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依頼

 目を覚ましたのは次の日の朝だった。どうやら眠ってしまったらしい。

 今日は依頼をするつもりだ。初依頼ではあるが緊張する要素が見当たらない。

 それに依頼での一番の懸念事項は知識だ。どういった場所にどういった素材があるのかわからない。だから最初は町中での依頼を受けながら勉強するつもりだ。


 とにかく今は朝食を食べて風呂に入らなければ。昨日風呂に入る前に寝てしまったからな。

 とりあえず一階の食堂に向かう。


「おはようございます」

「おはよう!!昨日はよく寝てたな」

「はい。久しぶりのベッドだったもので……」

「そうかい」


 話しながら朝食の準備が整い食べ始める。


 食べ終わってすぐに町の外に出て、空間魔法で以前作った風呂の近くにワープする。


 そしてすぐに見つけて近寄る。

 すると、そこには今は暖かくもないはずの水風呂に大型の蛙の魔物がいた。よく見てみると小さいのもいる。おそらく大型の蛙の子供だろう。

 そして気付いた。水があったら生き物が住み着いてもおかしくないということに。

 次からは後始末もしっかりすることにしよう。


 巨大蛙が入った風呂に入るのは嫌なので少し離れた場所にもう一度作って入ろう。

 蛙と風呂を火魔法で消し飛ばして、離れた場所にもう一度作った。

 今回はボディソープもシャンプーもあるからすっきりするだろう。


 風呂から出て後始末をしてから町に戻った。


 そのまま冒険者ギルドに向かう。

 冒険者ギルドに入ってすぐに依頼の張ってある掲示板に向かう。

 朝ということもあってかなり混んでいる。

 掲示板は階級別に分けてあるのだが、一番混んでいるのは六級の掲示板だ。おそらく冒険者の数が一番多い階級は六級なのだろう。その次が七級。依頼を受けることができる階級は自分と同じか自分より下の階級なのだが、報酬が低くなる下級依頼を態々受ける人は少ないはず。

 五級以上は六級以下に比べて極端に数が少ない。これも予測だが、六級から五級に上がるのに大きな壁があるのだろう。


 実際に愁斗の予測は当たっているのだが、それを知るのはもう少し後の話だった。


 八級の依頼の掲示板に向かう。ここにいる冒険者は少ない。

 いくつか依頼を見てみるがお手伝いの依頼が多い。引っ越しのお手伝い、店番、脱走したペットの捜索と捕獲、家の模様替えのお手伝いなど。

 俺は脱走したペットの捜索と捕獲の依頼を受けることにして、依頼書を剥がして受付に持っていって受理してもらう。


 依頼書に書かれている内容をよく確認して、特徴に合う生き物を探し始める。

 まずは自分の魔力感知の範囲を広げて魔力の器の小さい生き物を片っ端から探していく。

 器とはその生き物の身体である。しかし器によって最大魔力保有量は決まらない。小さな生き物でも莫大な魔力を有する場合があるし、大きな生き物なのに少量の魔力しか有していない場合もある。だから愁斗は魔力ではなく魔力の器に焦点を合わせている。

 その中から屋外にいる生き物に絞る。

 その後は一匹ずつ特徴を確認していく。


 本人は教えてくれる人がいなかったので知らないが、普通の人はそんなことできない。

 魔力を感知できる人は多いが、魔力の大小を判断する程度だ。

 愁斗のように魔力感知範囲を操作したり、魔力の器を感じとったり、一つ一つの魔力の違いを識別できるのは魔力操作に長けた人だけである。


 ペットを見つけて依頼主のところへ行き、依頼達成書にサインを貰ってギルドに戻る。

 そのペースでいくつか依頼をこなしたところで夜になり宿に戻る。

 今日の収穫は合計銀貨二十五枚。


 宿に戻ってすぐに食事を済ませ部屋に入る。

 疲れていた訳ではなかったが、ベッドで眠れるという誘惑には勝てなかったのである。


 次の日も同じようなペースで依頼を受けて一日を過ごした。


 その次の日、ギルドに入ってすぐに登録日に受付を担当してもらった猫耳受付嬢に声をかけられて受付に向かう。


「シュウトさんの階級アップの許可がおりました。階級アップされますか?」

「はい」


 なんだ。八級から七級に上がるのってこんな簡単だったんだ。


「ではギルドカードを変更させていただきますので一度ギルドカードを預からせていただきます」


 ギルドカードを渡してすぐに奥へ引っ込み、数分で戻ってきてギルドカードを返却される。


「今日から七級の依頼を受けることができるようになります。七級の依頼からは町の外に出る機会が多くなりますので気を付けてください」

「わかりました。ありがとうございました。」


 そう言って踵を返そうとしたところで、あることを思い出して踏みとどまる。


「魔物や植物について勉強したいのですが、どこにいけばよいでしょうか?」

「それならここで貸出をしていますよ。魔物に関する本と植物に関する本の両方を借りていきますか?」

「お願いします。宿に持って帰って読んでもいいですか?」

「ギルドの外に持ち出す場合はお金を払わなくてはいけなくなりますがよろしいですか?」

「はい」

「一冊を一日貸し出すのに銀貨五枚必要になります。二冊なので一日銀貨十枚です。何日借りますか?」


 一日で一万円とか高いな。お金たくさん持っていて良かった。


「一日でお願いします」

「……一日だと全然勉強にならないのでは?」

「いえ、大丈夫です」

「……そうですか。では銀貨十枚になります」


 銀貨を十枚渡して本を受け取り、そのままギルドを出て宿の自室に向かった。

 その日は一日中勉強して過ごした。しかも次の日の朝まで読み耽り、全て覚えるという離れ業をして……。

 当の本人に疲れた様子はない。


 朝食をとって風呂に入り、休憩をとらずにそのままギルドに行った。

 本の返却後は今まで通り依頼を受ける。

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