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魔力受け渡しを検証しよう!

 ガリーナ達と別れて、私達は北へと向かう。神ペディアによると、この先は町とか村も少なくなってくるみたいだし、色々気を付けないとなあ。

 特に水には気を付けないとね。水源さえあれば、魔法で蒸留できるから何とかなるけどさ。食料に関してはみんなのおやつ、ホーンラビットがいるからたぶん問題ない。

 んで、もう一つ検証したいことがある。あるんだけど……ちょっと、ねえ。

「……ねえ、リィン?」

「んー?」

「ガリーナが言ってたやつって……」

「だあぁぁ!!ちょっと待ってちょっと待って!!その話題はまた後でぇー!!」

 そう、あれ。魔力受け渡しのあれ。

 いや、できればすっごく便利なのはわかるよ!?ただ、その……何!?信頼する者が最も効率よく渡せるって……どう考えても、ねえ!?

 だってだって、昨日でもあれだけ大変なことになったのに、受け渡しのたんびにあれ!?マジで!?うわぁ嬉……じゃない!!恥ずかしい!!

「まあ、その、僕も気持ちはわかるんだけど……でも、検証した方が良いんじゃないかなって思ってさ」

「そんなにキスがしたいか!?そこまでキスがしたいのか!?このエロガキめが!!!」

「エ、エロガキって……でも、まあ、リィンとならしたいけどね」

 うわあぁぁ!!!この男、昨日の今日でちょっと自信付けやがったな!?さらっと言ってのけやがった!!

 私が顔を両手で覆って空中をじたばたしていると、ザインが肩をちょんちょんと突っついて来た。

「大丈夫、無理にとは言わないよ。余裕が出来たら、検証してみよう」

「う……うん、余裕出来たらね……」

 一生出来る気がしない!うう、なんでザインは平気そうなんだ……逆にエロいことがした過ぎてそう見えるだけか!?

 よし、落ち着いて考えよう。とりあえず、これはエロいことではない。断じて違う。ただの魔力の受け渡しだ……そうだと言ったらそうだ!

 見た目がちょっとあれなだけで、断じて普通のことだ!ほら、人工呼吸だってキスではないし!だから大丈夫!きっと!

 でもザインはしたがってるんだよね……ていうことは、やっぱりキ……いぃやぁいやいやいや!!!違う違う!!これは普通のことです!ただの受け渡しです!

 私が一人で悶々としてると、ザインが何やら私の方を見て笑っている。

「……何よー、また表情がくるくる変わってるとか言うんでしょ」

「当たり。大体何考えてるかはわかるけど」

 わかんなくていいから!!魔王討伐のことでも考えてろ!!ついでに今まで食べたホーンラビットの冥福でも祈ってろ!!

 ただ、なんか悔しいな。ザインはもう平気そうなのに、私ばっかりあーだこーだ考えてるこの状況って……周りから見たら、私が馬鹿みたいに見えるんじゃなかろうか。馬鹿とか言った奴表に出ろ。

 そう考えると、とにかく悔しさが強くなってきた。負けてたまるか。私だってやればできるんだからね!ふん!

「よ……よし、ザイン!検証してみよっか!」

「よし、やってみよう!!!」

 私が言うと、ザインは鼻息荒く頷いた。お前は少しは煩悩を隠せ!!!!こっちが恥ずかしくなる!!!!

「えーっと……で、どっちが、どっちにする?私から、ザインに渡した方が良い……のかな?」

「うーん、やりやすい方でいいけど……正直、リィンのが魔力の扱い上手いし、僕からリィンに渡すよ。何かあった時に対処しやすいでしょ?」

「それはあるねー。んじゃ、ザインから貰ってみるね」

 ……で?この場合は?私からするの……かな?

 あ、少なくともザインはそのつもりだな。これ絶対待ってるわ。うわ、うわぁ……やっぱ恥ずかしくなってきた。昨日したとはいえ、私からはほっぺにしかしてないんだぞ!?

 いやいや、落ち着こう私。これは検証……これは受け渡し……何もエロい事なんかない。何も……ええいザイン!期待に満ちた顔をするな!!!

 うわぁ本当にこれしなきゃいけないのか……いやでも、嫌ではないし……むしろ……わ、私も、ちょっと……したく、は……あるし……。


 よし!!!!

 やるか!!!!


 私は一際強く気合を入れると、ザインの唇に自分の唇を重ねた。

 あ、ふにってした……あぁ、いいなこれ……何度でもしたい…………じゃないわ!!ええと、そうだ!ザインから魔力をもらいたい!!

 そう強く思った瞬間、唇を通して魔力が流れ込んでくるのが分かった。他人の魔力が流れてくるなんて初めての経験で、かなり変な感じがあったけど、少なくとも受け渡しは成功したみたい。

「ふぁ……今、魔力もらえたよ」

 やば、最初にちょっと変な声出た。

「う、うん。僕もなんか、ぬぅ~っと抜かれる感じがあった。感覚的には中級魔法一回分くらい?」

「そうだねー。でも、なんかザインの魔力って少し私と違うような……?質が良いって言うか、なんて言うか」

「そうなの?じゃあ、次僕が貰ってみてもいい?」

「いい……う、んん!べ、別にいいよ!」

 さらっと言うからそのまま了承しそうになったけど、今度はザインからキスするってことか!!まあ、いいけどね!!!

 今度は私が顔を上げ、ザインのキスを待つ。ザインは軽く深呼吸をした後、私の唇に軽く唇を重ねてきた。

 ああ……してもらうのもいいなぁ……普段の自信なさげなザインも良いけど、そのザインが自分から求めてくる感じが……じゃないじゃない!!ザインに魔力渡さないとね!!

 と、思った瞬間、私の身体から本当にぬぅ~っと魔力が抜ける感じがあった。どんな例えだって思ってたけど、本当にこんな感じだったとは。

 唇が離れると、ザインはちょっと赤い顔で私を見つめていた。

「リィンの魔力、もらえたよ。確かになんか、感じが違うね?無加工の魔力とでも言えばいいのか……」

「あ~、確かにそれが近いかも?ザインの魔力って、なんていうか、加工しやすい形にされてると言うか、そんな感じだよね」

「そうだね。リィンのは動かしにくいけど、動かすことさえできれば何にでもできそうな感じで……」

 不意に、ザインが口を噤んだ。一体何事かと顔を覗き込むと、ザインの顔は真っ赤になっていた。

「……どうしたの?」

「あの……その……お互いの、を、身体に取り込んで……それについて話してるっていうのが、その……なんか、考えようによっては、エッチな感じだなって……」

「だっ!?ばっ……な、何言ってるのー!?この万年発情期!!思春期野郎!!変なこと意識させないでよ!まともに考えられなくなるじゃんかぁー!」

「ご、ごめん……うん、ほんとごめん……ちょっと、気を付けるよ……」

 結局、これで検証は終了となり、私はザインの頭をぽかぽか叩きながら次の町まで進むのだった。

 ちなみに、宿屋の部屋でもう一回検証することになり、出来心で『ザインの魔力を吸い尽くしたい』と考えてみたところ、見事に昏倒させた。

 これもうお尻叩き確定コースだと思う……明日が来ませんように……。



 今日の成果=魔力の受け渡しについて検証した。

 ザインの魔力は思った形に即変えられて、とにかく発動までがすごく早かった。これが勇者補正って奴なのかな。

 あと、お互いに『相手に与えたい』『相手から貰いたい』と考えてないと発動しないみたいで、ただキスを楽しもうとすると即相手にバレる心折(しんせつ)仕様だよ!

 エロガキのみんなは気を付けようね!

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