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「…まっ、別にいいよ」
「えっ、ホント!?」
「アンタ、長くいる予定?」
「とりあえず夏休みいっぱいはいる予定だから、1ヶ月はいるかな?」
「そのぐらいなら、オレも平気だから」
「ありがとう! じゃあ早速お夕飯持って来るね!」
僕は意気揚々と部屋を出た。
夜の屋敷は怖いけど、明かりで人のいる所が分かるのは良いな。
戻る中、僕はそう思った。
でもふと、何でこんなに嬉しい気持ちになっているのか、不思議に思った。
あのうるさい人達から逃れられるから?
それとも…由月と一緒にご飯を食べられるから?
…そのどっちのような気がする。
由月とは恋人にはなれないけれど、良い友達で良い従兄になりたいと思った。
どうやら伯母が言った通り、少しは僕に興味を持ってくれているみたいだし、手ごたえはある!
僕は笑顔で広間に戻って、伯母に由月と今後一緒に食事することを決めたことを伝えた。
すると伯母は目を真ん丸くした。
「あらまあ…。本当に雅貴くんのことを気に入ったのね」
まあ多少はお姉さん達の同情もあるだろうけど、そこは伏せておいた。
「ありがとう。でも御膳は重いから、わたしも手伝うわ」
「ありがとう!」