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「大好きだよ、由月。五年後にはキミを守れるぐらい、強くなって帰って来るよ」
「…来年までは、来るんだよな?」
「もちろん。受験生だけど、由月には会いたいからね。勉強ばかりしているだろうけど…」
「構わない。雅貴が側にいるなら、何したっていいし、何をされたって良い」
そんな熱っぽい眼で見つめられると、理性が吹っ飛びそうだ。
相手はまだ中学生だから、自制しようと思っていたのに。
僕は由月に再びキスをした。
何度も弾むように口付けし、時には深く重ねた。
「んんっ…ふぅっ…!」
「由月、由月…! 愛しているよ」
恥ずかしげも無く出たセリフに、自分自身でも驚いた。
でも僕の正直な気持ちだから、由月が相手だから、すんなり出た言葉だろう。
「…例え教師になれなくたって、大学を卒業したら、絶対に来いよ」
「ヒドイこと言うなぁ。僕は絶対教師になるよ。農業は向いてなさそうだしね」
「見てろ。オレが大人になったら、雅貴を養ってやる」
「ははっ。楽しみにしているよ」
僕は手を伸ばし、電気に繋がっている紐を掴んで引っ張り、電気を消した。
カーテンの隙間からもれる月の光だけが、唯一の明かりとなる。
川の流れる音や、虫の音、風の音や木々の揺れる音だけが耳に届く中、僕は再び由月に覆い被さった。