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冒険者ギルド

 お金が手に入ったところで、次はこの貨幣の価値を調べてみた。

 そんなに難しい作業じゃなくて案外簡単に知ることができた。ただいくつかの露店や店で値段を訊くだけだったから。

 もちろんローブの他にもいくつか買った。ちなみにローブは紺色。


 この世界には主な貨幣は三種類あることがわかった。他にもあるのかもしれないが市場で出回っているのは主に三種類。

 それは金貨、銀貨、銅貨。

 銅貨百枚で銀貨、銀貨百枚で金貨。

 銅貨一枚が日本円でいうと約十円に相当するらしい。ということは銀貨一枚が千円、金貨一枚が十万円ということになる。

 今、金貨を七枚持っているから七十万円以上持っていることになる。大金にはかわりないけど、もう少し余裕ができるまで貯めておきたい。なんといっても今は知らない土地に一人で突っ立っているんだから。

 残りの素材を売るにしても目をつけられたくないから、裏オークション的なものに参加するしかないか。


 お金も貯まりローブで顔を隠したところで冒険者ギルドに向かった。


 ギルドの中に入って行くと中は想像以上に清潔だった。

 ただ、問題なのはギルド内にいる人が屈強そうな男ばかりだということか。もちろん女性も何人かいる。

 今は昼を過ぎたころだからか人が少ない気がする。建物の大きさと人の数が明らかに釣り合っていない。


 ドアを開けた瞬間、予想通りみんなこっちを向いた。

 そして何故か皆こちらを観察している。おそらくローブで顔を隠しているからだと思われる。

 今まで巨大な魔物と生活していたようなものなので威圧されるようなことは全くないが、ジロジロ見られるのは気分が悪い……。


 周りの視線を意識していたせいか気付くと受付の前にいて、そこにいたのは………………………………獣人の女性だった。

 あまりにも衝撃的すぎて言葉が出ない。明らかに猫耳だとわかる可愛らしい耳。こんな素晴らしい生き物が元の世界にいないなんて、いったいどういうことだ!!!


 この世界では常識なのだが、獣人は耳と尻尾の違いだけでほとんど人族と変わらない。


 黙ったまま見つめ続けている俺に受付嬢は声をかけてきた。


「ご用件は何ですか?」

「ギルドに登録したいのですが…」

「かしこまりました。登録には銀貨五十枚と髪の毛を一本いただきます」


 銀貨五十枚とか高すぎるだろ。日本円で五万だぞ

 しかも髪の毛は何に使うんだ?


「冒険者ギルドに登録して手に入るギルドカードは身分証明書になるので、誰もが簡単に身分を証明できるものを作れてしまうのは困るのです。髪の毛はギルドカード発行につかいます。再発行には金貨五枚かかるので失くさないようにしてくださいね。それではこの用紙に必要事項を記入してください」


 最後までちゃんと人の話を聞けばよかったのか。


 渡された用紙を見てみるとそこには名前・性別・年齢・戦闘方法・魔法属性の記入欄があった。

 ……………あれ?なんで俺この文字を読めるんだ?明らかに初見の文字だぞ……。

 そういえば商人の店に行ったときに見た看板の文字を読めたよな。

 てことは文字を書けたりもするのか?


 恐る恐る羽ペンを用紙に近づける。

 大崎愁斗という文字を思い浮かべながら手を動かす。


 ……知らない文字で名前が書けた。


 そもまま空欄を埋めていく。


  名前:シュウト オオサキ

  性別:男

  年齢:18

  戦闘方法:魔法


「魔法属性は記入しなければいけませんか?」

「記入しなくてもいいですが、ギルドで情報が集まり次第こちらで記入することになりますよ?もちろん個人情報は秘匿することをお約束いたします」

「わかりました」


 諦めて記入することにした。


  魔法属性:火 風 強化


 三属性だけ。


「ありがとうございます。それではギルドの説明をさせていただきます―――――――――――――――」


 冒険者ギルドとは住民や組織、国などの依頼を冒険者に斡旋する組織で、この組織自体は全ての国に支部があり、どの国家にも所属しない。

 しかし各国の支部は暗黙の了解でその国の肩を持っている状態らしい。戦争が起こった場合においてだけその支部がその国に力を貸すことを公的に認められている。


 冒険者には階級があり、個人がその実力に合う依頼をこなして死者を減らすことを目的としている。

 階級は一級から八級までの八ランクで分けられており、ランクが高ければ高いほどギルドでの地位も上がる。

 ギルドで地位が上がると国への影響力も必然的に大きくなるため、国での地位も大きくなる。

 階級を上げるのはギルドの職員が判断することであり、冒険者はどうすれば階級が上がるのか知らない。

 この制度のおかげで不正がほとんどなくなり、階級の信頼度が高まった。


 冒険者はパーティーを組んで仕事をすることができる。一人で戦うことよりも複数で戦うことを得意とする者もいれば、自分の持っていない属性をパーティーを組むことで補うというものもいる。

 特に回復魔法はパーティーの生命線となるうる存在で、かなり重宝されているらしい。

 パーティーにも階級があり、組んだときはそのメンバーの中で一番高い階級がそのパーティーの階級になるが、結果を出せばパーティーの階級が上がって、より高い階級の依頼を受けることができるようになる。

 もちろん、パーティーでしか依頼を受けないと個人の階級は上がらない。


「―――――――――――――――説明は以上です。わからないことがありましたら、ギルド職員にお尋ねください」


 別に階級なんてどうでもいいしな。

 依頼を受けなくても魔物を狩って素材を売ればお金は手に入る。


「ギルドカードができあがりました。今はギルドカードに何も書かれていませんが、これにあなたの魔力を流すと先ほど書いた名前、性別、年齢と階級が浮き上がります。他の人の魔力には反応しません。では、これからよろしくお願いします」

「ありがとうございました」


 ギルドカードを受け取ってそのままギルドから出る。

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