09:群島国家アクエリア
久々の更新です、長らく空けてしまいまして申し訳有りません。
4月に入りようやく繁忙期脱出。
夜勤・残業も終わりつつあり、勤務時間がまた変更です……。
今週はまた生活時間調整で二日に一回くらいを予定してますが、ペースを戻せるように頑張りまっす!
大海原に浮かぶ群島国家アクエリア。首都のある母島を中心に大小様々な島々からなる南国といった感じの作りであり、漁業を中心に島々に自生する樹木の果実などの特産品も持ち合わせ、造船の技術も高いらしい。
居住する種族は海洋に適応した亜人系が多く、エラを持った人や長時間無呼吸で活動出来る水陸両用の種族が主軸となって統治しており、他にも完全に水の中での生活のみの種族も居るとか。
惑星になった影響で海洋にあたる水の面積が拡大したのだが、どこかが水没したという話は無く他の大陸と変わらぬ状態と言った感じらしい。
現在俺達は入国審査を終え、王宮にあたる『水神の社』という場所へ向かっている最中なのだが、案内役として呼ばれた人が少々意外だった。
「先輩方、あまり離れてはいけませんよ! 最近は海賊が勢力を伸ばして来てまして、町中と言えど安心は出来ません!」
言いながらもキョロキョロと周囲を警戒する神剣の後任勇者ユーニさん。コメディースパイ映画の尾行のように、建物の壁を背に警戒する姿は微笑ましい。
「そ、そんなに治安悪いんですか?」
「悪いなんてもんじゃありません! この前も私自信誘拐されそうになったんですから!」
「誘拐って穏やかじゃないですね……」
衝撃の告白に真由も身震いしながら相槌を打っている。周囲を見てもフォレスティアやハイランドの市街地と変わらぬ、威勢の良い売り子の声が聞こえる日常の繁華街の光景に見えるのだが、詐欺師獣人の事を考えるとそうでも無いのかもしれない。
行き交う人々はユーニさんと同じように、人間で言えば耳の部分に魚類のヒレのついたような姿の人が多い。首筋に何本かの切れ目、恐らくエラに当る物も見える。
フォレスティアと違い完全に魚類の容姿の人は見えず、ユーニさんに聞いた所、そういった人は海棲族と言い、陸上での行動が極端に苦手だそうで。滅多に海の中から出てこないらしい。
反対に陸上での暮らしをメインにしている人達は陸棲族と言い、こうして群島に生活基盤を持っているとの事。
お互いの種族でいがみ合う訳でも無く、海産物を供給して貰ったり、陸上でしか栽培出来ない物を融通してあげたりと交易も順調だとか。
海棲族も独自に国家というか、自治領を海中に持っているらしいという話を聞いてそちらにも挨拶に行かねばなと思うが、海の中とかどうやって行けば良いのやら。
そんな事を考えている道中、真由もユーニさんも年が近いのかはたまた女の子同士だからなのか、とても仲良く話している。元勇者、そして異世界から来た者同士という事で他にも通じる所があるのかもしれない。
「誘拐犯なんてとっちめてやろうよ! ユーニさん、顔覚えてない?」
「顔は結構カッコイイ系の若い男でしたね……しきりに酒場に誘うので飲めないと答えたら今度はご飯でも一緒にと目的をコロコロと変えて。あれは間違い無く誘拐です」
違う、それはナンパだ。
俺が声に出すまでも無く、真由も呆然としている。ユーニさんだけフンスと鼻息荒く拳を握り締めて力強く語っている。
「治安が悪化していると聞いて居ましたが、その様な輩にまで組し易しと思われるとは私が勇者として何も功績を残せなかったからでしょうか。折角世界の危機と言われて来たのに本当に情けない限りです」
目をキラキラさせながら、より一層拳を握りこむユーニさん。前回はあまり関わってなかったが案外生真面目というか正義感の強い人のようだ。
「先輩方、今後もし力が必要な時はいつでも呼んでくださいね! 神剣様は無くなってしまいましたが、今は兵士さんの元で修行中です、必ずお力になります!」
