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・・・・一体なんで、こんなことに
自分でも解らない。
即席で雪鳳が用意した寝室で嫦娥は仰向けになった。
「・・・あんな奴、どうとも思っていない」
朝言った言葉を思い出した。
じゃあ、何故自分はここまでしてるのか・・・何故だ?
双樹のせいだ・・・・お人よしが移ったんだ。
それが一番しっくりくる答えだった。人の事ばかり考える双樹につられただけだ。
・・・それでいいや
嫦娥は静かに目を瞑った。
その時、ドアが開く音がした。
「・・・ん?」
差し込む光に思わず目を開ける、そこには枕を抱えた双樹が立っていた。
「起しちゃった?」
不安そうに覗きこんだ双樹は、いそいそとベッドに潜り込む。
「なっ!?」
「まだ、ちょっと寒いから」
照れくさそうに笑って、双樹はひっついてくる。
「同じ歳の友達って初めてなんだ」
顔が近い、一つの毛布を分け合って、二人、向き合っている。
「明日は特別な場所を教えてあげるね」
少し自慢げに双樹は笑った。
・・・・お前の行動範囲なんて知ってるさ
普通の子供よりも、大人しくあまり遠くへ行かない子供だ。
それでも、双樹は自慢げに案内をするのだろう。
「・・・・」
ふと、横の双樹を見ると既に寝息を立てている。
ピッタリと寄り添い、これでは嫦娥は寝返りもうてなかった。
「・・・明日か・・・」
初めて来た様な素振りをしなくてはいけないのだろうか?
・・・知ってたら、不審に思うかもしれないもんな
嫦娥は静かに目を閉じた。
・・・・・が、しばらくして目を開けた。
「・・・あれ?」
さっきまで眠気が来てたのに。
・・・・何故だろう、眠れない・・・
隣の寝息がくすぐったい
嫦娥を天井を仰いで、眉間にシワをよせた。
そして呟く
「別にこんな奴、どうとも思っていないんだからな」