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不安そうな顔で、僕の服の裾をつかむ様子を見ると、思わず守ってあげたくなる。
「とっ父さん、母さん、あんまりいろいろ聞いちゃかわいそうだよ」
「あっ、そうだな」
「ゴメンね? 由月ちゃん」
2人に謝られ、由月は無言で首を横に振った。
「ちょっとびっくりしただけよね?」
伯母に頭を撫でられて、ちょっと表情がゆるんだ。
やっぱり緊張してたんだな。
「そっそう言えば、由月は何番目の子供なんですか?」
「あっ、言ってなかったわね。由月は6番目の子よ。今は小学1年生なの」
…6番目の子?
そして小学1年生?
……と言うことは!
僕は勢い良く振り返った。
「なっなに?」
びっくりした顔も可愛いな~。
じゃなくて!
「由月って………男の子?」
「は?」
瞬時に由月の顔が険しくなった。
「アンタまさかっ! オレのこと、女だって思ったのか!」
胸倉を掴まれるも、動揺している僕は抵抗できなかった。
四人の大人達も、ポカーンとしている。
えっ? もしかして由月が男の子だって気付いていなかったのって、僕だけ?
「だっだってキミ、浴衣着ているし、髪長いし…」
「どこが長いんだよ!」