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嘘つきな君

作者: 尚文産商堂

私が小さかったころ。

お父さんが読んでくれた昔話。

「これって本当にあったの?」

と私が聞くと、ああ、本当にあったんだよと言ってくれた。

私はそれをずっと信じていた。


小学校の頃に、そんなおとぎ話はないということを知った。

でも、私はないから作ればいいという考えに至った。

だから、中学生から今までずっと、私は作品を作り続けてきた。

いろんな話を作ってきた。

王子様が捕らわれた姫を助けたお話。

昔助けた人に救われる話。

恋の話も書いた。

だけど、私は知っている。

どれも本当はないっていうことを。

考えてみたら、とてもまともなことを書いているものであっても、必ず何処かに嘘はある。

できる限り実体験を書いていても、どうしても嘘をつかないといけないことがある。


そんなことをグルグル考えていた時、私は彼に会った。

必然とも思えるその出会いは、私のバイト先に入った新入店員だ。

その時は、普通の人だと思った。

私と同い年で、少し身長が高めの、痩せてる人という感じだ。

別にかっこいいとは思わなかった。

彼が入ってから2ヶ月後、私は彼から告白された。

どうしようか1日考えてから、受けることにした。

それからは、一番楽しい時間だったと思う。


1ヶ月後に、それは始まった。

親友の借金を肩代わりする必要があるというので、千円ぐらい貸して欲しいということだ。

その言葉を聞いた時、真っ先に詐欺が頭をよぎった。

一応その親友の名前を聞き出し、知り合いの小父さんの友人の人に、どう思うかを相談することにした。

住所と名前を伝えるとあっという間に調べてくれた。

そして、そんな人がいないことがわかった。

私は彼を警察へ突き出すことにした。

罪状は詐欺未遂ということになったが、警察がバイト先の名簿に書かれていた住所に踏み込むと、すでに逃げた後だった。


のちに聞いた話だが、彼は私より15才年上で、全国各地で詐欺を働いている有名な人だそうだ。

そっか、彼も嘘つきだったんだと、私はその話を聞いた時にぼやいた。

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