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異世界へ行こう(仮)

作者: 黒尽

気軽に読んでいただけたら幸いです。

 皆さんこんにちは。さて、いきなりですが皆さんに問題です。ここはどこでしょうか?と言ってもそれだけではわかりませんよね。

 では、一つヒントです。辺りを見渡すと、たくさんの木があります。これだけでもわかりませんよね。

 それじゃあ、大ヒントです。見知らぬ鳥が飛んでいます。生物図鑑にも載っていないでしょう。断定はできないかもしれませんけれど。

 時間は十秒です。それだけで答えられる簡単な問題なのです。

 考えすぎないでください。それだけで答えることが出来るのですから。

 ここから先は答えが分かるまで、もしくは十秒経過しない限り見ないでくださいね。分かったら時間に構わず先へ進んで構いません。

 絶対にぜっったいに先を見てはなりません。これはフリではありません。ほんとだよ?



 さて、そろそろ答えの発表です。ここまでで何人の人がフリにのってくれたのでしょうか。さっきフリとは言ってなかったのですけれども。はたまた、何人の人がちゃんと待ってから見てくれたのでしょう。そして、何人の人がすぐに答えが浮かんでここを見始めたのでしょう。

 それではお待ちかね、答えの発表です。答えは………。


「異世界でしたー!」


 ね?簡単だったでしょう。

 閑話休題。

 俺は風月ふうづき東真あずま。いたって普通のしがない高校生さ☆


 あたりの空気はとても澄み渡り、空は見たこともないような色でキラキラと青色に輝いている。

 りりしくそびえ立つ丘からは、水が幻想のようと言っても過言ではないように川へと流れている。

 えも言えぬ風景は、さも現実とはかけ離れているかのよう。

 ん?俺がなぜこんなにもテンションが高いか、だって?そりゃもちろん………。


「ここが異世界だからさー!」


 もうね、テンション上げないと急展開過ぎてついていけないんだよ。そんな経験、みんなもあるでしょ?少なくとも俺にはあるよ。え?いつだって?見て分かる通りの今現在。

 取り敢えず、動かないことには始まらないけれど……まずは回想から始めようか。なぜ俺がこんなところにいるのか、っていうところから。



☆   ★   ☆   ★   ☆



 いつも通りの帰り道、俺は家へとまっすぐ向かう。みんなは用事があるみたいで、俺は一人で帰っていた。茜色の夕焼け空が、少しだけ目に痛い。

 誰かと帰らないで一人で帰るというのは俺にとって少し珍しいものだと思う。いつもは誰かと一緒に帰っていて、会話は途絶えなかった。それが嘘のように俺の周りは静かで、遠くからのカラスの鳴き声がよく聞こえる。心細いとはこういう事を言うのだろうか。

 いつもは紛らわしていたようなものだったのだ。人というものの大切さが改めてわかった。

人は、一人では生きていけない。

 まったくもってその通りだと実感した。別に、生活する上では一人でだって問題はない。精神的なものでは人という生物は一人では生きていけない、ということなのだ。

一人も友人がいなかったとしたら、俺はどうなっていたのだろうか…。

 そう考えて、俺は背筋に寒気が走ったのを感じた。必然的に病んでいっただろうと思い至った。理解した。理解させられてしまった。

これからも友人は大切にしよう…。

 俺はそう心に決めた。

 それ以降は無心にただただ、帰り道を歩き続けた。そんな帰り道のちょうど半ば頃に異変が起こった。いきなり辺りが眩い光で真っ白に染め上げられたのだ。


『うわっ!眩しっ!』


 実際のところ、俺だけを光が包んだのか、それとも周りも一緒に光で染め上げられたのか。だが、そんなことは些細なことなのだろう。気がついたときには既に、俺は見知らぬ場所にぽつんと一人、立っていたのだった。



☆   ★   ☆   ★   ☆



 友人を大切にしよう、そう決めた直後にこの有様…。なんと言うべきか…。何も言葉にできない…。取り敢えずテンションを上げることしかできない…。

 そんな事言ってる場合じゃないな。まずは状況の確認だ。

 さっきも確認していたが、改めて辺りを見渡す。見たことのない木が生えている。その木には木の実がなっていた。食べる気にはなれないが。食べられるのかどうかすら怪しいものを食べたとして、毒があったからお陀仏しました、なんて洒落にならん。

 川がある。透き通ってはいるが、これも同様だ。飲めるかどうかすら怪しいのに飲む気にはなれん。だが、川があるということはその近くに村があるはずだ。飲めるものだったら、だがな。飲めないものだったらそもそも近くに村すらない。

 まあ、こんな状況だし賭けに出てみるとしようか。なにかアクションを起こさなければ始まらない。そう思い、歩き始めようとしたのだが…その行動は空から手紙が俺のところにピンポイントで降ってきたことによって、中断させられた。宛先には俺の名前が書いてあった。