「それは有り難いけど、ユーニさんは元の世界に帰らないで良いの?」
言っちゃ悪いが勇者の中でも一番アルテミアに関わった時間が短いというか、関係が薄い気がするのだが。何故かやる気満々なその姿勢を少し疑問に思ってしまった。
「戻る? とんでもない! マリエル様と一緒に行動出来る上にこんなファンタジーな世界なんですよ? 楽しくてしょうがないです!」
先程と違うキラキラ目で語るユーニさん。疑問が更に深まった。
「マリエルさんと一緒に行動って……知り合いなんですか?」
「知り合いなんて滅相も無い! マリエル様は神です!」
段々俺と真由の首の角度がキツクなってくる。疑問が重なりすぎて傾げるのも限界だ。
「か、神?」
「ええ。マリエル様と私は元の世界が同じなんですよ。で、マリエル様は有名な歌手だったんですよー! 私、その歌が大好きで!」
「あー……そういう」
要するにファンだったようで。天上の人だった有名人と異世界で関係を持てたのだから、有頂天なのか。理由が判れば歳相応の女の子という次元まで見る目も戻ってくるという物。というかそんな有名人がこっちに永住しちゃって良いのだろうか。
アクエリアの勇者事情を少し把握したところで、丁度『水神の社』に辿りついた。
水で出来た建物とかを想像していたのだが、普通に石材で形作られて周囲に池が配置してあるだけの建物だった。曲線が多く丸い壷のような印象を受ける外見、その真正面にある入口から中へと入るとそのまま大広間ような広大な部屋になっていて真正面にいきなり目的の人が居た。
「マリエル様! 国王様! ハイランドよりの使者、サカカミ様、マユ様お連れしました!」
「ご苦労様でしたユーニ。態々あなたが行く必要は有りませんでしたのに」
王宮というより神殿という感じだろうか。文官とはまた違う白いローブ姿の人々が並ぶ更に奥、二つ置かれた椅子に座る人物の片方、女性の方が優しく声でユーニさんの報告に労いの言葉を返す。
「いえいえ! 私なんか使いっ走りで十分です!」
ブンブンと両手を振るユーニさんだが、どうやらあちらがマリエルさんのようで。
「こんにちは、ハイランドの勇者様。私はマリエル・アルテミア・アクエリアと申します。この度の邪神戦に参加できずに申し訳有りません」
俺と真由が挨拶する前に先手で謝られてしまった。国の代表者相手にこれは失敗したとすぐさま対応する。
「ご挨拶が遅れました、ハイランドの勇者坂上総司です。こっちは妹の真由。無理をなさられてはお体に触りますでしょうし。ユーニさんも頑張ってくれたので大丈夫ですよ」
「おかげさまで、無事に出産も出来ました。皆さんには感謝しています」
そう言いながら椅子の横に置かれた籠の中から赤ん坊を抱き上げ、こちらに見えるようにしてくれる。
「わ、可愛い~!」
真由が食いついた通り、人間の赤ん坊と同じような外見のプニプニした肌の可愛らしい赤ん坊だ。ここらへんは大差無いんだな。その赤ん坊を一緒に覗き込んだ後、隣に座っていた男性の方がこちらに話しかけてくる。
「さて、マリエルがどうしても先にお礼を言いたいというので控えていたが、ここからは僕の領分だろうしご挨拶しよう。アクエリアの陸棲族の代表、ローレンス・アルテミア・アクエリアだ。今後とも宜しく頼むよ」
緩い感じの中にも一切の隙を感じさせないイケメンさん。アレンさんやラザリスさんに通じる物を少し感じる。マリエルさんは清楚な感じの美人で、こちらもイケメン。先程の赤ん坊の将来は薔薇色だろう。
「ハイランドの坂上総司です。この度はお時間を頂き有難う御座います」
「いやいや、こちらとしても使者を送りたかった所だ。だが何分長距離の移動手段は船しか無くてね。出向いてくれたのは助かった」
フォレスティアやハイランドの王族とは何か決定的に違う感じのするローレンスさん。王族というよりは、自己紹介通り代表者なのだろうか。
