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立派な一人の青年に成長していた。
分かっていたことだけど…。
「寂しいもんだね…」
「何がだよ?」
黒い浴衣を着ている由月は、すっかり昔の面影は無かった。
最近の言葉で言うと、肉食系の野性味のある青年へ成長してしまったのだ。
「僕の可愛い由月が、こんなに立派になるのがだよ」
「だれが可愛かったんだよ! 相変わらず変なこと言うヤツだな」
ムキになりやすいところは変わっていない、と。
「雅貴はあんまり変わってないみたいだな」
「最後に会った時、僕はもう18歳だったからね。アレから少しぐらいしか成長していないよ」
身長ももう止まってしまったし、今では彼の方が高いだろう。
「まっ、今日からよろしく。約束通り、ちゃんと教師として赴任してきたから」
「ああ、本当に守ったんだな」
「言ったろう? 僕はキミを守れるぐらい強くなって、ここに戻って来るって」
「お前の可愛い由月じゃなくてもか?」
「外見は変わっても、中身は可愛いままだよ」
「お前…言うようになったな」
「多少、強くなっただけだよ。でも…」
僕はゆっくりと彼を抱き締めた。
「四年間の我慢はさすがにきつかったかな」




