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僕は麦茶を一口飲んで、唸った。
「でもさっき怒らせちゃったみたいだし…」
「あんなのいつものことだから、気にしないで。それよりこれからもできれば相手してやってね。本当はわたし達、両親が構ってあげればいいんだけど…」
伯父はまだ、母と口論中。
伯母は苦笑した。
「まだあの子の下に2人もいるし、なかなか構ってあげられないの。ここにいる間だけでもいいから、お願いしていい?」
「えっええ…。何とか頑張ってみます」
…とは言え、さっきの怒りを思い出すと、難しそうな気がしてきた。
とにかくもう少ししたら、謝りに行こう。
性別を間違えたのは、やっぱり僕が悪いんだし…。
そう思っていたのに、この後次から次へと親族が集まってきて、僕は動けずにいた。
特に由月の5人のお姉さん達がとにかくパワフルで、僕に興味を持ったらしく、なかなか放してくれなかった。
やがて夕飯の時間になったけれど、由月は来なかった。
呼びに行った伯母が、困り顔で広間に戻って来た。
「由月、後から食べるって」
「なら先に食べるか」
どうやらいつものことらしく、伯母と伯父はさっさと話を進めてしまう。
…何か、責任を感じずにはいられない。