アークとの出会い
今日はついにゲームが開始される…が俺達はそれよりも10分ほど早くゲームに入ることになる。
NPCなのにプレイヤーと一緒に入ったら違和感あるからね。俺は最初の街のとある所にいるお助けNPCってことらしい、思った以上に俺が強かったせいだと思う。
「エンタートラベル」
電子の世界に入るお決まりの言葉を言うといつもの感覚に襲われる。そして目が覚めると…
「裏路地…?」
そう裏路地らしきところにいた。
とりあえずステータスは…問題ない、アイテムポーチはある…と。
アイテムポーチとは我らNPCにとって大事なアイテムである。プレイヤー側はアイテムボックスとかいうアイテムが無限にはいるシステムがあるが、現地人であるNPCたちはアイテムポーチという中身が拡張されたポーチを使うのだ。容量に制限があるが。
ちなみにこれらの知識はメールできた。読んどかないと中身あるってバレるだろうからね。
それと色々とNPC役の人は制限される。掲示板とかは普通に使える、けどネタバレとかはできない。
それにクエストを受けるんじゃなくてクエストを出す側だし、それ以外にもできないことが多い。
まぁそれはさておき。
「アイテムポーチに手紙が入ってたな」
赤色の蝋で止められた手紙を出し読み始める。
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創造神
どうも今回の住人として参加していただきありがとうございます。
そして住人としてふさわしいアイテムポーチとアイテムポーチには基本的な装備とお金などを入れておきました。
それとそこに異邦人が来るまで、あまり動かないようにして欲しいのです。
一人来たなら活動しても問題ないです。
ちなみにあなたにであった時点でひとつのクエストが発生するようにしてあります。
私らの加護があるのでどういう内容かは確認できるようになっているはずです。
では住人としてふさわしい生活を
PS.お好きなようにお過ごしてもよろしいですが自分が異邦人ということはバレないようにしてください、その時点でアカウント削除にチェア式VR機器の請求をさせていただきます。
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「視界の端っこでチカチカしてるのはクエストだったか、バラした時のペナルティエグイな…確かあれって数百万するんじゃなかったか…」
ペナルティのことを考えると顔が青ざめていくが、ばらさなきゃいいんだから結構ゆるい?のではなかろうか。
「とりあえずクエストを確認しとこう」
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『ユニーククエスト:精霊との繋がり』
推奨レベル:5
内容
彼は精霊である。そしてその彼に認められ繋がりを持とう。
クリア報酬
[精霊魔法]Lv:1
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「おっと?結構な感じだな」
かなり俺が基準になっており采配がすごく曖昧だ。
あ、ユニーククエストってのは1度受けたら今後発生しないクエストのことを言う。他にはワールドクエスト、ノーマルクエストってのがある。
ワールドクエストは所謂全てのプレイヤーの目的である。
ノーマルクエストはそこらで受けれる通常のクエストだ。
ワールドクエストを確認しよう
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『ワールドクエスト:精霊の森を探せ』
推奨レベル:10
内容
この世界のどこかに精霊の森が存在する。それを見つけ出せ。
全体報酬
精霊との交流が開始
個人報酬
精霊との契約
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全体報酬ってのはゲーム内全体に関わることだ。
個人報酬は精霊の森を見つけた個人もしくはパーティに渡されるものってことだ。
「アイテムポーチ内も確認…精霊の剣?あぁ俺の剣か」
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『精霊の剣:ワイド』
STR:15
剣精霊ワイドの剣である。所有者であるワイドが成長すると一緒に成長する。
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「序盤にしちゃ強いぞ」
そんなこんな確認していたら裏路地に1人の青年がやってきた。ロールプレイ開始だ。
「そこの青年、ここに何しに来た?」
「あなたは?って、ユニーククエスト…?何これ?」
「何を言ってるんだ?」
俺達NPCはクエストなんてものは見えないし知らないのだ。
「あぁすいません、少し考え事をしてました」
「そうか…」
『異邦人:アークがユニーククエスト:精霊との繋がりを受けました』
突然視界の端っこにそういうアナウンスがでてきた。
「それで?ここに何の用だ?」
「ただ探索してるだけですよ、それよりあなたこそここで何を?」
「ただ突っ立ってるだけだ」
「なら…この後街の外に出るのですがついてきて貰えませんか?」
「おいおい、突然だな。それに俺なんかでいいのか?弱いかもしれんぞ?」
「いえいえ…あなたは十分強いでしょう?」
「その根拠は?」
「鑑定させてもらいました」
「鑑定持ちか…別に見るのはいいんだが、人の個人情報を了承無しに見るやつは信用ならないな、失せろ」
「え?」
「失せろと言ってる、切るぞ?」
俺はこんな感じでロールプレイしている。
戦闘狂
まぁそんな感じしないだろうけどね。
「なんだ?切られたいってか?」
「いやいや、勝手に見たのは謝ります…どうしたらついてきて貰えます?」
「決闘」
「決闘で…どうすれば?」
「一撃でも俺に入れてみろ、認めてやるよ」
ハイということで決闘をすることに。決闘システムは普通にNPCも使ったりする。そんな場面ほとんどないけど。
『異邦人:アークVS住人:ワイド
ルール
HPが全損しても、終了後は元の体力に戻ります。
終了条件
アークはワイドに一撃を入れる
ワイドはアークを倒す
LADY?』
目の前にYES/NOのボタンがでてきた。俺は即座に了承する。
「本当にいいんだな?」
「えぇ」
そういい彼も了承する。
『THREE、TWO、ONE、FIGHT!』
「先手は譲ってやるよ」
「胸をお借りします」
彼はそういい真っ直ぐ走ってくる。裏路地は狭いため上段で斬りかかってくる。ちなみに彼の武器は銅剣である。
「ぬるい」
俺はそれを躱し脇腹を切り付けながら彼の後ろに回る。
「ぐっ…」
「痛くても我慢しろよ」
そのまま反転し腹に突き刺す…はずだったが、彼は体を捻り躱し壁を蹴って俺に膝蹴りを喰らわそうとしてきた。
「甘く見ないでください」
「剣術:斬」
剣術:斬を使い膝を斬ろうとするが寸前で軌道を変えられ当たらなかった。
「中々の反応速度と身体能力だ」
「あれ反応しますか…」
「一角兎に囲まれたらあんなのは当たり前だ」
「中々の過酷な人生を歩んでるようで」
そう言いつつ俺らは切り結ぶ。そしてついに…
「はぁっ!鈎爪!」
「ぐっ!?」
突如として左手にでかい爪が出てきを俺を切り付ける。
『FINISH!WINNERアーク』
「なんだそりゃ…竜人の爪みたいだな…」
「えぇ、俺は竜人ですから」
「はっ!ならさっさと使っとけばよかったろ」
「奥の手です。これで認めてくれますか?」
「男に二言はない」
「よかった…クエストクリアだ」
そう喜びを露わにする。
「それで?今から行くのか?」
「それでいいなら行きましょう。レベルを上げたいので」
「分かった。行こうか」
そして俺らはアークのレベルが10になるまで、街の外を徘徊するのであった。
NPCとしての制限
・1度きりの人生
・クエストを受けられない
・アイテムボックスが使えない
・ネタバレしようとすると動きを封じられる
・掲示板が強制的に匿名になる
NPCとしての恩恵
・エリアボスを無視できる
・他にはNPCとの好感度が最初から高い
こんな感じ
まだあるけど後ほど