NPCとしての設定
飽き性による小説
「そろそろ始まりだ!」
今俺が付けているあるものはフルダイブ式のVRヘッドセット…ではなく、業務用フルダイブ式VRチェアだ。
「いや、まさか『ENJOY IT ALL ONLINE』の特別抽選に当たるとは思わなかったよ…なんの抽選だったのか告知されてないからわからなかったけど」
そう、俺は特別抽選とかいうどんなものが当たるか公表されていなかったものに応募しそれに当たった結果チェア式のVR機器を得たのだ。
強調した通り既に内容を当選した時に知らされてそれに対して了承し今この状況になっているのだ。当選者は複数居るらしいが…それは知らされていないためお互い分からないのだ。
「さて…明日から始まるが俺たちはNPC役としてゲームに参加するため今日からはじめるんだよな」
そしてログイン可能という表示がされ電子の世界に入るために言葉を発する。
「エンタートラベル」
意識が途切れる感覚とともに体の感覚が薄れていく。完全に意識が途切れた後に目が覚めるとそこはもう電子の世界である。まわりは黒で染っているが足元には感覚がある。
『よくぞいらっしゃいました』
「あ、どうも」
どこからともなく声が聞こえてきた、歓迎されてるようだ。
『特別抽選に当選された広斗様で宜しいでしょうか?』
「そうです」
広斗とは俺の名前で苗字は石山だ。
『私はアシスタントの檜山と申します。ではNPCメイキングを始めましょうか』
ついに来た俺はこれから主役の1人ではなく脇役として参加する、それでも楽しめるだろう、そんな確信があった。だから俺はこの応募に対して了承の意を示したのだ。
『まずは地位を決めます』
「地位ですか?」
『はい、その次には地位にあった役職を、最終的には役職にあった平均的な能力を選んでもらいます』
「ずっとそれで固定ってことですか?」
『いえこのゲームのNPCはプレイヤーの皆さんと成長するので、NPC役のあなたも成長します』
「分かりました」
普通に様々なことをやれるのか、俄然燃えてきた。
「ちなみに地位とかってどうやって決めるのでしょうか?」
『ダイスです』
「はい?」
『私がTRPG好きなのでダイスです』
「あ、はい」
まさかの公私混同…なのかな?とりあえず説明を聞こうかな。
『まず1D100のダイスを振ってもらいます』
すると目の前にその1D100…?のダイスらしきものがでてきた。なんてゆう目の多さ。
『出目が低いほうがより良いですよ』
「具体的には」
『上の方から
1~5:神
5~20:王族
21~40:貴族
41~60:平民
61~80:貧民
81~90:ユニークモンスター
91~100:通常モンスター
ですね』
「神まであるんですね…」
『なったとしてもただの象徴なのでハズレですよ』
「ならやらなくていいや」
『では振ってください』
「えい」
出目は…45、平民だ。
『平民ですね、次は役職です』
「それも教えていただけます?」
『分かってますよ。こちらは1D6で振ります』
いつも見ているダイスがでてきた。
『こちらも低い方が良いんですが…まぁ人によるのでハッキリとは分かりません。上の役職から
1:商人
2:兵士
3:冒険者
4:農民
5:狩人
6:無職
です、ではどうぞ』
「ほい」
出目は…3、冒険者だ。
『次は能力ですね。好きなように割り振ってください。平均的な冒険者は25レベルです』
──────────
名前:『入力してください』
年齢:『入力してください』
種族:『選択してください』
職業:『選択してください』
Lv:25
HP:
MP:
STR:
VIT:
INT:
MND:
AGI:
DEX:
LUK:
スキル
『5つ選択してください』
──────────
「あれ?種族は決めなくてよかったんですか?」
『冒険者なので好きなように、って感じですね一応説明しておきます』
すると目の前にスクリーンがでてきた。
人族:平均的な能力を持ちあまり尖った特色がある訳では無い、その代わり安定した能力であり初心者にはおすすめ
獣人族:様々な獣人が居るが主に肉弾戦に強く魔法は得意ではない種族。近接戦がしたい人にはおすすめ
精霊族:様々な精霊が居るが主に魔法戦に強いが一部はそんなことは無い。遠距離戦がしたい人におすすめ
魔族:様々な魔族がいるが全体的に全てのことが得意であるが、種族特性によってはデメリットの方がでかい。変態プレイした人にはおすすめ
『こんな感じになっております』
「思ったより少ないですね?」
