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由月は30分ほどで眼を覚ました。
部屋から出たくないと言うので、由月の宿題をすることになった。
由月は僕の教え方が上手いと言ってくれる。
僕は彼の理解力がスゴイだけだと思うけど、由月がこう言ってくれるから、教師を目指そうと思ったのかもしれない。
やがて空が夕闇に染まると、由月が廊下をじっとみた。
「あっ、義兄さん達、来た?」
「みたいだな」
由月が立ち上がるので、僕も続いた。
「由月くん、雅貴くん、いるかな?」
「夕飯、ここに置いておくから。食べ終わったら、また廊下に置いといてね」
「ああ…」
「分かりました。すみません、ありがとうございます」
由月は襖を開けなかったので、声を張り上げた。
2人の足音が遠ざかったところで、ようやく襖を開ける。
「…お義兄さん達、苦手?」
「姉貴達の旦那だからな。ちょっとうるさく感じている」
うっう~ん、本当に難しいな。
苦笑しながらもお膳を部屋の中に入れた。
「でも嫌いってワケじゃないんだ」
「うん」
「ただ後継者のことで、バタバタしてるから…。やっぱり姉貴達の旦那だしな」
由月ではなく、従姉達の味方になるのはしょうがないこと。




