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「へぇ、良いじゃん。今いる先生達なんて、年寄りばっかだし。若いのがいれば、みんな喜ぶよ」
「うっうん…」
本当にここで働ければ…いいんだけど。
食事を終え、お膳を下げると、伯母に呼ばれた。
新しい浴衣を着せてくれた。
そして僕と由月は新しい浴衣に身を包み、川原へ向かった。
「楽しみだなぁ。ボクの住んでいる所でも花火大会はあるけど、人が多過ぎてよく見えないんだよね」
「あと建物が高いからだろう? 都会の贅沢な悩みだよな」
「そんなじゃないよ」
2人で談笑しながら歩いていると、近くにいた3人の少年達が由月を呼んだ。
「おーい! 宮乃原ぁ!」
「あっ、クラスの連中だ」
由月は軽く手を振った。
「お前達も来てたのか」
「もっちろん! 他に楽しみなんてないだろう?」
ははっ、由月と同じことを言うんだな。
少年達は由月の隣にいる僕を、じっと見た。
「あれ? 宮乃原、もしかしてその人…」
「玖城雅貴さん?」
「いつも宮乃原が話してる、従兄のお兄さん?」
「へっ?」
由月が、僕のことを?
「ばっ! うっるさいな! とっとと行けよ!」
由月が顔を真っ赤にして、両手を振り回した。
「あはは、じゃーな!」
3人の少年達は、笑顔で走って行った。