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僕も子供だったけど、その子は僕より頭1つ分小さかった。
黒い生地に、金色の蝶が刺繍された浴衣を身にまとっているその子は、独特の雰囲気を出していた。
「…アンタ、誰?」
「えっえっと、玖城雅貴」
「玖城? …ああ、雅子叔母さんの1人息子?」
「えっ? 母さんを知っているの?」
「まあね。オレは宮乃原由月。よろしく」
そう言って手を差し伸べてくれた。
小さくても温かい手を取って、僕は立ち上がった。
「よっよろしく。もしかして…雅月伯父さんの子供?」
「そっ。そしてアンタのイトコ」
ああ…と言われても、伯父さんの何番目の子供かサッパリ分からない。
母いわく、伯父夫婦には6人の女の子に、2人の男の子がいるという話。
最初に5人の女の子で、次に例の男の子、そしてまた男の子で、最後が女の子。
因みに長女はすでに20歳で、末の子はまだ1歳らしい…。
僕の住んでいる街ではとても珍しい、大家族だ。
この子は…女の子にも見えるけど、男の子かもしれない。
でも浴衣を着ている上に、髪が少し伸びているし、名前も女の子っぽいから、もしかしたら女の子かな?
噂の男の子は僕より年下だけど、女の子だって小柄な子はいる。