気位の高さという気配が無いと言えば良いのか、アリスやフィリス女王の様な感じでは無く、どちらかと言えば商業ギルドの長という印象だ。
「用件は大体理解しているつもりだが、よもや開戦の告知では無いよね?」
「まさか。こちらの書状に詳細は書かれていますので、ご覧下さい」
近くに控えていたローブの人に女王様からの書状を渡し、それがローレンスさんの手に渡る。
「ふむ……まぁ想像通りの内容だね。こちらの想定していた展望と方向性は一緒だし、問題ないだろう。ただ、サカカミ殿も察しているだろうが、我が国はこういう場所にあるのでね。交易となると航路の確保が最重要課題になるだろう。そこはお互いに何度も話し合いが必要だろうね。港湾の設置場所、航海技術はそちらにはあるかな?」
「無いでしょうね……ご教授願えると幸いです」
「だろうねぇ。一手にこちらで引き受けても良いがそれでは世界の為にならない、そう言いたいのだろ?」
んー、やっぱり結構キレ者だな。真意というか目的まで把握しているようでやり易いのだが、油断ならないとも言える。
変わらぬ微笑でこちらの様子を伺うローレンスさん。悪い人じゃないのだろうが、やはり国の長という人を相手にするのは俺には荷が重いのかもしれない。
そんな思考すらみえみえなのか、フォローまでされてしまう。
「緊張しないでくれないか、サカカミ殿。マリエルが居る限り僕は戦乱を起こすつもりも無いし、世界発展に尽力するつもりだ。そこはマリエルと我が子に誓う」
「サカカミ様、私もそうなるように願っております。神剣は『生命』の神剣。その名に恥じない、より一層の繁栄をするように尽力致します」
「いや、疑っている訳じゃないんですけど、どうしても自分では皆さんとの話し合いには力不足なのかなと……」
正直交渉している訳では無くただのお使いなのだが。それですら不安でしかない。
「そこは気にしすぎだろうな。救国の勇者なのだからもう少し自信を持った態度で構えていれば良いだろうに」
「そう言われましても……神剣で戦ってない限りただの小僧ですからね」
「うむ……謙虚というか何というか。マリエルの世界の人もこういう感じなのかい?」
「謙虚を美徳とされている方は居ましたけど、ここまでの方は珍しいですね」
何やら本題とは違う論議が始まってしまったようだが、これは何回か経験がある。要するに俺がとても頼りないというか、功績を振りかざさないので威厳が無いという話だ。
ユーベンテさんやフィリス女王にも何度と無く言われた事だが、これは性分なので諦めて欲しい所であり、実際そんな凄い事をしたという実感より、しでかした事案の方が重大な気がするので何とも言えないのだ。
「サカカミ様、勇者とは国の象徴でもあるのですよ。平和な時間をもたらした英雄として恥じない態度で過ごす事も役目として割り切る事です。今回は更に恒久的な平和への変化をもたらしたのです、それを誇らずに他にどんな偉業が御座いましょう?」
マリエルさんが言う事も分かるのだが。何か気が引けるのだ。
「私は以前の世界ではそれなりに名の通った歌手として暮らしていましたので、聴衆に求められる姿を演じる大切さは知っています。ある意味夢を与えるお仕事というのは勇者と共通点がありますね。癒して回る戦場の中で慈母としての名声が高まる反面、素が出せないのは辛いとは思いましたが、そういう役目も持っているのが勇者でしょう」
アイドルか何かだろうか……こういう考え方もあるのか。平和の象徴とかそういうのだろう。
「マリエルは結構我侭だからね。僕も当初は聞いていた印象と違って驚いたよ」
「そこまで我侭じゃありません!」
プイと横を向いたマリエルさんを宥めるローレンスさん。なんだろう、惚気かな?明らかに他の王族っぽくない軽い感じが否めない。お国柄という物だろうと割り切る。
