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authentic world online  作者: 江上 那智
広がる世界
37/51

大会終了とアップデート

お待たせしました。

大会終了と事態が少しずつ動き始めます。

それからも大会は恙なく……とはいかなかった。


唐突にミス・ホワイト(ランハク)が棄権したのだ。


理由は……。


「ランハクよ、ローズと戦わなくて良かったのか?」


「いいのです。弟子の二人は私の想像を超えるほどの戦いを見せてくださいました」


「ジーナ様は私の弟子ですが?」


「同じ武を扱うのだからいいのです!」


「しかし勿体無いな、会場も大ブーイングだったぞ?」


「準決勝であれだけのものを見せていただいたのですから……自ら試行錯誤し、教えたものを自分の使いやすい様に組み替える……ただ模倣するだけでなく、そこから一歩先へと進む……素晴らしく出来た弟子ですよ本当に」


「ほんの少しは戦いたかったのではないか?」


「しつこい駄王ですね本当に。……まあ、ただ模倣で満足するようならば灸をすえたかもしれませんが……(まだ青いですからね……刈り取るには早いですね)」


「ランハク、邪悪な顔してますよ?」


「おっと、これは失礼……ふふ」


「(駄王……駄王……私、偉いんだけど……)」


という訳だ。


大会はランハクが棄権した、これにてローズの優勝が決定する。

次に行われたジーナと蒙鬼の三位決定戦はまた泥仕合。

ドロッドロの汗臭い試合となった。

ランハクとの戦いでドラクロワ流格闘術について少なからず理解のあった蒙鬼は、その弱点を突くことなく地に足をつけての応戦。

お互い出し惜しみは無く、切り札もすでに前試合で切っている為にジョーカーはなし。

問答無用のガチンコ勝負。

ちなみに勝者は蒙鬼。

ジーナのカウンターを誘っての楔にて決着であった。


魔術部門では大方の予想を覆すダークホースであるヤヨイの勝利。

有名どころを全て押さえての文句なし優勝。

ヤヨイの職業は魔術職の中でも異質で「霊幻道士」という。


霊幻道士は死霊術士の一種で、僵尸(キョンシー)という死体を操って戦う。

霊力(魔力)を込めた符を用いて様々なバフを僵尸にかけ、戦わせる。


この職業の変わったところは、操っていない状態の僵尸にダメージが通らないこと。

幻影のように実体がなく、そこに居るのにそこに無いという奇妙な状態になる。


操り方は自動と手動の二種類。

自動で操ると、僵尸が覚えている戦技体術を使い、終われば倒れて待機状態に戻る。

手動で操れば様々なことが出来るが、代わりに術者は一切行動不能に陥ってしまう。


なんとも癖がある職業だが、今大会においてはこの僵尸が猛威を振るった。

理由は単純。

魔術師は接近戦がそこまで得意な職業ではない。

そのため、一度僵尸が懐に飛び込んでしまうと後はなすすべがないのだ。


勿論、相手は懐に僵尸を入れないように立ち回るのだが、ヤヨイはその思考すらも利用していつの間にやら僵尸が接近しているのだ。

ちなみに僵尸は一体までしか使役出来ない。


魔戦部門は予想通りシェイドのチームが勝利を飾った。


大会の優勝賞品は得体のしれない鍵。

なんだコレを受け取った皆は思った。

運営組はギルドに行けばわかると言っていたのであとで行ってみることで納得した。


そして爆弾発言。


――レイド戦の解禁。


一体のボスを複数のパーティでボコるレイドバトルが解禁になった。

魔戦部門がその試験的な役割を持っていたらしい。

複数のパーティで戦う情報が欲しかったのだとか。

んで、問題なかったのでそのまま開放の流れ。


漂流者たちは沸きに沸いた。


運営組はこのレイドにその鍵が関係するからねと言って姿を消す。

残された優勝者たちはとりあえずアモーレのギルドへと向かった。


ギルドについたところで受付から聞かされた。


クラン制度の再施行。

各ギルドからの情報で、新たなダンジョンが発見されたと報告があり、調査隊が向かうも返り討ちにあう。

魔物の強さが一段階上がっており、パーティ単位では危険な場所も発見されたとか。

なのでパーティでは対応しきれないとのことで、レイドを組んで攻略に当たって欲しいという理由だった。


いつそんな場所に調査隊を送ったんだよというツッコミは受け付けていない。

ちなみに5組以上での探索や討伐は世界の理(運営の都合)に触れてしまうので無理だという注意点も付け足された。


そんな中で鍵の用途が分かったのだ。


クラン設立に伴うクランハウスのスタートダッシュアイテム。

要するに多大な金がかかるクランハウスを大会優勝者だけにプレゼントというわけだ。


どこにそんな土地が空いてるんだろうと思ったらちょっと違った。

「狭間」に設置されるらしいので街中には現れないとのこと。

幾つか制約があったので纏めるとこうだ。


①:クランハウスに立ち入るにはそのクランのメンバー(又はリーダー)から許可をもらっていないとダメ。

②:許可の種類は自由入室許可と臨時入室許可、自由入室はクランハウスの中に誰かいれば好きな時に客として入れる。

施設の無断使用は不可。

臨時はその場限りで、一旦出てしまえば権利を失う。

③:クランハウスには街中からしか転移出来ない。

④:狭間の街からは転移出来ない。

⑤:クラン内での暴力行為は不可。(ただし、クランメンバー同士であればその限りではない)


