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セイラス町

 今日はもう昼も過ぎているし、今日は依頼を受けるつもりはない。

 まずは生活用品などなどを集めよう。

 さっきファリナス商店に寄ったときに買っておけばよかった。

 もう一度ファリナス商店に向かう。


「すみませーん」

「はい!本日はどのようなご用件で?」


 あれ?さっきの今で俺を忘れたのか?

 ………あぁ!!ローブで顔を隠してるから気付いていないのか。


 その場でローブから顔を出す。


「あ、さっきのお兄さんですか!これは失礼しました。ローブを被っていたので気付きませんでした」

「気にしないでください。先ほどローブを買ったのでつけていました」

「次からはローブをお求めになるなら、私の店でお願いします!!もちろんお値段を勉強させていただきますよ!!その代わりといってはなんですが……」


 その言葉の続きはだいたい想像できる。


「そうしたいのはやまやまなんですが冒険者ギルドに登録したので、これからはギルドで素材を売ることになりそうです」

「そうですか……」

「なので今回だけなら素材を売ってもいいですよ」

「まだ素材があるのですか!」

「はい。ですが今回の素材は訳ありの素材なので、俺の情報を秘匿することと俺の詮索はしないことを約束していただきます」

「もちろんですよ!!こちらだって商売をやってるんですから!お客様の情報は流さないこと詮索しないことをお約束します!!」

「わかりました」


 そう言ってローブを買ったときに一緒に買った大きめのバッグから、持っている魔物の素材の一部を取り出す。

 大量にあるので流石に全部は売れない。それにこれらの素材ならオークションで高く買い取ってもらえそうだ。


「え?………これは赤熊レッドベアの毛皮と爪、これは岩石猪ロックボアの皮と牙、こっちは女王蟷螂クイーンマンティスの鎌……………これらの素材をこれほどの質でいったいどうやって…………あっ、すみません!!驚きすぎて勝手に口が……」

「いえ、次からは注意してくださいね」


 いきなり詮索されかけた。


「すみません。では鑑定してきますので、少々お待ちしていただいてもよろしいでしょうか?」 

「わかりました」


 そう言って奥に引っ込んだ。


 けっこう時間が経ったところで少し慌てて奥から出てきた。


「本当に申し訳ありませんでした!!!弟子の奴らがあれらの素材を初めて見たもので、全て鑑定し終えるのに多く時間を費やしてしまいました」

「弟子?」

「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私はファリナス商店を営んでおります、ファリナスと申します。本店は王都にあるのですが、今はここセイラス支部の弟子を鍛えに出向いています」


 けっこうなお偉いさんだったんだな。

 一応コネができて良かった。

 てか、この町ってセイラスっていうんだ……初めて知った。


「八級冒険者のシュウトです」

「……よろしくお願いします」


 少し顔が引きつっているが、あえて無視する。


「そういえば、鑑定した結果すごい金額になりましたよ。白金貨九枚に金貨八十枚です」

「あの……白金貨とは?」

「あぁ、白金貨とは金貨百枚分に相当する硬貨ですよ」


 てことは………九千八百万!?!?

 一気に大金持ちになってしまった。

 このままだとマズいぞ。金銭感覚が狂ってしまう気がする……。


「売っていただけますか?」

「もちろんです」

「ありがとうございます!!この素材は全く市場に出回らないので、なかなかお目にかかれないものなんですよ。そのマジックポーチもほとんど出回らないものですよ」

「え?あ、あぁ、そうらしいですね父からいただきました」


 いきなりのことだったから、とっさに嘘をついて誤魔化した。

 話をそらさなくては……。


「そういえばここに来た理由なんですけど、生活用品一式揃えに来たんです」

「わかりました。すぐに用意します」


 二、三分ほどで戻ってきた。


「こちらになります」

「全て買います」

「ありがとうございます。全部で銀貨三十枚になります」


 先ほど貰ったお金をバッグ(亜空間なんだが)に入れて、元々持ってたお金を払う。

 そしてそのまま急いで店を出る。

 


 次に向かうはあのごっついおばさんの宿屋だ。

 といっても正面にあるわけなんだが。


 中に入ると受付と食堂がある普通のお店に見えた。

 時間帯の問題か、客はほとんどいない。

 先ほどのおばさんがこっちに気付いて話しかけてくる。


「お!ちゃんと来てくれたんだね。何日泊まっていくかい?一泊銀貨五枚だよ」

「じゃあ五日間でお願いします」

「はいよ!ちなみにアタイはメイズってんだ。よろしくな」

「八級冒険者のシュウトです。これからよろしくお願いします」

「お前さんの部屋は二階の一番手前の部屋な。ちなみにこれが鍵なんだが、出かけるときは鍵は預けに来いよ。失くされたら困るからな。食事は朝と夜だけここの食堂で無料で食えるぞ。洗濯物はベッド脇にある籠に入れといてくれたらやっとくから。掃除もシュウトがいないときにやっておくから。」

「わかりました」

「階段はそっちにあるよ」


 端の方に階段を見つけて二階に上がる。

 言われた部屋に入ってすぐにベッドに飛び込む。ちゃんとした寝具で寝るなんていったい何か月ぶりなんだ……。

 

 思えば俺はこの世界に来ていったいどれくらいの月日が流れたんだ?

 ユークリウス王国で拉致されたとして、ミネリク皇国のあの別荘に連れていかれたとしたら何か月もかかるんじゃないか?

 しかもあれほど大規模な魔法を使用するとしたら、おそらく王都やその付近だろう。

 そんな遠くからバレずに拉致できるか?

 しかしギンさんの話では捜索してたのはそんな前の話というわけでもなかった。

 いったい何がどうなってんだ……?

 もしかしたら俺以外に空間魔法を使える人がいるのかもしれない。ワープできれば一瞬だしな。

 でもそんなすごい人間がいたらいろんな国の人にマークされてるはず。益々わけがわからない。


 そんなことを考えながらベッドの気持ち良さに夢の中へと連れていかれたのだった。


 

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