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邸に着くと、伯父と伯母が出迎えてくれた。
相変わらずの大家族。
でも今日からは僕の家になる。
「よく来てくれたな、雅貴くん」
「今日からよろしくね。自分の家だと思って、ゆっくり甘えてくれていいから」
「ありがとうございます。伯父さん、伯母さん」
僕は2人に頭を下げた後、由月の部屋へ向かった。
しかし、足取りは重い…。
自分より成長することだろうとは予想していたけれど、あっあんまり変わっていると、ショックだな。
僕の中では、由月はまだ幼くて可愛い存在だったから。
でも…男の子は成長するもんだしなぁ。
あっ、何か涙出てきたかも…。
フラフラしながら由月の部屋の前に来た。
僕の部屋は由月の隣にしてもらった。
けれどちょっと失敗だったかな?
成長した由月に迫られては、逃げようが無い気がする。
「―何つっ立ってんだよ? 雅貴」
すっかり声変わりをした由月の声が、襖越しに聞こえてきた。
「相変わらず、足音だけで分かるんだね。由月」
僕はそう答えて、襖を開いた。
部屋の中はあまり変わっていなかった。
けれどそこの住人は大分変わっていた。