「まぁそういう訳で書状の内容は概ね同意したとお伝えしてくれ。技術見学はどうするかい? 造船所の手配ならすぐにでも出来るが」
「でしたら明日の午前中でお願いします。午後には次の国に発ちたいので、今日は町の方を見学させて頂きます」
「了解した。で、まぁ最後に問題が一つだけ有るのだが」
「問題?」
ここまでは相当順調だっただけに少し不安になる発言に思わず聞き返す。
「僕はあくまで陸棲族の代表なんだ。海棲族は別物と考えて欲しい」
「なるほど……そちらへの挨拶はどうしたら良いでしょうか?」
「一応こちらから連絡は取ってみるが、あちらはあちらで色々と問題が起こっているようでね。人族が現地へ行けるかどうかは微妙な所だし、暫くはこちらで交渉はしてみるが何か起こったら海棲族との直接交渉はお任せしたいのだが、どうだろう?」
「はい、そこは問題ありません。全ての種族と交渉せよといわれてますし」
やっぱり別物なのか。しかも問題が起こっているというのは聞き捨てならない話だ。
「ちなみにどのような問題が発生しているのか判りますか?」
「主な問題は諸国も同様でしょう。魔術に発端する雇用や生活保護問題ですね。それに加えて海棲族は深海に近い場所に居を構える種族、照明を利用していた地域が暗闇に困っておるようですね」
「あー……それは……」
深海魚だったら光とかどうなんだろうと思うが、まぁそこは実際に会った事が無いのでなんとも言えない。もしかしたら薄暗い程度の深度に居るのかもしれないし。
「後は他にも我が国特有となれば、航海術にも影響しますね。風を魔術で起こして進んでいた帆船や水を動かして原動力にしていた浮船が使用不可能ですから」
「それって交易に使う分は大丈夫なんですか?」
「各舟別に常時魔術で動いていた訳ではありませんからね。漕船もありますし、帆船も風があれば動きますから。熟練の船乗りなら魔術使用の速度に匹敵する速度で航海出来ますよ。ただ使用するのに制限がついたという感じでしょうかね」
ここでも魔術は利便性の為に使われていたようで、致命傷にはなっていないのが判って少し安心した。
「まぁ詳細は先方に確認次第でしょうね。陸棲族に関しても当面は自分達でどうにかなる程度、何かあれば連絡しますよ」
「お願いします。暫くは諸国を回ってますので、それまでに何かあればハイランド王家の方に伝言しておいて下さい」
「了解しました。では、我が国をごゆっくりとお楽しみ下さいませ」
ある程度話が纏まったので双方共に会談は終わりという体だったのだが、最後にマリエルさんが一言付け加える。
「最近は海賊の動きが怪しいと聞きますし、宜しければそのままユーニと行動して下さい。ご案内も出来ますし、最近では兵士達よりも多少は強くなっているようですから」
「あ、治安悪いのは本当なんですね」
「人攫いや夜盗の類に加え、詐欺師なども出てきていますね。町中もゴロつき連中が増えているようで、悩ましい限りです」
「どこも同じような感じなんですね……」
「過渡期とはそういう物です。私達は精々その混乱が広まらぬように民衆を束ねていく役目を全うするだけです」
虚空に視線を走らせ、物憂げな表情を浮かべるマリエルさん。元の世界で何が有ったか知らないが、どこか達観しているような印象を受けた。見た目的には20歳入りたてくらいだろうに、どこか大人というか老人っぽい感じだ。もしかしたら元の世界では芸能界のような場所に居たのかもしれない。ファンも居るし。
出来るかどうかは判らないが、それなりの風格を身に付けると約束してその場を後にした。
◆
「どうです? マリエル様って凄いでしょう!」
『島魚の尾鰭亭』という食堂にて、魚介に舌鼓をうちつつもユーニさんによるマリエル様自慢が止まらない。王族との謁見は毎回不安でしょうがないが、こういった食の楽しみはウキウキするものだ。どこも王都というだけあって食事処も当たりばかり、真由に至っては帰ったら少し太ってるんじゃないかと心配しているのは余談だろうか。
