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ユーリちゃんの兄貴分の序列の考察(「ユーリちゃんを見守り隊!」会報より)

表題通り、ユーリちゃんには三人の兄貴分がいる。


一人目はユーリちゃんと同じ部隊に所属するアルファイス。

二人目は外警部隊のイオ。

三人目は外部の医師助手兼見習のルートヴィヒ。


それぞれが全く違う性格・在り方なユーリちゃんの兄貴分達である。

そうなるとユーリちゃんにとってその序列はどうなっているのか?

そんな会員のふとした疑問の声からこの記事は発生した。







まず、調理部隊のアルファイス。


彼は兄貴分の中で最少年である百十歳。

ユーリちゃんを除くと北の魔王城隊員の最年少でもある、成人して間もないどこか幼ささえのぞく少年だ。

性格は明るく爽やか、無意識の甘え上手。


ユーリちゃんと同じ部隊所属という事で一番ユーリちゃんに近く、一番面倒を見ているのも彼だろう。

そして、調理部隊の中でも当然一番下の弟的立場だった彼が新米兄貴分として奮闘する姿はどこか微笑ましい。

そんな二人が揃って仲良く調理部隊の大人達に無意識に甘える事がしばしば。

ユーリちゃん一人でも威力抜群だというのに、兄弟揃えば最強以外の何物でもない。

それを食事提供時間に発揮すると、厨房のみならず食堂全体に萌えと癒しを提供する事となる。




次に外警部隊のイオ。


外警部隊の第一部隊第七班所属の百三十五歳。外警部隊の期待の新人としてその名が挙がる若手の実力者である。

性格は良い意味で大雑把。すこしヤンチャでありながら不器用な優しさを覗かせる事もしばしば。


彼は元からユーリちゃんに好意的な兄貴分だった訳ではない。

そんな彼とユーリちゃんの出会いは、医療部隊お手伝いと患者という状況である。それは現在進行形でもあるが。

ユーリちゃんの持つ特殊技の実験体として医療部隊の陰謀の元ユーリちゃんと無理矢理関わる事になり、周囲の思惑とは別にイオ本人がユーリちゃんを恩人として認定して兄貴分となった。

現在では調理部隊に代わってユーリちゃんのナイフの実戦訓練を指導する事もある。




最後にルートヴィヒ。

彼は北の魔王城所属ではなく、外部の医師見習いである。

そして北の魔王城の医療部隊隊長であるヴィンセント隊長の子息でもある。

彼の師匠であるセリエル医師がヴィンセント隊長に招かれた事でその助手として北の魔王城に定期的にその姿を現わし、ユーリちゃんと共に主に外警部隊の治療に当たっている。


その際、医師見習いだというのに普通に長剣を背負っている。そしてその剣に叩き伏せられ、強制的に治療を施された外警部隊の隊員の数は既に両手では数え切れないと言われている。

医師とは思えないその剣技は同年代の外警部隊隊員達を凌ぐどころか外警部隊でも上位に食い込むのでは…と言われる程だが、彼の師匠からすればまだまだひよっことの事。

やだ、この師弟怖い。


年齢は三人の中で最年長の百六十二歳。

性格は非常に穏やかで優しい笑みを絶やす事が殆ど無い。

が、時々笑顔で腹黒い。それは治療の際によくみられる。


父親と師匠を介してユーリちゃんに出会ったとされている。

兄貴分の中で一番ユーリちゃんとの関りが少ないであろう人物だが、その姿を見るなりユーリちゃんが満面の笑顔で駆け寄っていく姿からもとても好かれている事が伺える。

そして、食堂にてユーリちゃんと一緒にアルファイスを労わりつつ可愛がる姿も目撃されている。




そんな全く違う兄貴分達だが、つい先日、その序列がはっきりと示される事件が起きた。


調理部隊のアルファイスと外警部隊のイオの兄馬鹿炸裂ケンカはすっかり名物と化して有名である。

これについてはルートヴィヒも知っており、基本笑顔で傍観している事が多い。


この日は昼食時の食堂でユーリちゃんの前で兄馬鹿ケンカが勃発。

正確にはイオがアルファイスをからかい、アルファイスがそれに乗せられてしまった形らしかったが、白熱したケンカの末に二人の手が止めようとしたユーリちゃんに当たりそうになる事案が発生。


既のところで見守っていたルートヴィヒがユーリちゃんを庇ったので何事も無く済んだが、ここでルートヴィヒがアルファイスとイオに非常に重い音のする拳骨を落とす。

アルファイスとイオがしゃがみ込んで悶絶するのを放置してルートヴィヒがユーリちゃんの無事を確かめ、次いで二人の襟首を引っ掴んで食堂から連れ出して暫く。

顔色を蒼白にしてガタガタ震える二人を連れてルートヴィヒがいつも通りの笑顔で食堂に戻ってきた。


そしてユーリちゃんの前でイオとアルファイスに互いとユーリちゃんに謝罪させ、全員仲直りで仕事に戻ったというのがこの事件の大体のあらましだ。


因みにこの時の兄貴分三人のやり取りを見てしまったらしい通りかかりの北の魔王城の各部隊の隊員達も顔面蒼白にして食堂に現れており、「アレはヤバい」「【悪魔の囁き】がもう一人いた。流石はヴィンセント隊長の息子…」「笑顔で淡々とだぜ? 怖すぎる」との証言多数から、短時間ながら余程恐ろしい説教が行われていたと思われる。







以上の事から、長兄はルートヴィヒ。

気まぐれな次兄のイオに、末の弟気質も併せ持つ兄のアルファイスと考察される。

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