その二
「「行ってきます。」」
「はもるなよ…」
「いいじゃん、仲良し夫婦みたいで。」
「はいはい…」
俺はため息交じりに玄関を出た。玄関を出ると少し日差しが強く、だんだんと夏になっていくのが体で感じられた。
「そういえば、この間新しい彼氏出来たって言ってなかったっけ?一緒に行かなくていいの?」
隣をくっつくように歩く鈴に言った。
「えっ?もう別れたよ?」
「今回は何日続いたんだ?」
「三日!」
「今までの最長は?」
「四日!」
「人数は?」
「のべ二百人!」
「全校生徒の数と同じじゃねぇか…」
鈴はいろんな男と付き合っては別れということを繰り返している。きっかけはCM出演をしてからだった。男のほうは皆、数日付き合うだけのためにいろいろとしているらしい。俺はそういうことはあまり考えないほうだから、周りからは一緒にいることを羨ましがられたりするが、俺は何とも思わない。
「どうするんだ?うちの学校の人とは一通りみんな付き合ったんだろ?」
「まだ遼くんが残ってます!それに遼くんのお嫁さんになるからいいの!」
「あのなぁ、俺は今まで彼女とかいなかったからお前ははっきりいって別次元なわけだ。それにころころ相手変えるようなやつの彼氏になんかなりたくねぇよ。」
俺は冷たい態度をとりながら学校へ歩きながら言った。鈴は少しうつむきながらふてくされるように俺の後ろをついてきた。