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その十一
遅刻時間ギリギリで二人で学校へ行くと、俺は昼休みに委員長を図書館へ呼び出した。そこではっきり、好きな人がいることを告げた。委員長は終始無理した笑顔のままだった。内心はずっと傷ついていたと思った。
それからは、毎日いつもと変わらない日々が始まった。ただ、あの日から、俺は自分の気持ちを抑えることをやめた。
「おはよう、鈴」
「おはよう、遼くん!あぁ、今日は遼くんの勝ちか…」
寝ぼけてる鈴を叩き起こすように、日差しが入るカーテンを勢いよく開けた。
「まぁ今日は特に負けたくなかったっていうだけなんだけどね」
「どうして?」
目を軽くこする鈴の手を優しく払いのけ、俺は鈴に軽くキスをした。
「一ヶ月記念日…」
「!?」
鈴はあまりに突然なことに対応できず、唇をおさえたまま、しばらく固まっていた。
「ほら、遅刻するぞー」
「ま、待ってよ、遼くん!」
俺はいたずらっ子のように笑いながら外へ飛び出す。昔に比べたら、だいぶ変わったこともあるけど、もうこの気持ちには、嘘をつかないって決めたから。