「なんだ?」


 少し胡散臭いとは思いながらも手紙を開ける。手紙の内容は、胡散臭さを更に増させるものだった。


『こんにちは。私は君のところでいう神というものです』

「………は?」


 間抜けな声が出てしまったとしても、それは仕方のないことだと思う。それ程までに胡散臭く感じてしまうものだったからだ。


『…あ、君、今胡散臭いって思ったでしょう?』


 いや、誰だって胡散臭いと思うだろうに。誰が見たってただの精神異常者にしか見えない文面だよ。


『ならいいでしょう。そこまで言うのならば、私が神だということを証明して差し上げましょう』


 そこまで文章を読んだ後、ふと、目の前でなにかの異常が起こっていることに気がついた。

 俺の目の前には大量の金のメダルが山となっていた。何もないところから、雪崩のようとは言えないが、相当な量であるとは言えるだろう。

 もうここが異世界だということは確定だとして考えると、これは金貨だ。それ以外には考えがつかない。

 しかしこんなことをしたら、金貨の価値が下がるのでは?と思ったが、


『大丈夫。お金はダンジョンからでも手に入るからいくら持ってたとしても価値が下がることはありません。そして、その金貨は君の軍資金として使ってください。あ、因みに、名称はリムで金貨のここでの価値は一万リムです。私が送ったのは百枚ほどなので、百万リムですね』


 どうやら大丈夫ならしい。というかダンジョンがあるんだな…。確かにスキルと十分なステータスがあれば潜っていけるだろうな。でも金貨百枚もバッグに入るんだろうかね…。

……あれ?百枚で何円、じゃなかった。何リムって言ってたっけ…?金貨一枚一万リムで、百枚だから……百万リムか。って百万!?なんてこったい…。軍資金にしたって多すぎるぞ…。でもまあ、ありがたく受け取っておこう。さて、これをどうやって入れるべきなんだろうか…。


『あ、バッグは勝手に改造させてもらいましたので、金貨百枚なんて簡単に入ってしまいますよ?』


…勝手に改造するなと言いたいが、これに関してはありがたいことだったため、何も言えない。

 そして金貨は、言われた通り、簡単にバッグに収まってしまった。


『さて、これで私が神だということは信じてもらうことができたと思います』


 まあ、そうだな。ここまでされたら流石に信じる他ないよな。して神様は、俺に一体何をさせたいんだ?


『ふふふ…よくぞ聞いt』

「ちょっと待て。なぜ俺が考えたことに的確な答えとして返ってくるんだ」

『あれ?言いませんでしたか?この手紙、今私が書いているんですよ』

「それは過去ってこと…いや、まさか、ねぇ……」

『そのまさかですけれど?』

「…………そんな、バカな…」


 神は言っている。リアルタイムで書いて文字を送っていると。ってチャットかよ!


『…では続けますよ。実は君に異世界の調査をしてもらいたいのです』


…そんなの、他にいくらでも人はいるだろう。なぜピンポイントに俺なんだ。


『ステータスへの適正率が最も高かったのが君だったんですよ。っていうのは嘘です。ただの気まぐれです』


…神の気まぐれとは……誰が上手いことを言えと。言ったの俺だけど。ていうかまんまじゃねぇかよ。


『でも、調査については本当のことです。といっても君はただ、自分のしたいようにしてくれればそれでいいんですけどね』


 自由にしていいのか。まあそれだったら神に選ばれたのは良かったと思えるかもな。


『これであとは何も言うことはないですね』


 どうやらあらかたの事情説明等は終わったらしい。俺としては、ツッコミを入れていただけのような気がするけれども。


『…ああ、そうでした。君がいた世界のことですが、手は回してありますので気にしないで大丈夫ですよ。あとステータスについてですけれど……勝手に決めさせてもらったので確認しておいてくださいね。ステータスの確認は、鑑定と唱えてから鑑定したいものを念じる、唱えていただければできますから。最後に、その手紙は破り捨てても構いません。話があるときはこちらから手紙を送らせていただきます。もし捨てないのであれば、定期的に手紙を見ていただければ、私が書いた文が新しく構成されているはずなので、それは覚えておいてください。それでは』


 それ以上文字が増えることはなかった。それにしても、神は気前がいいんだな。学校や家のほうに心配がかからないのなら助かるものだ。俺は気兼ねなくこの世界に滞在できる。

 俺は手紙を鞄に入れる。勿論、破り捨てるなんてことはしない。そっちのほうが面倒事は減るだろう。その手紙はなんなのかと訊かれたとしても誤魔化せるはずだからな。流石に空から俺の元へピンポイントに降ってきて、俺の名前が書いてあったとしたら言い逃れをしようにもできないという理由があるから持っているというのも、勿論あるが。一番の理由としては、紙の無駄。無制限にあるだろうとしても、俺にとってそれは紙の無駄としか言えない。

 一度考えをやめて、先程神に言われた通りの手順を踏み、自分のステータスを確認する。


(…鑑定。ステータス)


