それは前世のトラウマなのかも知れない……
人類の狂気に変わった夏、そんな夏の日、私は水道の蛇口をキュッと捻り、流れた水道水を半分ほどガラスコップに注ぎ、その縁に唇を着けコップを傾ける、すると当然に水が目の前に迫って来る、そして水を飲んでいる間は首を締められている様な気分に成ってしまう私は、たまらなく成り、一口でコップの水を流し台に捨てる。
私は水を見ると、水の泡、死に水、水死、水責め、破水、涙、などの言葉を連想し背筋に冷たいものが流れる。
『水は生命維持に使用であるけれども凶器にも成る』
私は水が怖い、嗚呼ー! そんな私は夏も堪らなく怖い……。
[終]