永久の夏
「ふぅ…。四年ぶりだと、距離が遠く感じるなぁ」
「アタシは毎年思うわよ」
「まあまあ。後少しだし、2人とも頑張って」
僕は四年ぶりに、この土地に足を踏み入れた。
季節は夏。
この春、僕は無事に大学を卒業した。
もちろん、念願だった教育免許を取得して。
そしてこの土地の小学校に、赴任することが決まった。
けれどいろいろバタバタしていて、結局夏になってやっと来れた。
「荷物は先に届いたかな?」
「多分ね。でもあんまり量がなかったわね」
「義兄さんが揃えてくれるって話だし、必要なかったんだろう」
そう、僕が赴任できたのは、伯父の力も影響している。
この土地には若い先生がいないから、僕がこっちで働きたいと言った時には大喜びしてくれた。
だから身一つですぐに来いと言われたけれど、さすがにそれはと思い、いろいろ準備をして今日来た。
「兄さんに何か気に食わないことを言われたら、すぐに連絡すんのよ。あの人、歳を取ったせいで余計に頑固になっちゃってるから」
「その…由月のことでも?」
「由月ちゃんのことは、もうそろそろ諦めが入っているわよ。二番目のコがもう継いでいるようなもんだし」