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キメラのあどばいざーはよく浮沈する

作者: 夜朝

きらきら輝く

金の縁飾り

白地の紙に

墨の文字


それは

一等の賞状

べすとあどばいざー


ありがとうございます

つつしんで

いえいえ

私こそ

あなたから

どんなにたくさんの

かけがえのない

助力をいただいていることか

なくてはならない

あなたなのです


大きな

骨張った両手を

厳かに差し出して

そっと受け取る手のひらに

もこ

もこもこ

にくきゅうのけはい


にぱ

にぱにぱー


全力で満面の笑顔が

ふさ

ふさふさ

毛皮に覆われながら

丸くなっていく


ほめられると

どんどん

うれしくなり

どんどん

化けの皮がはがれ


もそ

もそもそ

全身が徐々に

太短く縮んでいく


まっすぐ前を向けば

重なっていたはずの視線が

少しずつ少しずつ

見上げる感じに


とうとう

背伸びをしなければ

おててが届かない高低差


それでも

その黒い円い瞳は


うるうる

きらきら


じーっと

目の前の人を

見つめ


…………ん?

べすとあどばいざー……


そこで

たぬきの耳の下にある

眉の根っこが寄せられた

左右に振れていた

きつねの尻尾がへしょっと落ちる


別の意味で

両目が

うるうる


私にとってのあなたは

ひとつじゃなくて

いろんな意味で大切で

その中には

もっと重大で特別な

『交わしてほしい約束』のようなものも

混ざっているのですが……


すっかり

もけもけになった両手で

賞状ごと

それを持つ人の手に触れて

ピンと張ったひげを震えさせながら

問いかける


それに関しては…


言いかけて

止まる


もぞもぞ

大事なことだから

着ぐるみは脱いで

もう一度


その想いについては

あなたの中に

少しだけでも

ありますか?


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