『これは総称なので分けると沢山いますよ』
「よし、それじゃ設定していくか」
『一応NPCとして特殊な種族とか職業は選べませんので』
「分かりました」
そして設定した結果こうなった。
──────────
名前:ワイド
年齢:21
種族:剣精霊
職業:武器精霊
Lv:25
HP:275
MP:170
STR:83+60
VIT:29+40
INT:55+40
MND:55+40
AGI:82+60
DEX:82+60
ステータスポイント:0
スキルポイント:50
スキル
[剣術]Lv:2
[筋力強化]Lv:2
[脚力強化]Lv:1
[体力増加]Lv:1
[分体生成]Lv:1
種族スキル
[精霊魔法/剣]Lv:1
[剣化]Lv:─
[浮遊]Lv:1
──────────
「できたが…これって強いのか?」
『普通に強いです。冒険者の中でも中堅より少し上ぐらいですか…そして剣精霊ですか、随分と特殊なの選びましたね』
「え?そうなんですか?」
『結構尖った能力ですので』
「なんか自分のプレイスタイルに一番合ってたのでこれにしました」
『他のVRゲームでは近接戦ばっかしてたのでしょうか?』
「えぇそうですよ」
そう、俺はこのゲームをやるより前からずっと近接職など、近接で戦うことに長けていたんだ。
『キャラクターメイキングはこれで終わりで良いですか?』
「あれ?容姿はどうするんです?」
『事前に説明してたはずですが』
「…あぁ、リアルの容姿をバレないようにある程度改造しておくって言ってましたね」
『はい、そうです』
「ちなみにフィールドには出れるのでしょうか?」
『はい大丈夫ですよ、今移動させますね』
すると一瞬のうちに周りの景色が変わった。草原になっており涼し気な風が吹いている。
「おおお!!」
『どうです?凄いでしょう』
「凄すぎじゃないですか!?ほかのゲームよりクオリティが高いです!」
『それもそのはず、これは最新の技術を詰め込んだ物なんですから!一般に解放されている技術ではないのです!』
「よし!ひとしきり感動した!次は動きとかはどうだろう」
『とりあえずはい、剣をどうぞ』
無骨な剣を渡されそのまま体を動かし続けるとハッキリと従来のゲームとは違うことが分かる。
「すごく滑らかに動きますね」
『そこら辺も最新の技術を使ってますからね。そろそろモンスターが来そうですが?』
「え?来るの?」
『えぇ、ここは普通にモンスター出ますよ』
そう言われた瞬間に草を分けながら走ってきたのは角が1本生えた兎である。
『あ、スキルの使い方とか分かります?一応ほかのゲームと似た感じにしてあるのでわかると思いますが』
「口頭宣言と思考宣言、それに無意識下で使用する、などですね」
『そうですよ』
口頭宣言と思考宣言はそのままだが、無意識下で使用するとはどういうことかと言うと、簡単に言えばアクティブスキルを無意識下にパッシブスキルの如く使用することだ。
「とりあえず討伐しないと」
『一角兎ですね、突撃スキルを頻繁に使用してきますよ』
「ありがとうございます」
足に力を溜め始めた兎に合わせ、剣を構え突っ込んでくるのを待ち構える。
「キュイイ!」
「ふっ!」
そして突っ込んできた兎に走り剣を当てる、それだけで兎は自滅する。レベル差のせいか即死した。
『うわぁ…思ってた以上にやりますね』
「そうですかね?」
『普通はそんなに落ち着いていられませんよ?』
「はぁ…」
『次はどうします?』
「これでやめます」
『分かりました。お疲れ様でした』
随分とあっさりしてるな、そんなことを考えまた意識が途切れる感覚に身を任せる。
明日から俺はNPCだ。
当選した時の流れ
『あなたは当選されました。説明を聞きますか?』YES/NO
⬇YES
『この説明を聞くと情報規制が付きます。よろしいですか?』YES/NO
⬇YES
『あなたは今作のゲームにおいてNPC役としてゲームに参戦することになりました。了承しますか?了承しなかった場合通常プレイになります』YES/NO
⬇YES
『これ以上の説明はメールにてお知らせします。ありがとうございました』
今回のこれは雇用という形になっており、チェア式VR機器はそれの特典としてついてきた。
雇用内容
1日最低2時間ログイン
時給:2000円
成果により増減するパターンあり
退職する場合
退職する一週間前には伝えること、
退職金:20万
退職金は成果により増減します
こんな感じである。
ちなみに1時間で3時間になるようになってます。