と大体こんなところである。

ちなみに金を払えばクランハウスの施設拡張が出来るとのこと。


ところ変わって噴水広場。

折角なので鍵を使ってみようと集まった。


「で、貴方は?」

武道着に身を包んだ180CMくらいの屈強な青年がメンバーに紛れ込んでいた。


「ヤヨイですお」

っと思ったら屈強な青年の肩に座る人形がしゃべった。

本体はこっちのようだ。


「ヤヨイさんって事は魔術部門の?」


「その通りですお」

という事はこの青年が僵尸という事だ。


「へえ、これが僵尸ってやつか……強そうだな、お? 死体っつーから硬いのかと思ったけどそうでもないんだな」

ペシペシと軽く足に蹴りを入れる元聖女(せんとうきょう)

やめなさい!


「モンフーは強いですお、やろうと思えば普通の僵尸っぽく動かせるお」

そういってジーナの行動を咎めるでもなくヤヨイは僵尸の両手を前に突き出させて跳ねて歩かせる。


「う、うおぇぇぇぇぇ……」

上下の揺れでヤヨイは酔ったらしい。

おりればいいのにとその場の全員が思った。


「で、ヤヨイさんはどうしてここに居るんですか?」

シェイドも気になったらしい。

ちなみにここにはローズパーティとシェイドパーティ+ヤヨイである。

マクスウェルたちは流石に帰った。


「部門で微妙に施設の中身が違うらしいのでせっかくだから見せて欲しかったお」


「なるほど」

シェイドも納得だ。


「まあ、そういう事なら」

ローズたちも特に気にするわけでもない。

実際しせつの中身が気になる。


「おい、早く使ってみようぜ」

ジーナがせっつく。


「うん」

何もない空間に鍵を差し込んで捻ると扉が現れた。


『おおー』

これには皆驚きだ。


「えっと、じゃあシェイドさん達とヤヨイさんに許可を出して、皆には合いかぎを渡してっと……」

準備が完了し、ぞろぞろと戦技部門優勝者特別クランハウス(長い)に入って行く。


中は寛げそうなリビングと台所に浴室。

二階部分は個室になっている。


「へえ……いいじゃねえか」

キッチンを眺めてギースが声を漏らす。

ギース的に満足のようだ。


「およ? インフォだ」

ローズの目の前にインフォメーションが届いたらしい。


「なになに? えっと……今暫定で鍵を使った私がクランリーダーなんだけど……」


「ローズでいいんじゃね?」


「ローズでいいと思うぜ?」


『ローズさんでいいですよ?』

満場一致だ。


「あ……ハイ……っと。えっとね、クランハウス内でメニューを開くとハウスカスタマイズって項目が開けるんだけど、メンバーは自室のみの改装、サブリーダーは自室以外の改装、リーダーは増設まで権限があるんだって。お金は共用資産か個人資産どっちでも選べるみたい」


