プロローグ3
なぜか身体が動かない。なぜだ?金縛りか?
夫婦が買ってきたクマのぬいぐるみから声が聞こえてくる。
「どうかな私の呪いは?満足しているかな」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お前は誰だ?」
「俺の名前を覚えてないのか?残念だ。魔王の能力を封印したというのに」
いかにも不思議なことが起こっている。なぜクマのぬいぐるみが喋っている?
この身体になる前に微かに聞いたことある声……。
「まさか、お前は……、あの時の勇者なのか?」
「ああ、そうだ。お前の力を封じ、身体を引き離した。張本人だ」
その瞬間、クマのぬいぐるみが急に立ち上がり、私に近づいてきた。
「ふん、お前に俺の姿を消された時にはどうしようと思ったが、呪いのかかった姿を見たら安心した。お前は魔王の時の能力はなく、すでに一般の人間なはずだ」
「なんだと。くそ、動け、動けよ。私の身体よ」
「無駄だ。俺のテレパシーでお前の脳内を使い会話している。金縛りが起こっているのは脳に送られる電波のせいだ。無理をしないほうがいい」
くっ今は、あの勇者に従うしかないのか。
「ふふっ、ようやく、俺の気が済みそうだな。お前の魔力を鏡に封じたところで、お前(魔王)の呪いが発動してしまったからな。その瞬間に姿が消えてしまった。それからというものテレパシーでしか会話できなくなった恨みがようやくな。がははははっ」
「鏡何のことだ。私の魔力は鏡に封じられているのか?」
「教えるわけないだろ。そうしたらお前自身、行動しかねないからな。けど今のお前(魔王)なら言ったところで無謀だがな」
くそ、お前の方が悪役ぽいじゃないか。だが呪いが効果あったみたいなのは不幸中の幸いか。
「今回はお前の様子を見に来たが、お手上げのようだな。見に来て損したぜ。それではまた会おうか、渚ちゃん(魔王ちゃん)」
クマのぬいぐるみが倒れる。その瞬間、私の手足が動くようになり自由に行動できるようになった。
「ちょっとまて、話はまだ終わってな……」
今の私でも感じることが出来た。もうあの勇者はここにはいない。
くそったれ、力を鏡に封じただと。私は仮にでも魔王軍リーダー渚様だぞ。そんなことがあっていいのか。
それにしても鏡に封印したと言ってたな。もしやあの夫婦が言ってた、王都の最上階にある鏡か?
思い当たる節がそれ以外見つからない。
ふっ、私とあろうものが人間如きに先手を打たれるなんてな。待ってろよ勇者よ。
必ず、私の力を取り戻して、勇者を懲らしめてやる。今にみておれ。
私渚は、再び王都に向かうことにした。そこで鏡を探し力を取り戻してやる。そう決意した。




