷静になって見てみると、左腕(→の腕)こんなに光あたりません。
落ち着いて見直すって大事です。間違いに気づける(*´∀`*)
肌・タンクトップ・ズボンのレイヤーを乗算せず、
最後のグラデーション影を入れなかったものです。ペラい。
ほら…靴紐が左右対称でしょう…ゴフッ。
ブーツはマウスで。体のりんかく線はシャーペン。(余分な線は消した)
髪の毛に一部枝毛があります…(^p^;
<蛇足>
マリクの可愛い寝顔が見たいな! チラッチラッという雰囲気を込めてあっきコタロウ様にメッセージを送ったところ、過去に書いたという寝起き絵を見せて頂きました。
くっ……キたぞ。あざといんじゃない、自然に可愛いヤツが!!
あのマリクに声をかけるなら「まだおねむでちゅか…?」とか……。
いやいや、私はそういうキャラじゃないはず……(よしSANチェックは成功だ)…実に危ういところだった。ふう。