「お、ホントだ」


「へー、色々あるんだな……これ自室決めねえと灰色のままか……お? 課金あるぞ」


「ローズ、課金ってなんだ?」


「えっと、私たちの世界の通貨を使ってこの世界の物を買う感じかな?」


「へー、なんかズルいな」


『そういえばジーナさんはネルソディラの方でしたね』

忘れがちだがそうである。


「え? ジーナさんってネルソディラの人なのかい?」


「全然わかんなかったぞ……」


「むしろ漂流者って言われても納得するわね……」


「この世界を構築しているマザーが最新の学習型AIを使っているのである、故に様々な(プレイヤー)から常に学んでいるんであるな……すさまじい」


「血涙ねーちゃん現地人かお!?」

どうやらメンバー以外の面々は今初めて気づいたらしい。

というかヤヨイの認識が酷い。


「ん? そんなことどうでもよくないか?」

ジーナらしい。


「っと。で、この戦技部門の鍵はどんな特殊施設があるんだお?」


「ああ、ちょっと待ってね……地下訓練所?」












「これが地下訓練所かお?」

目の前には赤、青、黄の三つの扉と灰色の扉の計四つ。

青が初級、黄が中級、赤が上級と書いてある、灰色はフリースペースらしい。


「お、ここに石板があるぜ、なになに? ……この扉をくぐるもの身体強化を除く一切の魔術を使用してはならぬ、己の肉体と鍛え上げた技のみで通るべし……なんだコレ」


「大会みたいな感じかなぁ」


『下に注釈かいてありますよ』


【魔物を隔離された空間で倒してください、魔術師の方は身体強化系統の魔術のみ使用を許可します、倒されてしまった場合は自動で入り口まで飛ばされるので死ぬことはありません、難易度によって出現する魔物の数や強さが変わりますので今の実力に合った扉をくぐるか格上との闘いを望むかはあなた次第です。……追記、ソロ専門施設ですのでパーティでの挑戦は出来ません、召喚士系の方は一体の魔物を選んでチャレンジしてください、ゴブ運を】


「魔術師も行けるらしいお?」

自己バフを積めれば問題ないらしい。


「魔術師の苦手な近接戦闘の訓練に良さそうだね」


「いやよ、面倒だわ」


「俺は好きだがなぁ」


「脳筋はだまってなさいな!」


「ああ!?」

バチバチと火花を散らす二人。


「……いつもあんな感じですかお?」


「ま、まあ……」


フリースペースは放出系魔術禁止の自由訓練空間。

戦技部門のルールがちょっと緩くなった程度の認識で大丈夫だ。


「良かったらフレンド登録お願いしますお、ここで今度遊ばせて欲しいお」

断る理由もないので快諾。


その後はヤヨイのクランハウスだ。


「施設自体はほとんど変わらないお?」


「だねぇ」

訓練施設以外はほぼ一緒のようだ。

地下施設には図書館のような本が置ける広大なスペースとトレーニングルーム。

此方は戦技禁止らしい。

アトラクションのようなものは単純に戦技か魔術かの違いだ。


「自分で集めたり書物作成スキルで創り出した魔導書を置いておけるみたいね」


「オリジナル魔術作るのに便利そうであるな」


「ところで、ヤヨイはパーティ組んでるのか?」

ジーナの疑問も尤もだ。


「一応いますお、兄貴と一緒にやっててパーティくんでますお」

兄妹でやってるらしい。


「兄?」


「死霊術士やってますお、ファウストって名前ですお」

如何にもな名前である。


一体の強力な死体を使役する霊幻道士と違い、五体までの死体を操る死霊術士。

使役する死体はパーティ枠を圧迫するので実質六人でいっぱいいっぱいの様子。


「パーティ組んでるときは死霊騎士、死霊重騎士、死霊魔術師の三体を主に使ってますお」

剣士に盾士に魔法とバランスがいい。

そこに武道家のキョンシーとバッファーのヤヨイ。

さらに死霊術士はアンデッドのみに対応した回復魔術があるので実質ヒーラー兼デバッファー。

本当にバランスがいい。


「そこに盗賊系や遠距離物理が入れば隙が無くなるな」

と、ギース。


「ソロ用の控えに死霊盗賊と死霊弓士が居ますお」


「完璧じゃないか……」

意外に隙が無い。


「死霊術士はヤヨイのように使役できるのであるか?」


「死霊術は指揮官みたいなものですお」


「なるほど」










「ここが魔戦部門のクランハウスかぁ」


「すげぇ豪華じゃねえか?」


「お? 広々と使いやすそうなキッチンだな」


『部屋数おおいですね』


「もともと人数が多いのを想定したハウスだから倉庫もデカいですね、僕のポルピュリオンが余裕で入る」


「浴場が大きいのはポイント高いわね」


「錬金棟作ってもよいであるか?」


「訓練場行こうぜ訓練場!」


「パーティバトルを想定したアトラクションみたいですお?」

差はその程度らしい。

元々パーティ部門の優勝賞品というだけあってほかの二つよりかは広く設定されているようだ。

そこ以外はほぼ変わらず。


面々は自分が利用したい施設を貸してもらうためにフレンド登録をして、その日は解散となった。











「ランハク……それは本当か?」


「はい、封印が徐々に弱まっています」


「そうか……」


「未だ猶予はありますがこのままだと……」


「封印が解けるか。ランオウ、ほかの狭間には連絡は?」


「他の狭間も同じようです、ただ……」


「邪龍の身体を封印しているこの逢魔が一番被害が大きい可能性がある……か?」


「はい」


「最悪は街の人を表に避難させよう、ローズのおかげでアモーレの人々は夜人族に対して忌避感が大分薄れているようだ」


「モロック様にも連絡をしておいた方がよろしいでしょうか?」


「うむ、ランハク頼めるか?」


「御意」


「……一体何が起きているんだ……先代の時もこのような事は無かったというのに……」


「マクスウェル様、お茶を」


「ああ、ありがとうランオウ」

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