ここまでの情報によると、ユーニさん達の元の世界では知らない人が居ないくらいの有名人だったようで、『歌姫』の異名を欲しいままにしていたらしい。勿論相当なお金持ちだそうで慈善活動でも有名だったとか。そんな人が消えたのだから、陰謀説や誘拐説で世間を賑わせていたらしい。
「本当に当時はパニックでしたよ! 音盤はプレミア価格で高騰、関係者は捜索願を出して警察も威信にかけて探す始末で、こんな所に居るなんて思ってもみなかったですから!」
そりゃそうだ。異世界で勇者やってるなんて普通思わないだろうに。しかし余計こっちで生活をする事にした理由が判らない。向こうで人生成功してるだろうに。久々の海鮮、白身の焼き魚を食いながらそこの所を聞いてみる。
「そんな凄い人なら何でこっちに永住なんだろうね?」
「そこがマリエル様のお優しいところです。こちらの世界の人々の暮らしを嘆いてらっしゃいましたから!」
「あー、そういう事か。ちなみにユーニさん達の世界ってどれくらい文明発達してたの?」
「んーどれくらいと言われても。ここよりは遥かに進んでいたかなーくらいですね」
「さっき音盤とか言ってたけどCDみたいな物かな?」
「しぃでぃっていうのがどういう物か判りませんが、大きめの平巻貝に細工して耳を充てると楽曲が再生される仕組みですね」
「何それ……」
未知の技術は怖い物。どう細工したらそうなるんだろう……すげぇ見てみたい。
「機械なのそれって?」
「加工するのが機械ですね~。貝は貝です」
「……うん、良く判らないや」
モヤっと想像してみたが、なるほど良く判らん状態で。他にも防錆加工の技術やTVのように映像を伝える機械が普及しているとかで、結構地球に近いようだ。
「ちなみに医療関係はどうだった?」
「勿論病院もありましたよ。外科手術もそうですけど、綺麗な鱗やヒレにする整形も流行ってましたね~」
「鱗って、ユーニさん鱗あるの?」
パッと見で人間にしか見えないユーニさんとマリエルさん。ユキヒメのように腕とかに生えてるんだろうかと気になってしまう。
「私は無いですよ~。こちらで言う海棲族の方達がそういう感じです」
「ああ、なるほどね。そっちの世界でも同じような感じなんだ」
「多分原種としてこちらに招かれた方とか、何世代も前の勇者の方が私達の世界の人なのではないかとマリエル様は仰ってましたね」
「そう考えるとハイランドも地球からっていうのが多そうだな」
「多分そうなんじゃないですかね? 勇者召還自体、術者の方と波長が合う人を選ぶそうですし」
「最近その説聞く度に耳を疑うんだよなぁ……」
それが正しいのならば俺とアリスは波長が合うことになってしまう。それだけは断じて無いと言いたい。
「でもあにぃとアリスさんって本質的には似てるんじゃない?」
「どっかでも言われた気もするけど、そんな事無いと思うんだけどなぁ」
誠に心外であると付け加えながら、最後の切り身を口に放り込む。
「そう言えば明日案内するのは造船所だけで良いんですかね? 他にも観光名所ありますけど」
「観光に来た訳じゃないしね、食事くらいで十分なんじゃないかな?」
何も無ければ二つ返事で食いついていたかもしれない魅力的な提案だが、今回はあくまで国の使い、ご時勢的にもそんな浮かれて良い時じゃないとスパッと断る。
そんな俺を神妙な顔で見つめるユーニさん。
「先輩は顔に似合わず意外と真面目なんですね……」
「それは褒めてるのか貶してるのかどちらかな……?」
食後の茶の入ったコップを持ちながらジト目で応戦する俺。横からは真由の乾いた笑いが聞こえてきた。
お読み頂き有難う御座います。
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