 そう念じた途端、必要最低限の情報でステータスが頭の中に浮かび上がる。



Name.風月東真


Lv.1

Job.Magic Swordsman

SecondJob.None

HP.900/900

MP.500/500

STR.400

INT.400

VIT.100

MEN.100

DEX.100

AGI.150



…ふざけんな。名前以外英語じゃねぇか。一々読むの面倒すぎんだろ。まだ下があるっていうのに…。ていうか、明らかにチートだろ。レベル1からヒットポイントとマナポイントが明らかにおかしいだろ。

 そんなことを考えながらもさっきの手紙を鞄から取り出し最後の方を読む。


『ごめんなさい。翻訳機能をつけていませんでした』


…やっぱり新しく書かれていた。こんなこと、二度とないようにしてほしい。二度はもうないだろうが。


(鑑定。ステータス)


改めて鑑定を脳内で唱え直し、ステータスを確認する。



名前.風月東真


Lv.1

ジョブ.魔法剣士

セカンドジョブ.なし

HP.900/900

MP.500/500

筋力.400

魔法力.400

生命力.100

魔法耐久力.100

器用さ.100

敏捷性.150


熟練度

片手剣.0


魔法適性

攻撃魔法

回復魔法

補助魔法

付与魔法

召喚魔法


属性適性

火.SSS

水.SSS

雷.SSS

風.SSS

土.SSS

光.SSS

闇.SSS

無.SSS


パッシブスキル

MP増幅(中)

HP増幅(中)

筋力上昇(小)

魔法力上昇(小)

???

???

???


SPスキル

限度超過(オーバーリミット)

経験値上昇

自然回復力上昇

鑑定(最上級)

神の加護

???

???

???



…読めるようになったのはいいよ。でもね、でもさ。チートがすぎない?いや助かるんだけれどさ…レベル1から適性がすごい量って…。どのくらいの量かはわからないけど、ほぼ全部って感じがする…。属性に関しては適性があるかどうかの確認だから、あれで全部だろう。けど、なんだオールSSSって。チートにも程がある。助かるけど。

 スキルに関してもチートとしか言えない。なに?SPスキルに入ってる限度超過(オーバーリミット)って。他にも気になるのはあるが、とりあえずはこれが一番気になった。更に鑑定できるのだろうか。詳細が見てみたかった。


(鑑定。限度超過(オーバーリミット))


 そこにある調べたいものを手順を踏んで唱える。すると、それの詳細が頭の中に浮かび上がってくる。



限度超過(オーバーリミット)

SPパッシブスキル。能力値の限界を上回ることができる。また、このスキルは熟練度、適性にも適用される。


…………なんて言ったらいいんだろう。さっき、オールSSSってチートすぎるだろう、って言ったけど、更に上に行って、人外の領域に足を踏み入れることになる、って理解でいいのだろうか。だとしたら恐ろしいSPスキルだ。能力値だけでなく熟練度まで超過するとは…。なんとも恐ろしすぎる。自分のスキルだけど。


「まあ、あとはぼちぼちでいいか。特に気になったのはそれだけだし、表示されていない欄はそのうち、例えばレベルを上げたりしたら出るだろうし、詳細が見たいわけではないけど確認はあとでもできるし。取り敢えず、川に沿って歩いていこう」


 そう言って俺は、方向の確認をしてから歩き始めることとした。方向は、上流側だ。下流の方ではあまり期待出来ないと思った結果だ。あくまでこの川の水が飲めると仮定しての考えだが、飲めるのならば上流側に村があるだろう。

 それから俺は、暗くなるまでの間、上流へと歩き続けた。歩いている途中、太陽を見て気付いたのだが、夕方だったはずなのに、少し時間が遅くなっていたようだった。時差的なものだろう。持っていたスマホの時間を見て午後七時になっていたことからそう思った。スマホと言えば、メールが何件か入ってたな。主に親と友達から。

 内容はどちらも、大変だと思うけれど頑張れ、と。一体どう手を回したらそうなるのやら…。まあ、気にするだけ無駄というものだろう。

というか、電波、あるんだな。異世界に来ていたのだったということを忘れるくらい自然に電波があったため本当に忘れるところであった。

 さて、そろそろ野宿も考えなければと思っていた頃、ひとつの集落が見えてきた。賭けには勝ったのだ。しかし、賭けに勝ったところで、どう説明をていいのやら。いかにも不審者としか言えないというのに。

 うーん…。


「よし。寝よう」


 取り敢えず寝よう。そうしよう。よし決定。おやすみなさい。



☆   ★   ☆   ★   ☆



 時刻は午前六時くらい。木にもたれかかって寝ている人を発見した。太陽が昇って陽が差していても起きないところを見ると、相当疲れているのだろう。服装を見たところ、相当お金持ちな貴族の方ではないかと思う。なぜこんな場所で寝ているのかはわかりかねるけれども。


「いけない…。水を汲んでこなくては」


 今日の分の水を川から汲み上げなければ。この人は……一応、家にあげておこう。困っている人がいれば助ける。それが私達の村の掟だから。

お試し版(?)ここまで読んでいただけたのなら幸いです。お読みいただきありがとうございました。

修正版はあらすじの方に書いてあるとおりなので、これで面白いと感じてくれている方がいれば、そちらもお読みください。

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