プロローグ
初投稿作品です。
序盤は文章の書き方が定まっておらずめちゃくちゃな文章構成になっていますが、だんだんそれが治まっていくので、文章の書き方に違いが見られることについてはご容赦ください。
その場の勢いとノリで書いているので拙い作品になっていますが、楽しんでいただけるよう努力を重ねていきたいと思っています。
それでは『拉致から進み始めるその後の異世界物語』をどうぞ!
「これはいったいどういうことだ!!!」
とある薄暗い部屋の中で、一人の男性がそばに立っている甲冑を身にまとった人達に罵声を浴びせている。その表情は決して良いと言えたものではなく、怒り狂っているというよりもむしろ青褪めていると言えるだろう。
その罵声を浴びせている男の身にまとう服装は細かな刺繍や高級感溢れる装飾がふんだんに使用されており、ただの金持ちとは決して言えない雰囲気を醸し出している。罵声を浴びせられている方はと言えば頭部以外を銀色に光り輝く甲冑を身にまとい、姿勢の良さや腰に付いている剣のようなものを含めて考えれば騎士というところだろうか。
「「申し訳ありませんっ」」
騎士と思しき人たちもまた青褪めた顔で失態を詫びている。
余程大きな失態を犯してしまったらしい。
「詫びてもどうにもならん事態なのだぞ! 国の未来がかかっているのだ!! あれほど大規模な魔法を成功させて召喚した異世界人を奪われるなど、この国始まって以来の大失態だ!!!」
発言から推測するに、その男がどこかの国の重鎮であることは間違いないだろう。国の未来を考えて怒鳴り立てるなどそうであるとしか思えない。
そんな大声が響いている部屋に、突如一人の少女が入ってきた。この少女も純白のドレスのようなものを着こなし、上品な歩き方も相まって高貴な身分であることを窺わせる。
このような地位の高い大人のいる場所にノックもせずに入ることなどありえないが、それはこの少女の地位によるものか、または現在進行しているこの事態によるものか。
「お父様、今はそんなことをしている場合ではないのでは?」
入ってきた少女は有無を言わさぬ強気な口調でお父様と呼んだ人を窘める。
お父様と呼ばれた人は我を忘れていることにようやく気付き、慌てて事態の収拾にとりかかる。
「そ、そうだな。至急国中の兵士、騎士を動員し、奪われた異世界人を捜索、奪還せよ! 外壁の門を全て閉ざしこの街から誰も外に出すな!!」
この非常事態に冷静に対応できるものは一人もおらず、命令を受けた騎士たちが慌てて部屋から出ていく。この部屋に残ったのは高貴な身分らしき男性とその娘。
「お父様……この国はどうなってしまうのでしょうか………」
「わからぬ。しかし彼があちら側に付けば、その時点でこの国は終わりだ」
残った二人のつぶやきは、薄暗い部屋に飲み込まれて消えていった。